改・試作1号戦車と詳細設計
協議の結果、試作戦車のスペック概要は以下になりました。
大幅に見直して、王立国家で開発されたカーデン・ロイド豆戦車をベースに今持てる技術を注ぎ込んでみましたの。
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試作戦車1型(改定)
主砲:20mm機関砲 1門
装甲:正面10mm、側・背面6mm リベット結合・一部溶接構造あり
全長:2.4m 全幅1.8m 全高1.3m
時速:30km(計算値)
出力:48馬力
重量:2.5t
乗員:2名
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「全周旋回する砲塔がなくなってしまいましたわ…」
「ユーディ様、その旋回砲塔を動かすための機構が我が国ではまだ、量産できないのですから諦めてくださいまし」
ローザ様のツッコミに返す言葉もありません。
どのように重たい砲塔をスムーズに動かすんですの?と質問され、蒸気機関車用の転車台をちっちゃくすればいいのでは?と答えたらダメだしされてしまいました。
あんな大きな機構をどうやって小さくするのかと…その辺考えていませんでしたわ。
完成した概略図は本に載っていた“駆逐戦車“に近い形になった気がする。
たしか、王立国家が作った豆戦車でも採用されているはずです。
武装についてははじめ、7.92mm機関砲でいいのではと言われましたが、そこは20mm機関砲に私が強い意志を持って変更しました。
対戦車戦闘となった時、7.92mmでは装甲を貫通できないと思ったからです。
また、板厚が薄い事から成人男性が上に乗っても歪まないようにしなくてはならないので、板を折り曲げて強度を上げる方法を使います。
なるべく板を折り曲げて強度をあげます。
正面は敵の攻撃を受けるので、可能な限り厚くするため、10mm、他の場所の板厚を下げました。
なので、正面装甲についてはなるべく溶接をつかい、それ以外の箇所をリベット止めを使用します。
「機関砲に関してはニーナにお任せください。お父様に言って準備いたしますわ」
「あたくしは、発動機を用意いたしますわね」
「履帯については新規のものにしますの?」
ローザ様へお願いする内容が多いですわね、車体の製造、組み立て、無限軌道のセットまで頼みますから。
「既存の農業用トラクターのものを使いましょう。後々に専用のものを開発するのがいいと思うのです」
なにせ、今ある履帯で時速30kmなんてスピードが出せるのか不明なのです。
豆戦車用の履帯が手に入れば苦労しないのですが、簡単に軍事機密は手に入らないでしょうし…
「それなら我が家にありますわよ。研究用として購入したものがありますから、それを使いましょう」
ローザ様からとんでもない発言が飛び出し、いろいろな設計がしやすくなりました。
この概略図面からみんなで詳細設計に移りますわ。
ドラフト板を持ち込んで、既存の履帯やシルビア様が用意してくれる発動機、それに20mm機関砲をどのように取り付けるかを考えていきます。
皆、授業が終わってからの放課後や研究時間をつかって図面をかき、約1週間したころ車体の大枠の設計が完了しました。
あとはこれをローザ様の会社にお願いして製造してもらうだけですわね…
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