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名無しとカレンな転生デスペラードを  作者: 芝森 蛍
ショウ・マイ・リグレット
22/84

プロローグ

 今度こそ間違いないと確信する。あれは人ではない。……けれど、魔物でもない。

 どちらかと言えばわたしに似ている気がする。少なくとも、この世の理からは外れた存在だ。

 不気味で、埒外な、危険因子。漂う魔力が、肌が、瞳の奥が疼いてそう告げる。

 だからこそ動けない事に焦燥が募る。

 あれは、駄目だ。格が違う。今の力で敵う相手じゃない。知らせなければ……。


「っ……!」


 そう巡った頭で喉を開こうとした刹那、剣を構える男に一睨みされて音に栓をされたような感覚を味わう。

 息さえ苦しい。早く逃げ出したい……。

 そんな迷いと怯えが背筋を這い上がった次の瞬間、隣のミノさんが大地を蹴って距離を詰める。

 駄目っ! そいつと戦っちゃ駄目っ!

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