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破壊の観察者  作者: 紫 緋色
王立魔法専門学校編
5/8

第5話「魔力測定」

「きゃー!イケメンじゃなぁい!」


「プ、プッシェル…!静かにして…!」


「編入生………よく分からない………眠い…。」


「朝礼中だぞ、寝るな!」


 この反応、どう解釈すれば良いのか分からない。

ただ、少なくとも悪い印象ではないだろう。


「トラキニオンは、昨日の編入試験の唯一の合格者だ。」


「イケメンでさらに強いなんて…っ!」


「ほう?どんなか(おとこ)か見極め甲斐がありそうだな。」


「いやいや、言い過ぎだよ。俺なんかよりみんなの方がよっぽど強いだろうさ、魔法に関しては、全くの素人だしね。」


 これは本音だ。

魔法について、今まで考えた事も無かった。

ここでは人間社会以外にも、学べる事が多いだろう。


「それでは編入生も入ったことだし、みんなにも改めて自己紹介をしてもらおうか。

名前と自分の魔法属性を言ってくれ。まずは――」


 魔法属性、そういった分類があるのか。

俺の属性は分からない。


「はいはーい!あたしは『ソフィア・ノクティブ』!魔法属性は火!よろしくね!」


「俺は『ジェンス・ハドル』だ。属性は物理。よろしくな!」


「先生の話を遮ってはいけませんよ。......と言いつつ僕も自己紹介を...。

僕は『ウール・デンジェルト』です。魔法属性は氷です。よろしくお願いします。」


「私は『プッシェル・フレイディ』。魔法属性は夢よ。よろしくね、デバス君。」


「わ、私はエンゼル......。『エンゼル・カウアス』です......。属性は毒です...。よろしく......。」


「僕は『ダッツ・ノレイジア』、魔法属性は木だよ。よろしくね。」


「......『リズビリー・ルーズネス』。水属性......よろしく。」


「俺は『ディストニー・ゴット・ルック』。光属性だ。よろしく頼む。」


「みんな自己紹介ありがとう。俺の魔法属性は、なんて言ったら良いのかな。分からないんだ。」


「分からない?どういう事?」


「トラキニオンの魔法属性は非常に特殊ゆえ、分類が難しい。

実技試験を見た限り、破壊属性と分類するのが最もしっくりくるだろう。」


 なるほど、破壊属性か。

...教室全体の魔力が微かに揺らいでいる。


「破壊属性...?そんな属性、いくら特殊とはいえ聞いた事がないわ。血統属性なのかしら。」


「かっけー名前の属性じゃねえか!どんな魔法を使うのか、ますます興味が湧いたぜ。」


 血統属性とは何だ。人間は何かと分類するのが好きなのか。

いや、この概念も圧倒的弱小種族なりに築き上げた体系。

容易に好きという言葉だけでは言い表せないか。


「自己紹介は全員終わったな。トラキニオンは登校初日だが、お前達は2日目。

例年通り、これから新学期最初の魔力測定を行なってもらう。トラキニオンも同様だ。」


「げっ!魔力量増えてなかったら、ちょー萎えなやつ!」


「ぎ、逆に減ってたりして......。」


 魔力測定か。実技試験のように、上手く制御する必要がありそうだ。


「この水晶型の測定装置に手を触れると、体内の魔力量が水晶の中に数値として表示される仕組みだ。

名簿順に1人ずつ行なう。それではカウアスから始めてくれ。」


「頑張ってエンゼルちゃん!気を張るのよ!」


「気を張るも何もあるかよ。」


 カウアスが水晶に触れると、水晶は白く光りだした。

そして数値が表示される。


「よ、476......。増えてた...。」


「よかったね!エンゼルちゃん!」


「次、ゴット・ルック。」


 ディストニー・ゴット・ルック、といったか。

他の者と違い名が3節ある。家格が高いのだろう。


「ディストニー様!頑張ってください!」


「だから何を頑張るんだよ。」


 ゴット・ルックが水晶に触れると、先と同様水晶は白く光りだし、数値が表示された。

生徒達はどよめいている。


「670...。流石ディストニーだね。」


「すげえな!流石()()()()ってとこか!ガハハ!」


 なるほど...現皇帝か。予想の範囲外だった。


「ジェンス...!いちいちその呼び方をするな!」


「次は―――」


 測定は順調に行なわれている。


「次はデバス・トラキニオン。測定を開始しろ。」


 今のところ平均数値は500程度。700前後を出せれば良い方だろう。

だが俺が水晶に触れた途端、水晶は黒く光りだし、小刻みに震え始めた。


「なんなの...?色も変だし、天井の魔法灯も点滅しているわ...。」


―――ピキピキ...


「水晶に亀裂が...!」


「...割れそうだよ。」


―――パリンッ...!!


 想定より漏れたか。

意識的に力を制御するのは難しいものだな。


「測定装置を破壊してしまったようだ、面目ない。」


「...あれ...、割れた瞬間、一瞬何かが見えた気が―――」


「気のせいだ。

魔力の性質によっては、稀に水晶が割れる事がある。

...替えの測定器があるはずだ。持って来よう。

トラキニオンの魔力量は測定不能とする。」


「測定不能!?前代未聞ですよ...。」


 カイダ・オーダー、何かを察したか。

一瞬、視線を俺に向けた。


「他にも測定出来なかった人は居るのかい?ディストニー。もっと昔にとかさ。」


 さっきよりも空気が重い。

特にディストニー・ゴット・ルック。この男に目を付けられたら面倒だ。


「...いや、数多くの文献、記録書を読んだが、測定不能になった人間は見た事が無い。」


 数分後、カイダ・オーダーが持って来た替えの測定器によって、測定は終了した。

全員の数値をまとめよう。


 エンゼル・カウアス:魔力量476

 ディストニー・ゴット・ルック:魔力量670

 ジェンス・ハドル:魔力量514

 プッシェル・フレイディ:魔力量567

 ウール・デンジェルト:魔力量483

 ソフィア・ノクティブ:魔力量480

 ダッツ・ノレイジア:魔力量453

 デバス・トラキニオン:魔力量??

 リズビリー・ルーズネス:魔力量504


「以上で新学期最初の魔力測定は終了だ。

学年末にも再測定をするので、自分の今の数値を覚えておくように。

 それと、トラキニオンの座席をまだ決めていなかったな。

そうだな、ちょうどゴット・ルックの隣が空いている。そこに座れ。」


「なっ...!そんな勝手に...!」


 現皇帝の隣、運が良いのか悪いのか。

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