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未来の出来事と3冊の本

新連載です。


これは夢を見ているのかしら?

(わたくし)は少し上からパーティー会場を見下ろしており、ホールの中央には私と他に数名のご令嬢、それに対峙するように憎たらしくも私の婚約者の腕に巻き付き数名の男を侍らせて震えるアンナ・レーマンがいる。

「ユーディット・ダルムシュタット!貴様との婚約を破棄する!!

 貴様はこのかわいらしいアンナをそいつらと共に虐め、あまつさえ暴漢に襲わせようとした!

 証拠はこれだ!憲兵隊につきだせばいかに貴族といえど罪に問われるぞ!!」

ばさりと証言や物証について書かれている紙を私たちの前に投げ出す婚約者…マルクス・フォン・フォーゲルの顔は私たちを汚物でも見るように歪んでいる。

その腕に巻き付く女のほうがより醜悪な顔をしているというのに…


しかし、どういうことかしら?

この情景を見ている私とは別に、私がそこにいる。

今よりもう少し大人になったように見える彼女は屈辱に顔をゆがめている。

確かに私と他数名はそこで男を侍らす女狐レーマンを虐めている。

理由は簡単だ、この女人の婚約者を平気で寝取る。

私だけではない、一緒にいるご令嬢達の婚約者たちだって皆あの女に傀儡にされているだけだ。

だから虐めた。

それの何が悪いというのか。

貴族令嬢の婚約者を寝取る平民など許されるべき存在ではない。

なのになぜ私が断罪されているの?

それに実刑に処されるような暴漢に襲わせるなんて事に証拠を残すはずがないし、そこまでしようなんて思っていない。

誰かがリークしたか、でっち上げたかだ。


その情景をまるで第三者のごとく見せられている私も怒りに顔が歪んでいたことだろう。


私、ユーディット・フォン・ダルムシュタットはベルネス公国における貴族令嬢というやつです。

ツリ目がちな赤い瞳とプラチナのブロンドの髪を持ちスレンダーすぎて女性らしさが足らないのが玉に瑕でしょうか?

それでもダルムシュタットの一人娘として将来は家を継ぐ身にあります。

現在我が国では13歳~16歳までの間高等教育を受けるか軍へ徴兵されるため、私は学校に通っておりますが、婚約者であるマルクス様はあろうことか浮気をしているという状態。

婿養子として我が家に来るはずのマルクス様があんな仕打ちを仕掛けてくるとは何たる屈辱かと…


ふっと、周りの情景が消え、真っ白な空間が広がりました。


「ユーディット、あんなくだらない男のせいで人生を無駄にする必要ない。

 このまま、あの女をいじめていると今見たように君達は断罪され不幸になる」

突然目の前に光り輝く人型の何かが現れ、声をかけられました。

「これはあり得る未来の事象…だが、君達には回避する手段がある。

 国のためになることをするんだ。

 浮気をする婚約者などこちらから切り捨てればいい。

 言葉だけでは信じられないだろう?

 だから”戦車”の本を机の上においておく、君達の国に必ず必要になるものだ役立ててくれ」


前半はともかく、後半はよくわからないことを言われましたわ。

光り輝くその御姿は多分神様だったのでしょう…

それに貴族として国のために働くというのは大切なこと。

婚約者である私ではなく平民女にうつつを抜かし、あまつさえ公衆の面前で婚約破棄を騒ぎ立てる男なんて願い下げだと割り切った途端、心が軽くなった気がします。

嫉妬に駆られて平民女を虐めた挙句、バレて断罪されるなんてばからしいですわ…


目が覚めるとたしかに机の上に本がありました。


T-34/85、M4シャーマン、三号戦車


聞いたこともない戦車?のイラストがたくさん載っている薄っぺらい本が3冊。

私の父は仮にも陸軍将校で陸戦兵器の開発にかかわっていおります。

前大戦にて戦車というものが活躍したことは聞き及んでおりますが、このような形をしていたでしょうか?

ペラペラとめくった限り、周辺国の最新戦車でもなさそうです。


昨夜の夢は本当に神様からのお告げだと感じた私は、まずお父様と相談することにしました。

珍しく今夜はお帰りになるとのことでしたから、丁度良かったのかもしれません。

現在学校は長期休暇中、今のうちにこちらから婚約を破棄してしまいましょう。

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