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”元”悪役令嬢達による戦車開発史  作者: シャチ


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23/26

勃発


1939年9月1日、帝国は平野国家に対して宣戦を布告した。

それに伴い、9月3日連合国各国も帝国に対して宣戦を布告。

ここに、のちの世に言う第二次世界大戦が勃発した。


「まさか、我が国から戦線を押し上げるとはね…」

私は執務室で紅茶を飲みながら新聞に目を通す。

ラジオからは我が国陸軍の攻勢が伝えられています。

現在9月10日、ようやく帝国側からの反撃が強くなってきたと報道されております。


我が陸軍は南の要所エイントホーフェンから帝国のデュッセルドルフに向け進軍を開始し、現在はケルンを主戦場としているとのことです。

北部はフローニンゲンからブレーメンへ向け進軍中で、ハンブルグを占領する予定とのこと。

陸軍はユーディ戦車と装甲兵員輸送車による快進撃、物資輸送車に改良した輸送型による補給を受けつつ電撃戦というモノを展開。

帝国は平野国家方面にほとんどの軍を展開し、連合国との要塞線に師団を配置している状態で、こちらを警戒していたのはわずか2個師団。

昨年から増産をかけていた500両の主力戦車たちは歩兵と共同で宣戦布告と共に帝国になだれ込み、帝国軍2個師団は敗走。

王立国家とも協調して戦線を押し上げている状態です。

しかも、王立国家はユトランドからも進軍。我が国もユーディー戦車を輸出していたことからあと少しでキールに差し迫ると言ったところまで戦線を押し込んでいます。


「やはり、四号戦車は出てきませんか…」

新聞やラジオ、陸軍からの情報でも帝国の四号戦車の情報がありません。

撃破されたという話も、こちらがやられたという話も聞かない状態。

「どうにも解せませんわね…」

敵三号戦車は実質敵ではなく、あっさりとはねのけていると聞きますし…

「ユーディーいるかい?」

珍しくお父様がお帰りになったようです。

入室の許可を出すとそんなに顔色が悪くないお父様が執務室の接待用ソファーに腰を掛けます。

「お父様、お忙しいのではありませんか?」

「ある程度ひと段落したので帰ってきたのだ。お前も戦況を知りたいだろうと思ってな」

「あ、有難うございます」

お父様は私のメイドにコーヒーを頼むと椅子に深く座りなおす。


「新聞、ラジオの報道に嘘はない、先ほどブレーメンをわが軍は占領、ケルンも占領間近だ。共和国は要塞線で守り続けているが、帝国は予想外の攻撃に泡を食っている状態のようだ」

「まさか前大戦のシュリーフェンプランが今回も使えるなどと考えていたわけではないでしょうに…それに情報があった四号戦車はどうなっているのでしょう?」

「陸軍航空隊が抑え込んでいるよ。

 最高速度では帝国の戦闘機にかなわないが、王立国家の戦闘機に助けられている状態だね…我が国の航空機は地上目標を次々と破壊している。おかげで、出撃前の四号と思われる重戦車を葬っている状態だ」

「それで前線でぶつからないのですね?」

「ケルン攻防戦にてようやく一戦あったと連絡があった」

「そ、それでどうなりましたの!?」

「わが軍は1両大破、2両中破したが敵四号を2両葬ったそうだ。

 近いうちに残骸が兵器開発局に輸送されるから検分にきなさい」

「わ、わかりましたわ…」

それなりの犠牲が出ましたが何とか撃破できましたのね…

「ユーディー達のおかげで、兵器体系が1本化しているから補給が非常に楽だ。

 問題は燃料消費量だな…王立国家の支援がなければあっという間にガス欠になる」

「そこはわかりきっていたことですわ。

 ですから我が国が支えられる前線は西部工業地帯が限界と最初からの認識でしたでしょう?」

「まぁ、そうなんだがな。

 王立国家からはさらなる進軍を言われている」

「同時侵攻ならば支援物資のさらなる拡充を依頼するしかありませんね…」

「そうなるだろうな」


しかし、私達が作った戦車が存分に活躍してくれているとは思いませんでした。

王国の国土に土足で入り込ませないばかりか、こちらが土足で入り込むとは…

本に書いてあった大まかな歴史とはずいぶんと変わってしまったようですわね…

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