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プロローグ
廊下を歩いていると傍の窓硝子に小さな音が響いた。足を止めてそちらを見れば、縁に身を寄せるようにして泊まる一羽の鳥を見つける。
と、その鳥の細い足に小さい筒状の金具がついているのが目に留まった。
気付いて辺りを見渡し、誰もいない事を確認すると窓を開け、人に慣れた様子の鳥の足の金具を外す。
するとまるでそれが枷だったかのように、自由に再び空へ向けて羽ばたいた小さな体躯を見上げた。あれは、そう用途の鳥。魔術によって目的を与えられた、連絡伝達用の飼育鳥だ。
そんな鳥を介してやってきた手元の連絡。滅多にないそれに、一体何ごとかと丸まった紙を広げて目を通す。
するとこそには、よく知った筆跡で見過ごせない情報が綴られていた。
「ほう……これはこれは…………。いよいよですか」
小さく息を吐いて開けた窓から外を眺める。
彼がやってくる。ならば精一杯のおもてなしを用意して、歓待するとしよう。
「さて、仕事ですね」
切り替えるように呟いて。開けた窓を閉めれば、そこにはいつもの自分が笑顔で映っていた。




