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85:命の炬火

朝の6時投稿か7時投稿か....何方がいいのか.....?








「行き成りカルロスト連邦国(ここ)に呼び出したと思ったら。こう云う事か。」


 ノールとミロルが抱き合う背後から、声が聞こえた。


「ごめん父さん。ちょっと慌てていたもんでさ。」

「ったく。父親を上手く使いやがって。」

「しょうがないよ。だって、信頼出来て、強くて、動けそうな知り合いが、父さんしか居なかったんだから。」

「まぁ、そう云う事なら仕方ないな。()()()()()()()()()が私だったって事だからな。」

「ははっ。」


 エルダは、愛想笑いをした。




 エルダは、オークション会場にいた女性奴隷を救出した後、グリリアの家で匿っている間、その全員の衣食の提供を、マグダに任せていた。

 その間にエルダは、王城へ侵入し、情報を集め、ノール救出へと至ったのだ。



「ミロルちゃん、良かったな!」

「うんっ!」


 そう言ってマグダは、ミロルの頭を撫でた。




「本当にありがとうございました。」


 ノールはそう言って、深々と一礼した。


「いえいえ。ミロルちゃんの満面の笑みが見れただけで、俺達は満足ですよ。」

「…………まさか、今一度愛娘を胸に抱けるとは、思いもいたしませんでした。それもこれも、貴方方様のおかげです。本当に、ありがとうございます。」


 ノールは、再び、一筋の涙を流した。

 エルダは、少し自分を誇らしく思った。

 一時は自身を蔑み貶めたが、最終的には、笑顔へと繋がった。

 間違っていなかった。

 エルダはそう信じ切った。


 そんな時、背後から物音がした。

 ばっと振り向くと………………


「サラナ……………………」


 そう呟きながら、エルダは、物音の方へ走った。

 サラナが起き上がったのだ。


「良かった………………良かった………………」


 エルダはそう何度も連呼しながら、サラナの手を握った。



 エルダはサラナに、現状を話した。

 サラナは安堵し、地面にへたった。


「あとは、グリリアの回収だけか…………」


 エルダが呟いた。

 サラナははっとした。

 忘れていたのだ。


「そ、そういや………………」


 サラナは、とぎまぎしながら言った。


「そういや、グリリアは何でそんな事になっているんだ?」


 エルダがそう言うと、ノールがエルダの方へと歩み寄り言った。


「私と同じ牢に、グリリア様の奥方がいらっしゃったのです。彼女が少し前に亡くなった事を私が話したので……………………」


 それを聞いて、エルダは目を見開いた。

 グリリアの妻が亡くなっていた。

 それを知ったグリリアが、地下牢でずっと座りっぱなしでいる。


 エルダは、グリリアがどれだけ妻の安否を気にしていたかを知っていた。

 どれだけ気にかけ。愛していたのかを。

 けれども既に、この世には居なかった。

 その事実に対するグリリアの失念は、エルダにも理解できた。


「取り敢えず、俺が迎えに行ってくるよ。」


 そう言ってエルダは、地下牢の入り口の方を向いた。


 エルダは考えた。

 先ず会った時、何て言えば良いのだろうか。

 何て言うのが正解なのだろうか。

 如何すれば、グリリアの傷を癒せるのか。


 ドサッ


 そんな事を考えている時。

 壁に埋まっていたジャーナが、地面に倒れ落ちた。

 一瞬ビックリしたが、それに気付いているのはエルダだけだったので、特に気にせず、エルダは、地下牢の入り口へと歩いて行った。



 その時。





 ピチャッ






 壁に水が当たる時の音が、鮮明に聞こえた。




 ドサッ




 それに続いて、人が倒れる音が聞こえた。







 エルダは、ゆっくりと後ろを向いた。






「お母さん!!! お母さん!!!!」



 ミロルが、泣きながら叫ぶ声が聞こえる。



複製(コピー).回復! 回復!!!」



 何度も回復魔法をかける、マグダの姿が見える。



「ぁ………………あっ………………ぁっ…………」



 絶句するサラナが、横目に映る。




 エルダは、皆の視線の先を見た。




 エルダは顔を青褪めた。



 そこには、心臓を水射針(ミルネア)で貫かれた、ノールの死体があった。



 マグダの回復魔法も効いていない。



 肌の血色がどんどん悪くなっていっている。



 そんな。

 ここまでやったのに。



 まさか。



 生かしたジャーナの仕業か。



 ふと倒れているジャーナを見ると、指から水が滴れ落ちている。



 俺があの時生かしたからか。

 ジュルカが殺すのを止めたから。

 あそこで止めていなければ、ノールは生きていたのか。



 自分の選択は間違っていたのか。



 “この選択をした自分を、怨まないように“



 ジュルカはわかっていたのか……………………



 俺は間違っていたのか………………………………


















 




 







 


        ◯











 









 






 




「…………………………っ?」



 突然、何も聞こえなくなった。

 誰の声も、空気の流れさえも。

 何も聞こえない。

 動くことは出来るが、足音も何も聞こえない。

 よく見ると、周りの人の動きが止まっていた。

 ノールの胸部から流れていた血も、動いていない。


「何が…………………………」


 そう呟いてみたが、当然その声が聞こえることは無い。



「やはり……な。」


 静寂の中、突然背後から声が聞こえた。

 振り向くとそこには、ジュルカがいた。


「己が選択に不満がある様に見えるの。」


 そう言いながらジュルカは、エルダの顔を覗き込んだ。


「まぁ良い。もう理解しているかもしれんが、今お主と儂を除いて、この全世界の時間が止まっておる。その証拠に、儂の声以外何も聞こえんじゃろ?」


 ジュルカは、両手を耳に当てた。


「理由は簡単な話じゃ。空気の振動や気圧の流れでさえも停止しているのじゃから。そうするともう一つ疑問が残るな。『何故儂の声だけ聞こえておるのか』。それはの、今儂は、お主の魂自身に直接話しかけているからじゃ。儂しか出来ん高等てぃくにっくじゃ。」


 ジュルカは少し、自慢げな表情を見せた。


「そんな事は良い。さっさと選べ。」


 ジュルカは、冷たい面持ちで聞いた。


「ノールを助けたいか、別に良いか。あの嬢ちゃんは既に死んでおる。当然、回復系の創作魔法も効かない。蘇生は不可。

 じゃが、儂ならば、死んだ事を無かったことに出来る。どうじゃ?」


 エルダは、ジュルカの話す内容があまりよく理解出来なかった。

 理解できたのは、「ノールは死んでいて、ジュルカなら助けられる。」と云うこと。

 ”死んだ事を無かった事にする“と云う言い回しは少し気になったが、ノールが生き返るのならばそれで良い。


「頼む。ノールを助けてくれ。」


 エルダはジュルカに向かって、深々と一礼した。


「今回だけじゃ。これからは、自身の選択に悔いぬよう。」



























 


 


         ×













 




















 






「お母さーん!!!!!」



 目の前には、感涙を流しながら抱き合う、ミロルとノールの姿があった。


 (ノールは生き返ったのか………………?)


 エルダは疑問に思ったが、目の前で涙を流して笑っているのが、何よりもの証拠だろう。



 どうやって生き返らせたのかは解らないが、兎に角、生き返ったのならそれで良かった。

 さっきの空間や記憶に関しても未知だが、考えたとて、どうしようも無いだろう。

 今は、ノールが生き返った事に安堵しよう。



 そう考えた時。



「おいエルダ………………」



 突然、冷や汗を流したマグダが、トボトボと歩いて来た。



「お前まさか………………国王を殺したのか……?」



 そう言いながらマグダは、エルダの後ろを指差した。




 エルダは、後ろを振り向いた。






 そこには、壁にめり込み、腹から大量の血を流し死んでいる、ジャーナの姿があった。





















 

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