■第四部 あらすじ・登場人物・用語
第四部のネタバレを含みますので、先に第四部を読まれてからこちらを読まれることをお勧めします。
【第四部罪深きは愛深き絶望 あらすじ】
自分の前世である悪魔・ヴォルツィッタに体をのっとられたヒロであったが、数日後、魔力の暴走のために投獄されていた牢屋で目を覚ます。ヒロはそこで黒の雷のリーダーであったアラシと再会し、自分が悪魔にのっとられていたことを知る。
自分の身の内にある灰色の魔力のことを知りたいと思ったヒロは、魔力の研究者であるというアオイに灰色の魔力の危険性と特異性について聞く。灰色の魔力とは源である神を持たない異端の魔力であった。
そして、アオイは銀月の都の奥にある一室にヒロを連れてゆき、聖櫃によって繋がれた黄色の神ディルアナと神の子を見せ、神の魔力によって一つの命に縛られた神の子の真実を告げ、同時に天使が神の子と同じであることを告げた。
一方、罪人の巡礼地で神の子が自分たちと同じあることを知った天使たちは、見えぬ今後の未来に危機感を抱いていたが、予言者マール・ドシャの力により万象の天使エヴァンシェッドは何かに気がついたらしく、長く交流を閉ざしていた西方の魔境の獣王に謁見を申し込むことを決める。
そんなことは知らず銀月の都で何故だか子守と化していたヒロであるが、面倒を見ていた子供たちの間で奇怪なことが起こるという嘆きの間の噂を聞き、その当事者であるアオイの娘シラユリに誘われ調査を開始する。
シラユリがいたその場では何も起こらなかったのだが、その夜、姿なき人物と予言者ヴィ・ヴィスターチャにより、嘆きの間の地下にある本当の嘆きの間に連れて行かれるヒロ。彼はそこで血で描かれた異常な壁画とその製作者であるオウェルと出会う。実は彼こそが姿なき人物であった。彼は自らを堕ちた神と名乗り、ヒロの前世である悪魔ヴォルツィッタを裏切ったことを彼に土下座をする。
エンシッダも彼らに合流するが、突如としてオウェルの様子が変わり彼は嘆きの間から姿を消し、聖櫃のある場所に姿を現す。そこには黄色の神ディルアナに呼ばれたと言ってやってきたハクアリティスと、それを追ってきたアラシと3人の子供たちがいた。ディルアナに触ろうとするハクアリティスを攻撃しようとするオウェルは、人の姿ではなく巨大な獣の姿をしていた。
その理由を問いただす暇もなく、彼を追ってきたヒロたちが間一髪で食い止めるが、その刃が子供にすら及ぼうとしたとき、ヒロは灰色の魔力を解放し、その瞬間、ヒロとオウェルは封印された異端に移動し、オウェルはヒロに千年前の真実を語り出す。
それは自分の裏切りとは、世界の理によって禁忌とされている神同士の恋愛である、オウェルが想い人であるディルアナとの愛を成就しようと、ヴォルツィッタの忠告を聞かずに灰色の魔力に染まってしまったということを指していた。そして、ヒロは更に灰色の魔力の源である神に忌み嫌われた子供が千年前の戦いの全ての原因であるということと、ヴォルツィッタがその全てを最果ての渓谷に封印したということを知る。
オウェルの話が終局に差し掛かったところでエンシッダが二人の前に現れ、彼はヒロに灰色の魔力が封印されているという最果ての渓谷の封印を解くことを迫る。ヒロは躊躇うが、エンシッダに人間たちの未来を人質に取られたヒロはその封印を解くことを決断する。
【新しい登場人物】(数が増えてきたので、前に紹介した人たちは割合します)
アオイ
魔力の研究者であるらしいが詳しい経歴は不明。黄色の神ディルアナを使い神の子を作り出したのは彼であり、どうやらその事に対して罪悪感を感じている模様。男とは思えない美少女っぷりで、その遺伝子は間違いなく娘であるシラユリに受け継がれている。
ディルアナ
黄色の神。神の子の力の源である聖櫃で眠りつづける神。
シラユリ
アオイの幼い娘。嘆きの間にヒロを呼ぼうとしたオウェルによって操られ、無意識のうちにヒロをその場に誘った。
ヴェルトラス
天空騎士団師団長ジグラッドの実弟。兄には頭が上がらない様子。
マール・ドシャ
天使側の予言者。今までヴィ・ヴィスターチャによって力を封印され、思うように未来を見ることができなかったらしい。
イフリータ
ティアの仲間その1。軽い性格。
キシン
ティアの仲間その2。しっかり者の性格。
オウェル
銀月の都の動力源である銀の神オウェル。かつてはヴォルツィッタの親友であったが、禁断である同じ神のディルアナを愛してしまった故に、灰色の魔力の罠に嵌り、今は半ばエンシッダの囚われの身として基本的に嘆きの間の中でしか存在できない。
神に忌み嫌われた子供<ラーオディル・オヴァラ>
灰色の魔力の源とされる子供。かつてはヴォルツィッタと家族のように暮らし、西方の魔境で獣族の革命に手を貸していたらしいが、その力を黒き神に目をつけられ東方の楽園に連れてこられた。神に対して異常な憎悪を抱き、復讐のために千年戦争を引き起こした。現在はヴォルツィッタによって最果ての渓谷に封印をされているらしいが・・・。
グレイン・アッダ
千年前に西方の魔境の覇権をとった獣王。ヴォルツィッタ・オウェルとは親友同士。
<用語>
聖櫃
千年前、神が一度に多くの契約者を得るために考案された装置だったが、その代償として聖櫃に入ったら最後、二度と出ることはできないというリスクを背負うこととなり、その使用は表向き禁止となっていた。しかし、それを神に忌み嫌われた子供は利用し復讐の道具として天使たちに提供した。
神の子<マイマール>
聖櫃によって神と命を一つにした人間。魔力を得るために神の血を受け、神と命を一つにする契約を結ぶ。
天使
基本的には神の子と同じ原理だが人間だった頃の記憶がほとんどの天使たちになく、天使という一種族だと思っているが元は人間。神が自分たちの利用しやすい下僕として利用するために造り出した存在だったが、千年前反乱を起こした。
世界の理
神が生まれる前から世界に存在したもの。神すらもそれに逆らうことはできない。その代表例として神同士の恋愛の禁止や、死者の再生がある。
灰色の魔力
神に忌み嫌われた子供だけが持つ魔力。人間である彼がどうして魔力を宿していたかは不明だが、その例外的な魔力は神々が持つ魔力とは一線を画し、他者の魔力を吸収し、魔力によって他者を支配する強い力を持つ。そして、何より世界の理を無効化できる力は人間だけでなく神々すら屈服させた。
そして、毎回恒例?当てにならない次回予告(笑)
―――全ては世界の最果ての場所で
『ヒトツニナロウ』
私はその言葉を嫌悪すると同時に、その意味が分からなかった。
身体を重ね合わせれば一つになれる?心を曝け出してしまえば一つになれる?
―――天使と人間は最後の戦いに臨む
「皆を守るってことは、結局自分を守るってことだから。」
泣きそうに歪むその笑顔は弱弱しい。
だけれど、何者にも負けない強さを秘めたその光が私には眩しかった。
―――最悪の悲劇の引き金は引かれる
「そんなもの愛じゃない!!!」
消えゆく命の儚さに涙が止まらなかった。
悔しくて、悲しくて、苦しくて、みっともないほどに私は泣き叫ぶ。
ただただ、愛だという理由のために彼らの命を奪った人物が憎くて仕方がなかったのだ。
―――そして、最後の決断は下される
「貴方をずっと待っていました。」
千年も前から決まっていた運命が私を呼ぶ。
その運命が私に告げるのが『死』であったとしても、私が逃げられない運命が・・・。