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プロローグ
今度こそ間違いないと確信する。あれは人ではない。……けれど、魔物でもない。
どちらかと言えばわたしに似ている気がする。少なくとも、この世の理からは外れた存在だ。
不気味で、埒外な、危険因子。漂う魔力が、肌が、瞳の奥が疼いてそう告げる。
だからこそ動けない事に焦燥が募る。
あれは、駄目だ。格が違う。今の力で敵う相手じゃない。知らせなければ……。
「っ……!」
そう巡った頭で喉を開こうとした刹那、剣を構える男に一睨みされて音に栓をされたような感覚を味わう。
息さえ苦しい。早く逃げ出したい……。
そんな迷いと怯えが背筋を這い上がった次の瞬間、隣のミノさんが大地を蹴って距離を詰める。
駄目っ! そいつと戦っちゃ駄目っ!




