自分の技術力に涙
先日の昼食会から2日、本日が最初の戦車研究会の会合ですわ。
他国の戦車の状況を確認したこともあり、私は1つのプランを持ってきました。
今日は、有識者の皆様の意見をいただきたいと思っております。
そのため、他のお三方には自家の技術について調査をしてほしいとお願いしておりました。
「というわけで、これが私の考えた戦車ですの」
私が本を見て周辺国の技術書などから実現が可能ではないかと考えた戦車の性能と概略図を黒板に貼りました。
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試作戦車1型
主砲 45mm対戦車砲
装甲 砲塔正面 15㎜ 側面背面15㎜
車体正面:15㎜ 側面15㎜ 背面10㎜
全長 4m 幅1.7m 車高2m
時速 目標30km/h
乗員 2名 操縦手 装填手
推定重量 10t
必要馬力 100馬力
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「ユーディ様、これ多分無理ですわよ」
あっさりとシルビア様から指摘されました。
「どうしてですの?」
「我が国に100馬力を出せる発動機がありません」
「なんですって!?」
「ようやく、わが社で50馬力を出せるディーゼルエンジンが量産されたところです。
試作機ならば120馬力出るものがありますが、まだまだ問題が多くて量産なんてできませんわ」
帝国や共和国ではすでに150馬力の発動機があると聞いていたのでてっきり我が国でもこれぐらいあると思っておりましたのに…ないんですの?
「これを実現するとなると、発動機が輸入に頼ることになるんですのね…」
「自国の兵器に輸入品を使うと、関係悪化や敵国に妨害されると生産がとん挫しますわね。
50馬力の発動機で何とかするほうがよくなくて?」
「そうなると…、待って下しまし計算しますわ」
これは、歩くのとほとんど変わらない速度になってしまいますわね…
「時速10km…」
「ユーディ様、確か先日”戦車は自分の砲撃に耐える装甲が必要”とおっしゃっていましたわよね?」
「えぇ、言いましたわ」
「駆逐艦の装甲は20㎜ほどありますが、射撃距離によっては12.7㎜で貫通しますわよ」
「なっ!」
「我が国の駆逐艦搭載砲…例えば8.8cmで抜けないようにするには200㎜は必要ですわね」
「そんなもの何tになるの…」
「えぇ防御力については割り切るしかありませんわね」
なんてこと、そんな分厚い鉄板が必要だなんて…
「ニーナからもよろしいかしら~」
「えぇ、どうぞ」
「45㎜対戦車砲はまだ開発中ですの。 現在ある37mm砲の反動を考えると、45㎜を搭載するならもっと車幅がないと発砲時にひっくり返りませんか~?」
閉口
これはダメだ。
今持てる我が国の技術で出来るものではありませんわね…
「み、皆様のお知恵をお貸しくださいませ」
「もちろんですわ。そのための研究会ですもの」
「ユーディ様、ここは取捨選択ですわ。ないものねだりより有るもので何をできるか考えなくては」
「例えば、45㎜なんて必要なのかしら~?15㎜の鉄板を貫通するだけなら12.7㎜機関銃で十分だとおもうのですけれど~」
「それと、我が国はまだ溶接技術が未熟なのよ。リベット止めすることを考えると鉄板の厚みは合計板厚を10㎜以下に納めてほしいわ」
「さすがにそれでは歩兵のライフルで貫通してしまうわよ、せめて10㎜以上は確保したいわ」
「一部で溶接を使用してはいかがかしら?」
こうして私たちの議論はその日の下校時刻いっぱいまで続きました。
そして、4人で新しい基本設計をする事になったのです。
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