はじまりの方法
初めて投稿します。
稚拙な文章ですが、共感していただければ嬉しいです。
閉じた瞼の裏からでも分かる眩しさに目を覚ます。
朝日が差し込む民家の一室、壁を埋め尽くすように置かれた本棚。
本棚に鎮座する本の背表紙が陽に照らされて鮮やかに色付いている。
机に突っ伏した顔を上げると、そこには一冊の本が下敷きになっていた。
昨日の晩、本を読み終えたところで力尽きたように眠ってしまったことを思い出した。
「それにしても、酷い本だった。」
意識が覚醒していくにつれて、昨晩読み終えた本の結末と、
それに対する怒りが込み上げてきて、思わずつぶやく。
起床転までは良かったのだ、
ただ一つ、そして何よりも一つ、
結、つまりは結末が気に食わなかった。
「なぜバッドエンドになった、何が楽しくて悲しい結末なんて読まなければならない!」
思わず口から溢れだす。
怒りの原因はバッドエンド、俺が何よりも嫌いな結末。
だいたい現実の世界は悲しいほど非情で、
救いがなくて、
嫌なことしかなくて、
バッドエンド一直線なのだから、
空想の世界ぐらい幸せな世界に浸りたいじゃないか。
正直なところ、
バッドエンドはもちろんのこと、
ビターエンドもベターエンドも気に食わない、
というかハッピーエンドしか認められない。
自身が思い描く物語が悲しい物語であっても、
それを幸せな結末へと導こうとしないのは作者の怠慢に他ならない。
相変わらず非の打ち所が無い、
ただし打ち明けどころも無い持論を展開しているところで、
ふと置き時計に目をやる。
時計が指し示す時刻は八時三◯分、
俺が通う高校の授業開始の時間は八時四◯分、
ちなみに家から学校まではどんなに急いでも二◯分はかかる。
つまり、
「遅刻じゃん!」
一瞬頭が真っ白になったが、急いで身支度を始める。
顔を洗い、制服に着替え、学生鞄に荷物を乱雑に詰め、玄関へ。
靴のかかとを踏んだまま家を出る、どこかで履き直せば良いだろう。
学校に向けて走り出す。
学校に着くまでの間、特に面白いことも起きないだろうし、遅ればせながら自己紹介でもしよう。
俺の名前は青目 文人、
高校2年生、
身長も体重も、学力も運動能力も平均的、
趣味は読書、
ちなみに友達はいない。
苛められているわけではない、
読書に夢中になるあまり、クラスの中で空気のような存在になっただけだ。
自分の置かれた悲しい境遇と、悲しい結末しか見えない将来に泣きそうになりつつも、
見慣れた登校路を走り続ける。
小さな交差点に差し掛かる、ここを曲がれば高校まであと少し。
最後の力を振り絞って走る。
交差点を曲がった所で、
眼前にはトラックが迫っていた。
「ちょっ・・・!」
体が大きな衝撃と共に宙を舞い、身体中に激痛が走る。
意識が遠のき、視界が赤くぼやけていく。
どうやら俺の最期はバッドエンドにすらならない、
陳腐な終わり方らしい。
微かに残った意識も手放し、俺は死んだ。
更新速度、遅いと思います。
とりあえず続けるように頑張ります。