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史上最大の兄妹喧嘩

 ドロシーが安心したのも束の間、一瞬でこあの姿はなく、男の娘天使に腕を組まれている雷太を発見し、眉をひそめ気持ち引いていた。

 それに対して兄として訳を説明するも聞き入れる耳を持たず。またしても殴りかかる。が、今度は片手でお腹に向かってきた拳を受け止め、緑色の静電気を散らす。


「今までお前も色々あったから容赦してたが、流石に怒ったぞ!! 勝負だ!」

「望むところです!」


 こあと雷太の拳と拳が激突し巨大な爆風を起こす。二人とも一度大きめに距離を空け、妹は天界の装飾品の柱に両足をつけ、倒しながら勢いをつけ力尽くで低空飛行、兄は建物の中に押し込められながらも、すぐに家を吹き飛ばし百烈が何度も相殺、かさのような円形の空気圧が破裂してゆく。

 巻き込まれないように見ていたドロシーだが、見兼ねて一度その場を離れた。

 そんなのお構いなしに様々な天使があっちこっちに飛ばされ、建物が壊れ、天界の地べたも小さなクレーターとヒビ割れが増える。

 自体の深刻さに男の娘天使に呼ばれてじゃんじゃじゃん、女神様が降臨。

 女神なのに鬼の形相で荒れ狂う兄妹けいまいに「何荒らしてくれとんのかぁーッ!」と、怒号と飛ばしている。構わず激しい喧嘩は続く。

 血の気の引いた表情で左右見渡しては慌てる天使のツカサは、風音かざね呼び出しボタンが落ちている事に気づいた。


「なんだろうこれ、ポチ」


 風音呼び出しボタンは宙に浮き、赤い発光と共に鈴のような音を放つ。そして、粉々に砕けてしまった。

 どこから現れたか分からない、風音という赤毛の女性が女神とツカサの背後から現れ、荒れ狂う兄妹の喧嘩を見て呆れた。


「ちょっとごめんなさいねー」


 どこから現れたか分からない理由が判明する。瞬間移動を使っているからだ。一瞬で姿が消え、まずは雷太を地べたに放り投げ、叩きのめす。次に、雷撃砲を放とうとするこあちゃんに拳骨ゲンコツをお見舞い。半泣きで風音と地べたに降り立つ。


「失礼しましたー」


 兄妹ごと瞬間移動でどこか遠くへ。このあとツカサもこっぴどく怒られた。



⭐︎⭐︎⭐︎



 場所は猩々緋しょうじょうひ家の豪邸。真昼間でとても澄んで晴れ渡っている。何羽かの青い小鳥が風音の部屋のベランダ、綺麗な丸いテーブルの上に泊まり、説教されている緑色の兄妹を眺める。


「なんで、あんな事したのかな」

「妹が悪い」

「お兄さんが悪いです」

「はぁ……。あ、スマホに電話だ。もしもし、うん。ああ今目の前に二人いるよ。うん。もみ消しといて。じゃ」


 画面には一瞬『ドロテア』と書かれていた。

 雑にその辺にスマートフォンを置き直し、説教が再開される。


「特に雷太くん、もう大学生になるんだからしっかりしてよね。こあちゃん守るんでしょ」

「悪かったよ」

「こあちゃんはまあ、お兄さんに慣れてきたのはいいけど、あんまり殴らないようにね」

「はい」


 こあちゃんと雷太が落ち着いたのを見計らって、両手を合わせて小さく音を立てる風音は、帰宅するように笑顔で帰るよう促し、豪邸の出入り口まで案内する。

 仲良く談笑する二人を見送りながら、小さく手を振って別れた。


「何してくれとんのかボケェーい!!」


こっそり風音は自分のティーカップを床に投げた。

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