第2話「編入試験開始」
「実技試験では私が召喚した悪魔と戦ってもらう。制限時間は20分。倒してみせろ。」
悪魔ときたか。皮肉だな。
「上位悪魔召喚。いでよ『デスト』!!」
「上位悪魔!?」
「嘘だろ、勝てる気しないぞ…。」
「試験官すげぇ…。」
他の受験生は20名ほどといったところ。
上位悪魔召喚か。厄介だ。
ただ、デストという名前の悪魔は知らないが。
「魔法陣の色は緑だ!」
「まじかよ、緑系統は相性悪いんだよな俺…。」
色に反応している。
眷属を色ごとに分類しているのか。
さて、どんな悪魔が出てくる。
「ギャハハハハハ!!!
オレサマはオマエみたいなヒョロガリは嫌いだ!!!
木っ端微塵に踏み潰してやる!!!」
なんだ、脳筋タイプか。
拍子抜けだ。
「ヒョロガリでも負けないさ。」
「あいつ上位悪魔相手に真っ向から戦う気だぞ!」
「つか抱っこしてる女の子は大丈夫なのか?!」
武器は持ってきた片手剣のみ。
事足りる。
…抱きかかえたままだと邪魔だな。
「今からあの悪魔と戦うから、動かずここで待ってるんだよ。いいね?」
「うん。」
「ギャハハハ!!!2人まとめて粉砕だ!!!」
相手の戦力分析もせず飛びかかってくるとは。
やはり脳筋は脳筋。
その分やりやすいがな。
「あいつなんで動かないんだ?!」
「危ないぞ!!」
「死ねェェェ!!!」
――ピキッ…
あ、やべ。
「グハッ……!!キ、キサマは……ッッ!!」
――バキバキバキッ!!!
「え?」
「おい…あいつ今何した…?」
力の加減を誤った。
今後は修正が必要だ。
「どうなっている…確かに悪魔の拳はヤツの片手剣で防がれたが、攻撃している素振りは無かった…。
だが悪魔は、雷に打たれたかのような全身の亀裂痕、血を吐き、目や耳、爪の間からも出血している…。まるで体内から破壊され、無力化されたように見えた。
長い間試験官を務めているが、こんな事態は初めてだ…。
そもそもこの上位悪魔は、本来受験者が倒せるレベルの悪魔ではない。どこまで削れるかが肝なのだ。
……確かめる必要がある。」
空気が凍りついた。
試験官に怪しまれたか。
「すまん、やりすぎてしまったようだ。
可能ならもう1戦――」
「もう1戦だ。だが次は無い。これで最後だ。」
食い気味。
明らかに怪しまれている。
「恩に着るよ。」
「上位悪魔召喚。いでよ『ズドテール』!!」
2回戦目で召喚された悪魔も、先の悪魔同様の系統のようだ。
「さっきのはなんだったんだ…?」
「さぁな…。」
「ギャハハ!!オマエ、ウマそうな魔力持ってるな!!オレが喰ってやる!!!」
「キミ、いいじゃないか。いいところに気付くね。」
ズドテールの拳を交わしつつ、片手剣でかすり傷をつける。
剣が触れた箇所から徐々に破壊が始まる。
こうすれば、コイツも長く持つだろう。
「あれ、2回戦目は長引いてるな。」
「最初の悪魔は魔法陣の構成ミスで倒れたとか?」
「試験官に限ってそんなミスするか?」
「今回は拮抗している。亀裂痕も部分的だ。受験者が言う通り、私の構成ミスか……?いや、ありえない…。くそ、もう時間か…。」
肩慣らしにもならない。
削り具合は7割といったところか。
「グヌヌ…!オマエ、何者だ!!」
「そこまで。20分が経った。
ズドテールよ、帰れ。
試験を続行する。トラキニオンは下がって構わん。次の者は―――」
「いい子にしていたね。怪我はないかい?」
「うん。」
人間とは面白いものだ。
俺を真似たのか正面から突っ込み玉砕する者、
怯えて腰を抜かす者、
負傷し棄権する者、
制限時間まで耐え忍ぶ者。
ここにいる20人だけでも、かなり観察が出来た。
「そこまで。20分が経った。
アルーグよ、帰れ。
これで全員の実技試験は終了した。
次の試験は筆記試験だ。会場に移動してもらう。
15分後に試験開始とする。」
筆記試験か。
実技試験のレベルを見るに、大した内容では無いだろう。




