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ウルトラライジング

おはこんです。ハロとチャオをつけるとまずいので、そこは省略します。


いつもお世話になっています。少し早いですが、2025年で小説投稿活動が15周年となるので、その記念作品として、久々に謎解かないがつく作品を投稿しようと、思いました。良ければお楽しみください。

 雲と同じ高さの空中、様々な野鳥がくうを切る、午前5時の空気感が染み込む時間帯、緑色の静電気をまとう流星のような一つの線が飛んでいた。彼は緑埜みどりの 雷太らいたという男子高校生だが、もうそろそろ卒業の年齢となる。それはさておき、迷う事ない軌道は一つの目的へと向かって進む。妹である『緑埜みどりの こあ』を誘拐から奪還する事であった。

 少し遡ると、先ほど4時30分頃にたまたま早く起床した雷太は、まず妹がいない異変に気づいた。最初は散歩にでも出ていると思っていたが、普段愛用している小型の拳銃やナイフが置き去りにされているのを発見し、普段開かない妹の部屋を覗いた所、争った形跡と置き手紙に「この少女は貰った。返して欲しければ探せ」と書いてあった。名前や住所を書いていない辺り、かなりの悪意を感じてしまう。

 情報を得るべく、まずは猩々緋しょうじょうひ家の豪邸を尋ねた。現在のあるじである風音かざねという20代過ぎの赤毛の女性は、謎解かない魔法というものを扱え、これは相手の過去のやった事を可視化できる魔法を指している。なお、一定の範囲の人間にしか発動しないため、一度はアテにならないと感じていたが、風音はとある、様々な部品が組み込まれた望遠鏡を取り出した。


「なんだよ、それ」

「これねー。知り合いの狐ちゃんがくれたんだけど『わしはもう要らん』とか言ってね」

「……変なヤツ」

「ともかく、遠くの物体をより精密に見る機械らしくて、これならこあちゃんを探索出来るかもよ」

「まじか!! 頼むぜ」


 早速、風音は望遠鏡を目元に持っていき、辺りを見渡す。

 ここから大都市・第3区域方向に緑埜こあのオーラを感じると言い、やがてスマートフォンから地図機能を使い、精密な位置を指示した。

 ちなみにこの地域の事を軽く解説すると、日本という国のかなり南の方にある、海に面した大都市で、第1〜7区域まである。第3区域はやや荒廃しており、大気汚染が酷くあまり人が近寄らない。そして、雷太の家や猩々緋家の豪邸があるここは第1区域である。


「もう行く? 準備した方がいいんじゃない。これとか」

「風音呼び出しボタンか。助かる」

「うん! 行ってらっしゃい」


 すぐにでも豪邸を出る。まだ空はやや暗い。

 雷太は緑色の静電気や雰囲気をまとい、一回勢いをつけてから第3区域へと飛び立った。

 時間を戻して、もうじき第3区域上空付近となる。この辺りかと急降下を始める。その真下には月狐つきこ寺院があり、雷太が来る事を想定して既に狐のお面をした細身の女性が多くいた。寺院の入り口の大きな扉には、寺院の管理者である紫の髪の毛をした化け狐の女性が構えている。通称、月の狐である。


「来たか。あいつが噂の緑埜雷太! 気配を感じる」


 ものの数十秒後には、地面が揺れるほどの衝撃で雷太が着地し、狐のお面をした化け狐達はすぐ様吹き飛ばされた。


「ここにいるんだろ! 返してもらうぞ、妹を!」

「やれるものなら」


 周囲に大量のお札を散らし、結界を展開。多くの呪符が書かれており、禍々しい雰囲気のようであった。

 とにかく雷太は間髪入れず突撃し、結界に殴りかかる。摩擦で火花が散っているだけで、砕ける気配を感じない。

 それでも諦めず、何度も破壊を試みる。それでも破壊できなかったが、ある事を閃いた。

 突然として地面に潜り始めたのである。


「まさか、地中に結界が張っていない事を!?」


 雷太は月の狐の背後へ周り、蹴りで突き飛ばして結界を壊した。ガラスが砕けたように四方八方へ結界の破片が飛ぶ。そして妹を助けに行くのかと思えば、ゆっくり歩いて月の狐の方へと歩く。立ち上がるのを待っている。


何故なにゆえ、まだ戦おうと……?? え?」


 立ち上がるなり、なんの脈略もなく胸を掴み出す。


「んーお前はまあまあだな」

「まあまあとは失礼な!!!」


 女性としてのプライドが砕け散ったのか、泣きながら走り去ってしまった。ついでに奪い取ったブラジャー片手に、寺院の扉へと向かう。が、開けるまでもなく自力で脱出してきた妹が扉を怪力で破って脱出してきた。片脇には、ドクターグレーという悪の科学者が意識を失っているが、どうやら妹本人が叩きのめしたらしい。


「お前、自分で脱出できたんだな。そりゃそうか」

「そうですよ。で、その右手に持ってるそれ、またやったんですか」

「伝統芸だからな」

「全く。やれやれ」


 そう呆れて雷太に近づくと、無言でお腹に拳を突き立て、鈍い音がした。もう片方の脇に雷太も追加された様子。


「この科学者のおっちゃんは捨てて、お兄さんだけ連れて帰りますか」


 こあは今年で中学生となり、色々訳あって今年から学校に行き始めた。帽子はとても大きく、ツバの大きい魔女の帽子だ。なお、魔法使いではない。


「こあちゃーーーーん!」

「あ! ドロシーさん! お久しぶりです!」


 今度は本物の魔法使いが登場。茶髪のロングヘアーで、年齢としては20代に入った所である。名前はドロシー フォードと言う。


「このばかお兄さん持って帰ってください」

「分かった。こあちゃんはどうするの?」

「ちょっと、この寺院に用事があってですね。わざと誘拐されたのですが……まだ秘密があるんですよね」

「私も調べるよ。雷太くんと、この変なオジサンは一回放っておこ」

「はい! ありがとうございます」


 こあは小悪魔のような満面の笑みになった。

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