スーパーヒーローの不安と困惑
第二話 大大ピンチ?!暗黒魔竜の大進撃
始まりは居酒屋だった。
いい感じに意気投合した隣のお姉さんがまさか。
まさか異世界転生を司る女神様だったとは夢にも思わなかった。
「やっぱり異世界転生してみたいでしょ!そんで大活躍とかしてみたいじゃない?浪漫だよね!」
「えー?じゃあしちゃう?異世界転生してみちゃう?うちも最近の流行に乗って始めてることになったしー」
まさか酒の席での与太話が。
酔った勢いで承諾した異世界転生が本当に起きるなんて。
「ちなみに今なら大サービスでどんなチート能力でもつけてあげちゃうよ?異世界転生の基本だよね!」
「いいねえ!じゃあ俺!異世界転生してヒーローになりたい!特撮ヒーローがいい!」
特撮ヒーローといえば仮面のに決まってるよな。
ポーズとってジャンプして変身ベルトのヒーローだよな!
「変身ヒーロー?おっけー!つけちゃうつけちゃう!変身ヒーローになって大活躍しちゃいな!」
「おー!最強無敵の変身ヒーローな!俺、異世界転生して変身ヒーローやっちゃいますよ!」
その後は居酒屋を出て道路飛び出してトラックに突撃して。
吹っ飛んで光に包まれて、変な空間で女神様がげらげら笑ってて。
ほんとにチート能力もらって異世界転生しちゃったんだよな。
だが変身ヒーローは変身ヒーローでも仮面のやつじゃなく巨大なやつとは思わなんだよ。
しかもサイズが100m以上とか大きすぎるにも程があるだろ。
と、まあそれはさておきたくないがさておき。
「なんてことなの!まさか、まさか、一体どうすればいいのよ!」
「どうするもなにも、戦うしかないよ!ボク達の使命はいつだって平和を守ることだよ!」
「諦めないで!私達は負けない!負けちゃいけないのよ!どんな時だって希望はあるわ!」
「ぬううう!ついにやってきおったか!奴らめ本気で世界を支配する気じゃ!」
大魔王の野望を阻止して平和を取り戻したはずの俺達。
しかし新たなる脅威が世界に訪れ、絶体絶命の危機に瀕していた。
なんと古の昔に封印されていた暗黒魔竜が蘇り、世界を滅ぼそうと進撃を開始したのだ。
続々と集結しているらしい暗黒魔竜の眷属達やそれを率いる暗黒魔竜。
もはや戦いは避けられそうにない。
あと大魔王さんはなんでしれっとこっち側にいるんですかね?
仲間にした覚えとかまったくないんですがどうなの?いいの?これ。
勇者達もごく自然に受け入れてるけどいいの?ねえ?
それはともかく流石に数万単位のドラゴン軍団相手では勇者達も厳しいだろう。
ここは今度こそ俺が大活躍するしかない。
いや、今度こそ大活躍させてくれ、お願いします。
「来た!な、なんて数なの?!あんなに沢山のドラゴンが!」
「そんな!あんな数のドラゴンだなんて!しかもあの大きなドラゴンはまさか?暗黒魔竜?!」
「さあ!世界の存亡をかけた戦いよ!私達は勝つ!必ず勝つんだから!みんな、行こう!」
「任せろ!ワシとて大魔王の誇りがあるわ!暗黒魔竜なぞに負けはせぬぞ!」
だからなんで大魔王さんはさりげなくこっち側に加わってるんですかね?
もうツッコミ入れるのも面倒だからスルーしちゃうけどさ。
さてそれではピンチなので変身します。
ちなみに変身する時の不思議な光で俺の正体はバレないらしい。
だからちゃっちゃと変身するぜ!
シュピイイイイイイイン!
「グォォォォォォォォ!我こそは世界を統べる真の支配者!暗黒魔竜なり!ひれ伏せ!貧弱な人間共よ!」
デュワ!
ズゥゥゥゥゥゥン!
ヒーローの俺登場!
さあ!かかってこい!暗黒魔竜とドラゴンども!
この俺が相手だ!って小さいな、変身したらドラゴンが蝶々サイズだよ。
暗黒魔竜もコウモリサイズだったよ、しかもつい腕振るったら風圧でみんな吹っ飛んじゃったよ。
だって一斉にブレス当てられて痒かったんだよ!
「グォォォォォォォォ?!ば、ばかなああああああああああああああああ!」
遥か彼方に吹っ飛んで消えた暗黒魔竜とその眷属ドラゴン達。
こうして再び世界の平和は守られた、しかし俺のモヤモヤは晴れない。
確かに世界の窮地を救ったのは事実だが、モヤモヤは晴れない。
というか。
こんな出オチみたいなヒーロー嫌だあああああああああああ!
俺は暗黒魔竜達が吹っ飛んで行った夕焼け空に叫ぶのであった。
続く




