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62:邂逅






 その後、サラナ、エルダ、グリリアの三人は、互いの事について、暫く喋りあった。


 エルダは、カルロスト連邦国を発った後の事。

 サラナは、母が貴族に連行された事。


 エルダは、再びサラナの話を聞いていて、一つの疑問を抱いた。

 何回か聞くうちに、その仮説に、信憑性が増してきた。

 それは………………



 コンコンコン。


 突然、家の扉を叩く音が聞こえた。


「ギニルだ。グリリアは居るか?」


 それを聞いたグリリアは、「済まない、少し席を外させて貰う」と言って、早足で玄関へと向かって行った。

 二人だけになった。

 不意にエルダは、サラナの顔が視界に入った。

 エルダの目線は、そこで止まった。

 サラナの顔がサーッと青くなり、冷や汗の様なものが顳顬(こめかみ)からつーっと流れている。


(何故此処にギニルが? 彼奴は確か、王城で国王に殺された筈だが……)


 サラナが、必死に頭を回した。

 安置所に運ぶ時には未だ、僅かに息があった

 だが、どうもあの状態から生還するなど、信じ切れたものでは無かった。

 だが、玄関から聞こえたあの声は、確実にギニルの声だった。


 どうする。

 勿論ギニルは、サラナの顔を知っている。

 そして、国王の命令内容を知らない。

 なので、サラナを見た時に、何をするか、判ったものではない。

 だからといって、エルダやグリリアがいる中、公に国王の命令内容を話すのは、最も言語道断であった。

 兎に角、出来るだけ自然と、“ギニルを知らない(てい)”で話を円滑に進める事が、この状況での最善手であろう。


 だが抑も、何故ギニルは、このグリリアの家に来たのか。

 ギニルとグリリアの共通点とすれば、“多分”お互いが同じ、サルラス帝国人であると云う、確証の無い想像。

 もしそうであった場合、二人が何かしらの共謀者であったとか。

 ………一周回って、(サラナ)の解放の協力者にもなり得るのか。

 そう云った話は、ギニルと二人になった時にしよう。



「済まないね、待たせてしまって。」


 そう言ってグリリアは、階段を上がってきた。


「いやいや、、全然良いよ。」


 グリリアに、エルダが優しく声をかける。

 そして、そのままグリリアは、さっき自分が座っていた場所に座り、それに後続して、ギニルが、階段を上がってきた。


 ギシギシと階段の軋む音が聞こえる。


 それと同時に、サラナの緊張も高まった。

 国王の命令を悟られてはいけない。

 例えギニルであっても。


 そうして階段を登り終えたギニルは、初めて会うエルダに対して、軽く会釈をし、グリリアの隣へと進んでいた時。

 ギニルの視線が、ある一点で止まった。

 眠っている少女である。

 暫くそこで動きを止めた後、ギニルは、少女が起きた時、極力視界に入らない様な場所に座り込んだ。

 明らかに可笑しな動作であったが、エルダやグリリアは、あまり気に留めていない様な様子であった。


 


 中々ギニルとサラナの視線が合わない。

 サラナはギニルと目線を外しているが、ギニルは、他の事に気が向いているようだった。

 それが何なのか。

 サラナは考えたが、一向に解らなかった。


「は、初めまして。ギニル・フルーブと申します。」


 そう言ってギニルは、少しエルダの方を向いて、深く一礼した。


「ご丁寧にどうも。エルダ・フレーラと申します。よろしくお願いします。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


 そう言って二人は、固く握手を交わした。


 その様子を見ながら、サラナは思った。

 王城で共に働いていた時のギニルのイメージは、何でも(こな)す、模範的な人間であった。

 周りからの待遇を鑑みると、間違い無くギニルは、サルラス帝国出身の人間だった。

 グリリアでの言う所の、ギニルとグリリアは、出生国の差異が無いのだ。

 同郷なのだ。

 だが、グリリアはビルクダリオを救出する立場であり、ギニルは、そのビルクダリオを奴隷と扱う立場である。

 幾ら同郷と言えど、その立場や価値観は正反対。

 関わることの無い筈の。関わったとしても対立は免れない関係の二人が、何故こうして、同じ空間で座っているのか。

 サラナは、益々頭が混乱してきた。


 いや、先ず考えなければいけないのは、この、一つでも口を滑らせたり、会話の中で墓穴を掘ってしまわないようにする事だ。

 先ず、サラナとギニルが、政府の人間である事を悟られてはいけない。

 特にサラナは、エルダにそれがバレれば、国王命令が失敗となる。

 そうなれば、自身(サラナ)の命が危ない。

 ギニルに限って無いとは思うが、うっかり口を滑らせてしまう事が無い様に。


 サラナは必死に、最善手を打てる様に願った。


「…………で、」


 エルダが突然話し始めた。



「ギニルさんとグリリアは、一体どの様なご関係でいらっしゃるのでしょうか?」




「「………………えっ?」」








 

一応伏線のメモみたいなやつは取ってるけど、いざ書くとなると、少し頭が混乱しかけている、この頃です。

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