第十二話 闇の接近
深夜の王城は、昼とはまるで別世界だった。
長い影が廊下を這い、窓から差し込む月光が冷たく床に映る。
私は剣を握り、勇者の手を固く握った。
「セレナさん……本当に大丈夫?」
勇者は少し不安げな顔をして、でも私に力をくれるように微笑む。
「大丈夫ですわ。あなたとなら、どんな闇でも立ち向かえます」
──その言葉に勇者は頷き、二人で廊下を進む。
その先には、帝国内部の裏切り者たちの影が待ち受けていた。
「……ふふ、王女殿下、勇者殿を守るつもりですか?」
低く響く声。
そこに現れたのは、帝国内部の高官。
昼の晩餐会で笑顔を見せていた人物とは別人のように、冷酷な眼光を放つ。
「あなたは……!」
驚きと怒りが胸を突く。
国を守る任務と、勇者を守る想いが、同時に押し寄せる。
「王女よ、勇者を手放せば国は救える。だが、貴女の感情がそれを邪魔する」
高官の言葉に、私は拳を握る。
「任務も感情も、私が守ります!
そして、勇者様を——絶対に渡しません!」
その瞬間、闇の力が城内に侵入した。
魔族の魔法で壁が揺れ、兵士たちは警戒態勢に入る。
勇者は立ち上がり、自然と前に出た。
「俺が守ります、セレナさん! 二人でなら、どんな闇も怖くない!」
──胸が熱くなる。
恋と任務、両方を背負った勇者の笑顔。
その力が、今の私の背中を押してくれる。
二人は闇に立ち向かい、魔族を撃退しながら、裏切り者の高官にも剣を向けた。
緊迫の戦いの中で、互いの手を握り合い、息を合わせる。
「どんな試練でも……あなたとなら乗り越えられる」
その言葉が、魔法の闇を打ち破る光となった。
闇は去り、夜明けの光が城に差し込む。
──だが、遠くの森の奥。
魔王復活の影が、確実に力を蓄え、次の試練を予告していた。




