第十三話 迫る魔王
帝都の空に、異様な赤い雲が広がっていた。
城壁の上から眺めると、街全体が不気味な光に包まれている。
深く息を吸い込み、私は勇者の手を握った。
「セレナさん……ついに来ましたね」
勇者の声は平静を装っているが、私にはその背筋の緊張が伝わる。
──ついに、魔王復活の時が近づいたのだ。
「ええ、でも怖くありませんわ。あなたと一緒なら、きっと」
二人で城門を出ると、既に兵士たちが集まり、防衛の準備を整えていた。
空からは魔族が降り立ち、帝国に迫る。
しかし、その影の中に、一際大きな魔力の渦が渦巻いていた。
「……あれが、魔王……」
勇者の目が一瞬、恐怖に揺れたが、すぐに強い意志に変わる。
私は剣を握り、勇者の肩に手を置いた。
「勇者様、共に立ち向かいましょう!
恋も任務も、すべて守るのですわ!」
「うん! セレナさん、俺も全力で行く!」
二人で前に進むと、魔王の力が城を揺るがす。
魔法と剣光が交錯し、帝国の防衛線は限界まで押される。
勇者は無邪気に笑いながら、しかし正確に魔族を撃退する。
私は王女としての威厳を保ちつつ、剣を振るい、兵士たちに指示を飛ばす。
「ここで負ければ、帝国も、勇者も、私たちの未来も失われる」
心の奥で誓う。
恋も国も、どちらも守る──その決意が、私を強くする。
魔王は徐々に実体を現し、巨大な影が城を覆う。
その圧倒的な力に、兵士たちが一瞬たじろぐ。
しかし、勇者は笑顔で私に言った。
「セレナさん、怖くても俺たちなら大丈夫だ!
一緒に、最後まで戦おう!」
──その言葉に、私は心から頷く。
手を握り返し、二人で魔王に立ち向かう。
光と闇がぶつかり合う戦場。
帝国と勇者、そして王女の絆が試される瞬間だった。
恋も任務も、すべてを賭けた戦いが、今、始まる。




