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59:スラムの少女

全然今の話とは関係無いのですが、問題です。(勿論、解く解かないは、自由です。)

第一章に、グルダスがサルラス帝国の人間である事を示唆させる伏線がありました。何処でしょうか?


ヒントはこの話の後書きに。答えは次話の後書きに〜





「大丈夫?」


 そう言ってエルダは右手を差し伸べた。

 少女は、持っていた包みを、人目を気にしながら抱えて、エルダの手を使わずに、起き上がった。


「す………………すいませんでした。」


 その少女はとても小声でそう言った後、足早にその場を去った。

 少し引き止めようとしてみたが、そんなエルダを一切見ず、少女はスラムの奥へと消えていった。



 得に言葉もかけぬまま少女を見送った後、その少女について、サラナが言った。


「エルダ様。あの少女について、どう思います?」

「どう……って?」

「ほら。あの身体つきを見た限り、恐らくあの子は栄養失調ですね。それに恐らく、あの子の親はもう…………」


 サラナが、自身の世界へとどんどん入って行くのがはっきりと見えた。


「こう言った治安の悪い方のスラムでの子供と云うのは、外出の際親が同行するのが一般的。なのにさっきの子は、一人でした。そう言った事を考察すると、あの子の親はもう、ギャリグローバ(ここ)には居ないという答えに至ります。若しくは既に………………この世を去ってしまったか。」


 俯きながら、サラナがそう言った。


「そうすれば、あの包みは、盗んだ食料とかそこら辺なのかな。」

「あの様子から察するに、恐らくは――――」


 そこまでこの国のビルクダリオの扱いが愚だった事に、エルダは只々失意した。

 そして、自分の故郷は、ビルクダリオの集落の中でも、未だ裕福な方であった事を悟った。

 此処までに国が腐っていたとは。

 サラナが国を潰したいのも、理解出来る。


「………………兎に角…………先を急ごうか。」

「そうですね………………」


 そう言ってエルダとサラナは、先を急いだ。




 そう言って歩き始めて十分後。


 さっきの少女が、路傍に寝ているのを見つけた。

 あんな所で寝ていたら風邪引くぞ……と言いたい所だが、家も無いあの子にとっては、どこで寝ても同じだろう。

 その子には申し訳なかったが、そのままエルダは、少女の前を去ろうとした。

 その時。


「ちょっと待ってください、エルダ様。この子……ちょっと変です。」


 サラナにそう声をかけられてエルダは、ふと後ろを振り返り、少女の様子を見た。

 一見普通に寝ているだけの様に見えたが、よく見ると呼吸が荒く、顔色が悪い。

 もしやと思い、少女の額に手を当てると、とても高熱であった。

 これは拙い。

 元々食料不足で衰弱している中での、この高熱。

 最悪、命に関わる。

 一体どうすれば………………

 そう考えていたエルダに、一人の男が思い当たった。

 幼い頃、エルダの母が未だ生きていた時に、母の薬を買っていたあの薬屋。

 あそこに行けば、何とかなるか。


「サラナ。俺は今からこの子を、昔関わっていた薬師に診てもらうために、この子を抱えて来た道を戻る。それで良いか?」

「はい。時間がありませんので。この子が助かるのであれば何でも。」

「決まりだな。」


 そう言った後エルダは、少女を抱え、浮遊魔法で少し浮かせた。

 普通に抱えるだけだと、走った時の振動が、もろ少女に来て、体の負担になるのでは、と考えたエルダの措置であった。

 普通に浮かせて走るのもありだが、それを他人に見られると、自分が浮遊魔法師である事を隠せなくなる。

 出来るだけ、自分が魔法師である事は、隠したい。


 此処からその薬屋まで、普通に走って約20分。

 歩くと30分。

 これでは遅い。

 ならどうするか。

 答えは簡単で、浮遊魔法で、走っている自分に、ブーストの様なものをかければ良い。

 地面を蹴った時の体の推進力を、浮遊魔法で増幅させる。

 そうすれば、浮遊魔法師である事を悟られずに、速く移動できる。

 そうすれば、薬屋まで10分もかからないだろう。


「行くぞ!」

「はい。」


 エルダは、少女を少し浮かせ、自身とサラナに、走る時の推進力補助をかけて、出発した。


「あれっ? 私ってこんな速く走れたっけ……………」


 自分の走力に驚いて、思わずサラナは声を漏らした。


「俺が浮遊魔法で、走んのに補助かけてるんだよ。そのまま一定のリズムで走ってくれ。そうした方が、側から見て自然に見える。」

「はい。承知しました。」


 そうしてサラナは、一定のリズムで足を前に出す事に専念した。



 

 (エルダ様なら…………或いは…………)

 サラナは、ジャーナの命令を思い出していた。

 [エルダ・フレーラを王城まで連れて来い。手段は問わない。]

 初め見た時は、無茶な命令だと思った。

 だが、こちらに拒否権が無いことは、端から解っていた。

 この命令を(こな)せば、この国の国力は上がるだろう。

 軍事力の強化にも期待出来る。

 だが……………………

 そうなれば………………自身の解放は遠のく。

 (エルダ様…………どうか………………私を…………)


 

 エルダに聞こえぬ様エルダに祈りながら、三人は、その薬師の下へ向かった。







 

ヒント:後書き

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