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”元”悪役令嬢達による戦車開発史  作者: シャチ


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ある戦車長の記録

1939年12月、我らが所属する第3機甲師団は帝国本国への侵攻を進めていた。

我々第3機甲師団第5中隊は、ユーディ戦車3両と随伴する兵員輸送車2両による混成部隊で、ブレーメンの西のとある街に駐留していた。

ブレーメンへ向かうにはヴェーザ川を越える必要がある渡河上陸のための準備をしているところだった。


「戦車長、敵さんやっぱり小さな橋は全部落としちまってるみたいですよ?

 どうやってあの河を渡るんです」

「どちらにせよあんまり小さな橋はユーディー戦車では渡れないさ…

 しかし、敵の対戦車陣地にむざむざ突っ込むわけにはいかない」

近場の一番大きな橋は既に両軍の対戦車陣地がにらみを利かせている状態で膠着している。

帝国も我が国も8.8㎝以上の対戦車砲を持ち込みにらみ合っている状態だ。

互いに明確な砲陣地を見つけられず突破できずにいる。

既に、第2中隊のユーディー戦車2両が血祭りにあげられ、こちらも敵の四号を1両撃破していた。

歩兵突撃は不可能、戦車でも突破不可、ブレーメン攻防戦は河を挟んでにらみ合いという状態になっている。

「航空支援にはこれ以上期待できないか…」

「南の戦線が押し込まれていてそちらの支援で手一杯とのことですからね。我々の仕事はここの戦線維持とのことですから」

実際、我々に与えられた現在の指示は戦線の維持だけだ。

補給はにらみ合いをする分には不足はなく、敵の迫撃砲から身を守るための壕を掘りにらみ合いをしている状態である。

「とはいえ、何か突破できるような作戦があればいいのだが…」

「中隊長!補給部隊から連絡があるとのことです」

新兵の装填手がテントに張ってくる。

「珍しい、補給部隊から直々の連絡とは…通してくれ」

入ってきた補給部隊の隊長から敬礼とあいさつをされ、1枚の連絡書を渡される。

「この度第三機甲師団第5中隊に新型機動兵器をお持ちいたしました」

そこには、駆逐戦車と呼ばれる改造されたユーディー戦車の仕様が書かれていた。

「なぜこんなものを我々に?」

「第三機甲師団司令からの命です。隊長なら使いこなせるはずだとのことです。

 これをもって橋の向こうの敵の撃滅をしてほしいと」

主砲12.7cm55口径砲、正面装甲250mmの傾斜装甲、その代わり回転砲塔を排した戦闘車両。

側面装甲に至っても100mmが確保されており、確かにこれであれは橋の中央突破も可能だろう。

上空からの襲撃にさえ気を付ければだが。

「わかった、受領する。代わりに航空支援の絶対を約束してくれないか?」

「もちろんです、少将かららは1個中隊による航空支援を行うことが約束されております」

「了解した、早速準備に取り掛かろう」

私達が訓練時戦車よりも駆逐戦車のほうが扱いが上手かったことは部隊全体が知っていることだが…こんな力押しの方法で突破を図ろうとは恐ろしい話だ。

幾ら側面装甲が厚くとも、8.8㎝の直撃を食らえばただではすむまい…

「隊長、側面の守りは我々に任せてください。

 とにかく橋頭保を作るのがこの作戦の目的でしょう?」

「そうだな…歩兵部隊にも頑張ってもらおう。

 航空支援もあるようだしな」

こうして我々の力押しによる渡河作戦が幕を開けた。


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