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”元”悪役令嬢達による戦車開発史  作者: シャチ


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25/26

次に向けて

「駆逐戦車とMk-1Aの共闘で、渡河作戦が成功したということかしら?」

「航空支援の力もかなり重要だったとも聞いておりますわ」

王国軍はついにブレーメンを占領した。

共和国軍もそれに呼応するように要塞線から帝国軍を押し始めている。

半島国家は王立国家と共闘して戦線を押し込んでおり、帝国西部戦線はかなり押し込めている状態にある。

なにより王立国家だけでなく、ついには平野国家ですらも我が国のユーディー戦車の量産を開始し戦線に投入するようになっている。

このままいけば全世界で累計1万台も夢ではない。


とはいえ、このMk-1Aも実はすでに旧型となっている。

生産性向上と照準器などの載せ替えにより、すでにMk-1Bの生産がスタートし、並行して駆逐戦車の生産も軌道に乗っている。

Mk-1Bに対して、我が国では1/10の生産数だがこの駆逐戦車とにかく”硬い”ことが現場で評判だ。

長砲身12.7cmライフル砲を搭載している駆逐戦車タイプとともに、155cm短砲身迫撃砲搭載の歩兵支援戦車も生産され始めている。

特に、歩兵支援戦車は現地歩兵から喜ばれている。

なにせ、後ろに隠れていれば上からの攻撃以外確実に防げるのだ。

さらには敵塹壕をもろともせず吹き飛ばすだけの火力もある。


とはいえ、我が国の損耗も馬鹿にならない。

特に帝国の4号戦車、それを改造したヤークト4号という駆逐戦車と同じく12.7cm砲を搭載した車両まで出現しだしたという。

本にあったヤークトティーガーというモノだろうか…


「ところでぇユーディー様。わが社が開発した自動装填式85mmライフル砲いかがですかぁ?」

「装填数が24発というところに軍が引っ掛かっているわ。

 再装填するのに1時間もかかるんじゃ戦場で使えないのではなくて?」

現在私はニーナ様と会議中です。

次期主力戦車であるMk-2の開発に対して、ニーナ様はオートローダーと呼ばれる自動装填式ライフル砲を提案していただいております。


が、これがなかなか曲者でして…リボルバー式の装填方式をとっており、12発/弾倉から毎分4発が発射可能、切り替えを行うことで24発を敵戦車に即座にお見舞いできます。

問題は再装填。

弾倉事交換ができますが、クレーンが必要であり、取り外し取付は専用工具まで必要になります。

そのため、装填作業だけで1両当たり1時間が必要という兵器としては不合格なスペックになってしまっております。


「そうですかぁ、やっぱり別の方法で自動装填しないといけませんねぇ」

「ニーナ様、開発をお願いしている120mm滑空砲はどうなのです?」

「順調ですよ。すでに155mm滑空砲がありますから。

 ですが、滑空砲でどうやって戦車を倒すのです?HEATしか撃たない気ですかぁ?」

「いえ、APFSDSと呼ばれる装弾筒付翼安定徹甲弾というモノを合わせて開発しておりますの」

「タングステンで作っているあれですか?高すぎません?」

「我が国では産出しませんからね…王立国家からの輸入に頼るしかありませんが、発射時の弾速が1500m/s以上と計算されてますし、貫通力はざっと500mm地上で打ち抜けないモノなんてないはずですわ」

「過剰攻撃力ですわね…」

「反動制御に苦労しそうですわ。マズルブレーキでどこまで対応できるか…

 車体規模ももう少し拡張が必要ですわね」

「でも、ユーディ様。

 Mk-2の開発が終わる前に戦争が終わってしまうかもしれませんわよ?」

「そのほうがいいわ。戦争なんて何もいいことがないもの

 お金と人的資源の無駄使いよ…開発者が言うことじゃないわね…

 我が国の人口がこれ以上減らないことを願うだけだわ」

ライセンス生産などで少なからぬ外貨が我が国に入ってきているけれど、それでも戦争なんてするものではないと感じております。

戦時国債の発行額なんて見たくもありません。

それに若い男性は次々と戦争に駆り出されている状況です。

我が国はそれほど大きな国ではないのです、これ以上の損耗は国家の体を維持できるのか心配でならないのです…

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