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82:慢心

何だかんだで、まともな戦闘回は初めてですね。

上手く書けてるかな.......






水射針(ミルネア)!」


 ジャーナはそう叫びながら、両手を前に突き出した。

 そしてその手の平から、水で出来た針が出てきた。

 そしてそれを目視した刹那、その針が、エルダの脳天に向かって飛んできた。


「ふっ」


 エルダはその攻撃を鼻で笑い、浮遊魔法で水の針を霧散させた。


「国王様はこんな物で俺を殺そうとお考えなのですか?」

「ふん、んなわけあるまいて。こんな、蟻すら殺せそうも無いチンケな魔法で主を屠れるなら、わざわざ配下を使ってまで王城(ここ)に呼ばんてな。」


 そう言った後、ジャーナは両腕を広げた。


水射針(ミルネア)!」


 再びジャーナはそう叫んだ。

 その瞬間、ジャーナの周りに、大量の水針が現れた。

 それらの刃先は全て、エルダの脳天へ向かっている。


「はっ!」


 ジャーナがそう叫んだとき、その水針は一斉に、エルダの方へと飛んでいった。


「ゼロにも等しかったさっきの攻撃を幾ら増やしたとて。」


 エルダは再び、その全ての水針を霧散させようとした。

 が。


「何っ?!」


 エルダが霧散させる直前、その水針は全て形状を崩し、水の壁と化した。

 そしてエルダがそれに困惑している時。


碧刃(ギュラルメア)


 背後からジャーナの声が聞こえた。

 ゾッと寒気がした。

 咄嗟にエルダは体を屈め、その攻撃を避けた。


「ほぅ。この攻撃も躱すか。」


 その様子を見て、未だ余裕を持った雰囲気のジャーナがそう言った。

 碧刃(ギュラルメア)

 マグダ(父さん)に聞いた話だと、水魔法師が、その水の形状を刃状にして、腕に付けて剣にしたり、投げて攻撃したりする、水属性攻撃系統魔法。

 刃状にするという事自体、魔法では大分と難しいらしく、碧刃(ギュラルメア)を常時発動させる事は出来ないらしい。

 ましてや、空中に幾つも発生させるなど、不可能に近い。


 ジャーナは恐らく、水射針(ミルネア)を壊して(エルダ)が困惑している間に背後に回り込み、碧刃(ギュラルメア)で首を切り飛ばす魂胆だったのだろう。


 次は引っかからない。



「じゃぁお次は、炎で行くとするか。」


 そう言ってジャーナは、自身の周りに、無数の火球を作り出した。


炎弾(バルモ)!」


 そう言った瞬間その火球はエルダを囲む様に配置され、一斉にエルダに向かって飛んできた。

 エルダは何も言わずに、さっきの水射針(ミルネア)で地面に溜まった水溜りの水を使って瞬時に自分を水のドームで包み、大量の炎から身を守った。

 窒素割合を変えても迎撃は可能だったが、それには途轍もない集中力が必要であり、未だに安定していなかったので、使用しなかった。


「………………これも防ぐか。」


 ジャーナは、少し苛立ちを覚えた。


「まぁな。初めっから炎魔法で攻めていれば、勝機があったんじゃねーの?」


 その言葉に、ジャーナはついつい眉間に皺を寄せてしまう。


「糞っ! じゃぁこれでどうだ!!」


 ジャーナは、少し乱暴に叫んだ。


炎獄牢(グラーミル)!」


 その瞬間エルダは、炎のドームに捕まった。

 地面と炎に囲まれ、逃げる事など不可能。

 ………………そう思うのだろう。


「フハハハハハ! 貴様もこれでお仕舞いだ! 死んで詫びるが良い! そちが我に牙を向けるのが何よりの発端。そんな愚行を犯さなければ、死ぬ事は無かったのにのぉ。」


 調子に乗ってジャーナは、エルダを嘲笑した。


 そしてジャーナが笑っている時。


「誰がお仕舞いだって?」


 余所見をしていたジャーナは、エルダの声が聞こえた事に驚き、咄嗟に声のした方を向いた時には遅かった。


「グハァッ!!」


 エルダの拳がジャーナの頬に炸裂し、ジャーナは地に転げた。


「貴様! よくも私の()()()を!!」


 殴られた頬を押さえながらジャーナは、情けない格好でそう言った。


()()が“大魔法”? 笑わせるな。アルゾナ王国の第一秘書の方が、もっと凄かったぞ。」


 エルダはジャーナを嘲笑した。

 だがエルダも少し危なかった。

 あの時は、炎がある区域のみの窒素割合操作が成功したから脱出できたが、もし失敗していたら…………


 エルダは密かに、冷や汗を掻いた。



 さっきの水溜りが炎獄牢(グラーミル)で温められたせいで、水溜りが気化し、場が薄い霧に覆われた。



「んーーーーもう!!!」


 幼児の様に駄々を捏ねながら、ジャーナは起き上がった。


「こうなったら……もう、(アレ)しか無いか。」


 起き上がったジャーナは、両手を前に突き出した。

 そして、


雷風(グロック)!」


 そう叫んだ。

 その瞬間、ジャーナの手の平から、目に見える雷が、エルダに向かって発射された。

 雷風(グロック)

 本来は、相手を麻痺させる程の威力だが、気が立っているジャーナの出した雷風(グロック)は、当たった相手を失神させる可能性すらある様な威力だった。

 当たったらひとたまりもない。

 だが。


「甘い!!」


 エルダがそう叫んだ刹那。

 エルダに向かって直進していた雷風(グロック)が突然方向を変え、ジャーナの方へを向かって行った。


「な、何故?!」


 反応した時には時既に遅し。

 雷風(グロック)は見事ジャーナに命中し、ジャーナは痙攣を起こしながら地面に尻餅をついた。


「何故? 簡単な話だよ。雷っていうのは、空気中の通りやすいところを通って行くんだよ。特に、()()()()()()()()()とか。

 だから俺は、炎獄牢(グラーミル)で熱せられて出来たこの水蒸気を浮遊魔法で移動させて、雷がジャーナ(あんた)の所へ行くまでの()を作った。じゃぁ見事命中。今に至るって訳。」


 そう言いながらエルダは、じりじりと、ジャーナとの距離を詰めていった。

 そしてエルダはジャーナの前でしゃがみ、ジャーナの胸部に手を添えた。

 その瞬間、ジャーナは後方へ吹っ飛び、背中を壁に強打した。

 口から血を吐き、ジャーナの意識は朦朧とした。


「もっとちゃんと魔法を勉強しろ。お前の魔法は、あまりにも脆弱過ぎだ。」


 そう言い捨て、エルダはジャーナを生かしたまま、そこを去ろうとした。


 その瞬間。


「サラナ!!」


 突然ジャーナが叫んだ。


「今すぐその奴隷(ノール)を人質に取れ! 殺しても構わん! いや、殺せ!」


 その言葉を聞いて、サラナは困惑し、エルダは慌てた。


 ジャーナの意図は明確だった。

 サラナが連れているノールの救出に、エルダが加担しているとジャーナは確信している。

 だから、その救出対象であるノールを人質に取らせれば、エルダがジャーナに従うだろう。


 そう言った魂胆だろう。



 サラナは迷った。


 ここで王に従うべきか、自分の正義を貫き通すか。


 王に逆らえば殺される。


 だからと言ってノールを人質に取れば、信頼してくれたエルダやグリリアを裏切る事になる。


 どうすれば……………………






 “一度で良い。

 主君に歯向かってみろ“







 -何かあれば俺が守ってやる-























 



「できません!!!!!!」






 静寂の中で、サラナはそう叫んだ。

 エルダは内心歓喜した。

 サラナは、自分から解放する道を選んだ。

 束縛から解放されんと、主君に抗った。

 たった一言だが、とても大きな一歩だった。




「………………そうか、サラナ。それは残念だ。」


 それを受けてジャーナはそう呟き、痙攣の収まった右手を天に掲げた。


 その瞬間、サラナの背後に、青い炎と水の球が現れた。






 エルダは油断していた。


 ジャーナはもう何も出来ないだろうと。


 だが、まだ動けた。


 サラナに守ってやると言ったのに。


 また誰かを守れずに。


 オーザックの時もそうだ。


 目の前に居たのに、守れなかった。


 少し調子に乗っていたのだ。


 俺は弱かった。


 浮遊魔法師だの言われ続ける度に、“自分は特別な存在なんだ”と勘違いし、自分は強いと勘違いしていた。


 目の前に居る人も守れない。


 弱い自分。



 嫌だ。



 嫌だ。



 嫌だ。







 エルダが手を伸ばした時にはもう遅かった。






 その炎と水がそっと触れた瞬間、その場で水蒸気爆発が起き、サラナは、直撃した。
















 

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