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破壊の観察者  作者: 紫 緋色
編入試験編
2/8

第2話「編入試験開始」

「実技試験では私が召喚した悪魔と戦ってもらう。制限時間は20分。倒してみせろ。」


 悪魔ときたか。皮肉だな。


「上位悪魔召喚。いでよ『デスト』!!」


「上位悪魔!?」


「嘘だろ、勝てる気しないぞ…。」


「試験官すげぇ…。」


 他の受験生は20名ほどといったところ。

上位悪魔召喚か。厄介だ。

ただ、デストという名前の悪魔は知らないが。


「魔法陣の色は緑だ!」


「まじかよ、緑系統は相性悪いんだよな俺…。」


 色に反応している。

眷属を色ごとに分類しているのか。

さて、どんな悪魔が出てくる。


「ギャハハハハハ!!!

オレサマはオマエみたいなヒョロガリは嫌いだ!!!

木っ端微塵に踏み潰してやる!!!」


 なんだ、脳筋タイプか。

拍子抜けだ。


「ヒョロガリでも負けないさ。」


「あいつ上位悪魔相手に真っ向から戦う気だぞ!」


「つか抱っこしてる女の子は大丈夫なのか?!」


 武器は持ってきた片手剣のみ。

事足りる。

…抱きかかえたままだと邪魔だな。


「今からあの悪魔と戦うから、動かずここで待ってるんだよ。いいね?」


「うん。」


「ギャハハハ!!!2人まとめて粉砕だ!!!」


 相手の戦力分析もせず飛びかかってくるとは。

やはり脳筋は脳筋。

その分やりやすいがな。


「あいつなんで動かないんだ?!」


「危ないぞ!!」


「死ねェェェ!!!」


――ピキッ…


 あ、やべ。


「グハッ……!!キ、キサマは……ッッ!!」


――バキバキバキッ!!!


「え?」


「おい…あいつ今何した…?」


 力の加減を誤った。

今後は修正が必要だ。


「どうなっている…確かに悪魔の拳はヤツの片手剣で防がれたが、攻撃している素振りは無かった…。

だが悪魔は、雷に打たれたかのような全身の亀裂痕、血を吐き、目や耳、爪の間からも出血している…。まるで体内から破壊され、無力化されたように見えた。

長い間試験官を務めているが、こんな事態は初めてだ…。

そもそもこの上位悪魔は、本来受験者が倒せるレベルの悪魔ではない。どこまで削れるかが肝なのだ。

……確かめる必要がある。」


 空気が凍りついた。

試験官に怪しまれたか。


「すまん、やりすぎてしまったようだ。

可能ならもう1戦――」


「もう1戦だ。だが次は無い。これで最後だ。」


 食い気味。

明らかに怪しまれている。


「恩に着るよ。」


「上位悪魔召喚。いでよ『ズドテール』!!」


 2回戦目で召喚された悪魔も、先の悪魔同様の系統のようだ。


「さっきのはなんだったんだ…?」


「さぁな…。」


「ギャハハ!!オマエ、ウマそうな魔力持ってるな!!オレが喰ってやる!!!」


「キミ、いいじゃないか。いいところに気付くね。」


 ズドテールの拳を交わしつつ、片手剣でかすり傷をつける。

剣が触れた箇所から徐々に破壊が始まる。

こうすれば、コイツも長く持つだろう。


「あれ、2回戦目は長引いてるな。」


「最初の悪魔は魔法陣の構成ミスで倒れたとか?」


「試験官に限ってそんなミスするか?」


「今回は拮抗している。亀裂痕も部分的だ。受験者が言う通り、私の構成ミスか……?いや、ありえない…。くそ、もう時間か…。」


 肩慣らしにもならない。

削り具合は7割といったところか。


「グヌヌ…!オマエ、何者だ!!」


「そこまで。20分が経った。

ズドテールよ、帰れ。

試験を続行する。トラキニオンは下がって構わん。次の者は―――」


「いい子にしていたね。怪我はないかい?」


「うん。」


 人間とは面白いものだ。

俺を真似たのか正面から突っ込み玉砕する者、

怯えて腰を抜かす者、

負傷し棄権する者、

制限時間まで耐え忍ぶ者。

ここにいる20人だけでも、かなり観察が出来た。


「そこまで。20分が経った。

アルーグよ、帰れ。

これで全員の実技試験は終了した。

次の試験は筆記試験だ。会場に移動してもらう。

15分後に試験開始とする。」


筆記試験か。

実技試験のレベルを見るに、大した内容では無いだろう。

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