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赤い衝撃波

 1年前の出来事。

 逆雪ぎゃくせつ れんという当時人間年齢で14歳の化け狐の住んでいた周辺を中心に、叛逆龍事変はんぎゃくりゅうじへんという、様々な人間が龍化して暴走するという事件が多発していた。事変の犯人を突き止めた蓮は無事倒し、ここ約1年は何も無かった。が、再発し始めたのは3週間前からで事変の調査をしていたこあちゃんは風音かざねの依頼で調べていたところ、月狐つきこ寺院とドクターグレーに拉致された、フリをした。月狐つきこ寺院にてドクターグレーが今回の主犯である証拠を掴んだ。なぜ以前に放置したかの理由は、ドロシーを叛逆龍事変関連に巻き込みたくないという、恩義であった。というような背景があった。

 紆余曲折して最龍侍さいりゅうじ学園の英雄となった蓮は、亡き白龍はくりゅうに代わって人助けの天命を頑張っている。白龍の伝手で風音と蓮はお互い幼い頃から知り合いだったが、蓮の身を案じた白龍は並行世界に住まわせる決意をした。その時点では日本はいつ叛逆龍に支配されるか、分からなかったからだ。なお、今は蓮の故郷がある世界線がその龍達に支配され、荒地となっている。いつか、故郷を取り返すのが蓮の目的。


「見えてきたぞ。大きい建物が並ぶ、大都市じゃ」

「初めて見ました!! 叛逆龍倒したら観光したい!」

「うむ。師匠さんにもお土産買ってやらんとな」

「はい!」


 大きな窓ガラスに両手をついてはしゃぐ穂村ほむらは、討伐よりも観光にしか意識が行ってなかった。やや屈んで手をついている穂村を横目で見ていた蓮は、お尻の大きな家族の事をふと思い出して、頭の中で振り払った。思えば世界線を飛び出してかつての自分もそんな気持ちだったなと感慨深くなって浸る。心地良い瞬間も束の間、大都市の第4区域を通り過ぎ第1区域付近の、綺麗に育てられた木々や花が一帯になっているこの、何百何千kmにも渡る敷地全てが、猩々緋しょうじょうひ家の物である。ニュース通り赤い宝石の巨大な龍が暴れていた。それを食い止めようとする、2人の炎と光の女性たち。


「おお、戦っておる。久々に大きな龍じゃのう。電車で龍に激突する! 穂村少年は先に向かえ」

「え? あ、はい」


 簡易版フルアクセル・リングと呼ばれる腕輪を起動して、自分で扉を操作して開ける。突風が入り込むが、蓮も穂村も同じる様子はない。飛び立ったのを見届けてから扉を閉め、竜へ激突する指示を出そうとした。赤い半透明の衝撃波が地面と龍を真っ二つに切り裂いた。

 場所を少しだけ変えて、切り裂かれた龍のいる場所で、背後へ振り向く風音とドロテアの視線の先には刀を振り下ろした穂村の姿が豆粒ぐらいに見える位置にいた。


「蓮さん無茶しそうだから、先に倒しておかないと」

「なんだあいつ。遠くから一撃で?」


 ドロテアは無意識に呟く。それに見向きもせず風音は空中で停止しているライトニング・トレインを見かけ、1人でに浮遊しながら向かう。


「蓮ちゃーん!!」

「ぅぉぉぉお……かざね殿ーーーー!!!」


 簡易版フルアクセル・リングを使って飛んできた蓮は風音に抱きつき、頬を擦り合わせる。実に実際会うのは5、6年ぶりだった。遅れて蓮たちの元に来た穂村は状況が分からず、苦笑いしながら戸惑う。そして、斬撃について風音から問われた。


「いや、早く観光したいから、斬りました!」

「そういうのじゃなくて、えっと、強さについて聞いたんだけどな。蓮ちゃんどういう事?」

「知らん」

「ま、いっか! 後でうちと観光しようねー」

「うむ!」

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