住耳虫
この小説を読む前に、ぜひイヤホンを付けてください。ヘッドホンではダメです。
※音楽は流さないでください。
さて、皆様は住耳虫なるものを知っていますでしょうか。
住耳虫は、ジュウジムシと読み、その名の通り耳に住む虫です。
体長は0.2mmといったところで肉眼では見えません。ミミズのように細長い体をしております。
彼らは基本的に害はなく、耳の中の垢を主食としているため、自然の耳掃除屋と呼ぶ人もいます。乾燥した垢よりも水分が多いものを好みます。
見てみると可愛い者で、ウネウネと軟体動物特有の動きで耳の中を健気に這い回るのです。
時折耳が痒くなるのは、彼らが原因でしょう。
しかし、害はありません。
彼らは虫らしく明るい場所へ向かう修正があるので食事の時以外は耳の受け皿のような出っ張ったところにいます。
ですので耳を塞がないでください。
明かりを失い進むべき場所のわからなくなった住耳虫たちが、間違った場所へいかないように。
——ズズッズズッ
もしも、鼓膜まで彼らが来たのなら、その音が聞こえるはずです。
まるで校庭の砂粒を、靴の裏で滑っていたあの頃と同じ音。
——ズズッズズッ
光を求めて、鼓膜を食う音が。
——ヒュコーヒュコー
鼓膜に開いた小さな穴に空気が通り抜ける音が。
ですので耳を塞がないでください。
イヤホンで密閉しないでください。
ごめんなさい。




