第十一話 新たなる試練
朝の帝都は穏やかに見えた。
だが、城内の空気はどこか張り詰めている。
勇者と手を繋ぎ、廊下を歩く私の心にも、微かな緊張があった。
「セレナさん、今日も任務、あるの?」
勇者は笑いながら私の手を握り返す。
……笑顔だけど、その瞳の奥に心配が見える。
魔王復活の予兆が、まだ完全には消えていないからだ。
「ええ……帝国はまだ安全とは言えませんわ。
他国の使節団も動き出すでしょうし、情報収集も欠かせません」
そんな話をしている最中、突然、城の警報が鳴った。
赤い光が塔の上で瞬き、警鐘が鳴り響く。
「……魔王の影、ですわね」
宰相の声が冷たく響く。
この国はまだ、魔王復活に完全には備えられていない。
勇者は私の肩をそっと叩いた。
「セレナさん、怖くても……一緒なら大丈夫だよ」
──その言葉に、胸が熱くなる。
任務も恋も、二人で乗り越えられる気がした。
城門の外では、魔族の影がちらつく。
使節団の暗躍だけでなく、直接的な脅威も迫っていた。
私は剣を握り、勇者と共に立った。
「勇者様、共に戦いましょう! 任務も、愛も、守るのですわ!」
「うん! 俺もセレナさんと一緒だ!」
二人で城門を抜け、広間に集まる兵士たちに向かって声を張る。
「帝国の民よ! 今日ここに、我らは立ち上がります!
守るべきものがある限り、私は王女として、勇者として、この国を守ります!」
兵士たちは喝采を上げ、魔族の影に向かって一斉に突撃した。
勇者は自然と前に出て、笑顔で魔族を迎え撃つ。
私はその後ろで、剣を振るいながら誓う。
「どんな試練が来ようとも……勇者様と共に乗り越える」
戦いの中で、二人の距離はさらに近くなった。
そして心は、互いの存在により強く結びついていく。
──だが、遠くの闇で、魔王復活の兆しがより鮮明に揺れ動き始める。
この平穏は、まだ序章に過ぎなかった。




