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舞い落ちる天使-8

 だんだん分かってきたリリスの本性に良太の顔に影が落ちる。



「こんな奴に恋の成就なんて出来るのか?」



「何を言ってるの、恋の成就をさせるのはあなた。わたしは応援するだけよ」



「げっ!役立たずだと!」



「ちょっ!失礼極まりないわね」



 ただ応援するだけなら誰にでも出来る。天使である必要はまったくないのだ。



「一瞬、ハーレムライフを夢見た俺がバカだった……」



「うん……一瞬でもそんな事を夢見るあなたはバカだね」



 皮肉ではない。それはリリスが浮かべた呆れ顔でも分かるし、冬矢も冬香までも呆れ顔だった。



「まあ、草食系よりはマシだけど、決めるのはあなただから。わたしに誘導されて彼女を作るなんて面白くないでしょ」



「それは……まあ……」



 正論に良太は何も言い返せなくなる。



「男同士なら全力で既成事実作っちゃうけど」



「物騒な事言うんじゃねえ!」



 どうやらリリスは二階級特進を諦めていないようだった。天使の二階級特進が何を意味するかなど分からないが……



「結局は自分なのよ。人を好きになるのも人と付き合いたい気持ちもね。天使の力で物理的にやっちゃってもいいけど、それは本物じゃないし。せっかく天使が応援するって言ってるんだから甘えなさいな」



 真面目な時は神秘的な笑みを浮かべるリリスだが、こういうくだけたしゃべり方をする時は少し幼さの片鱗を見せる。



 良太にとっては、このような幼さの残る笑みの方が好みだった。



「ロリコン?」



「人の心が読めるのか?」



「いや、何となくなんだけど……正解なのね」



「怖ぇよ天使……」



 そこまで露骨な表情をしていたのを気付かないのは良太のみだった。



「まあ、こいつのロリコンは今に始まった事じゃないけど」



「いや、何言ってくれてるの冬矢!」



「天使なら人の心とか読めそうなもんだけどな。それ以外にも色々と不思議な力があるんじゃないのか?」



 至極まっとうな質問をリリスに投げ掛ける冬矢だ。



 その質問にリリスは明らかな動揺を示す。



「えっ?いや、まあ、何と言いますか……あるよ!不思議な力あるよ!冬香のバストはAカップ!」



「何を言ってるんですかーっ!」



 とんだとばっちりを食らった冬香は涙目で胸を隠す。確かに冬香の胸は性格同様おしとやかだ。



「そんなのは不思議な力ではない!見たままの事実をのべたに過ぎん!」



「良ちゃんも何を言ってるの!」

 


 バストサイズを当てるなど良太にとっては朝飯前。現にリリスのバストサイズすら見切っている。



 そんな良太の変態eyeに追い詰められたリリスだった。そして冬香も。



 何とか体裁を保とうと思案していたリリスだが、急に諦めてモードに入る。



「はいはいそうですよーだ。人の心なんてよめませんーだ」



 逆ギレに近い反応だが、良太も冬矢も別に苛立つ事はない。



「それなら余計な事は言わないでよー!」



 冬香だけはリアルにキレていた。



「正直に言うと地上に落ちた時に大半の力を封印されちゃったんだよね。翼は出せるけど空は飛べないし。さっき言ってたキューピットの矢だって出せるけど自分が思った効力の矢を作りだせないの」



 そう言ってリリスは右手に少しだけ力を入れる。と同時に子供のオモチャぐらいの弓が現れた。小さな弓だが光を帯び、その装飾は決してオモチャではなく神器を想像させるものであった。



「普通なら後ろからでもプスっと矢を打ち込めば、相手の事を心底惚れてしまうような矢もあるんだけど、今はそれを狙って出せないのよね。当たるまでどんな効力があるのか分からない矢しかだせないの」



「ロ、ロシアンルーレット……」



「試しに射ってみる?」



「やめろ!そんな話を聞かされて、はいお願いしますなんて言えるかよ!」



「だよねー、つまり今のわたしは人間にちょっと不思議な能力を持った不思議ちゃんなの」



「意味は違うが確かに不思議ちゃんだな……」



「それでも天使オーラが何らかの影響を与えるから、普通の人の応援よりは効果があるのよ」



「天使オーラって何だよ?」



「うーん……むらむらしゃうとか、排卵しちゃうとか」



「やっぱりサキュバスか!」



「つまり、わたしが近くにいるだけで恋の成就率が上がるのよ。0%から1%ぐらい」



「微々たるものだな。そしてお前がいなきゃ俺の恋の成就率は0%かよ!」



とても低い確率だが0%では何も起きやしない。1%の可能性という不利な状況でも良しと考えるポジティブな良太がいた。



「それとも物理にかける?見境無い性欲魔神になる矢とかあるけど」



「のーさんくす!一生彼女が出来ないどころか、一生外の空気を吸えなくなる!」



完全な拒否を示す良太だが、冬矢と冬香はいざとなったら分の悪い賭けに良太は出るだろうとひやひやしながら見守っていた。



「つまり、お前は天界に帰る為には俺の恋が成就しなければいけないと」



「いえす」



「だが、お前は応援……もしくは確率の低い賭けで矢を射るしかないと」



「おーいえす」



「結局は俺次第って事かよ!役に立たねえな腐天使!」



「腐天使は認めるけど役に立たないは異議有り!」



「あっ……腐天使は認めちゃうんだねリリスちゃん」


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