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【完結】王子で平民な浮遊魔法師の世界放浪記  作者: terurun
第一章:エルレリア開村編
24/267

22:水

今話は少し短めです





 エルダに浮かんだある疑問。

 それは、燃え盛る村を見ていた時に発生した、謎の大量の水について。

 エルダは、ある仮説を立てていた。

 それは、「クレリアが水魔法所有者である」というものだ。

 魔法の発現というのは、強い衝撃や怒りと言った気の動転がきっかけとなることが多い。

 エルダも、幼い頃に発動した時は、何かを不快に感じて泣き叫んだ時だし、二回目の使用も、自分と母を愚弄された怒りだし。

 クレリアの場合、燃え盛る村を見た衝撃が、魔法の発現に繋がったと考えれば、辻褄が合う。

 それに、もしクレリアが水魔法を行使出来るようになれば、村が水不足になる事もないし、もし氷魔法まで使えれば、食料の保存にも困らない。


 エルダは早速、クレリアの元へと駆けた。




「なぁ、クレリア。」


 そう言ってエルダは、クレリアに肩に手を乗っける。


「クレリアってさ。水魔法とか使えたりする?」


 それを聞いたクレリアは、はて? と首を傾げて。


「いや、使えないと思うんだが………………」


 そう答えた。


「前に前の村に行った時、突然現れた大量の水があっただろ? あれが、クレリアの水魔法だったんじゃないかと俺は踏んでいるんだが………………」

「いや、私も試したことが無いので、魔法所持の正否は分からない。もしかしたら、私も魔法師だったりするのか…………?」


 クレリアは、自分が魔法師である仮説に、口角を上げた。


「まぁ、もしそうであれば、村の発展にも大いに役立つだろうし。試してみるか? クレリアが魔法所持者か否か。」


 エルダが、クレリアに聞いた。


「あぁ、村の発展に助力出来るなら、村長としても本望であるし、色々便利だろうしな。」


 クレリアは、豪く率先的であった。




 先ず、魔法というのは連想(イメージ)が大事である。

 浮遊魔法であれば、どの物体をどのように動かすか、つまり、念力(サイコキネシス)のイメージ。

 水魔法であれば、どの位置に、どれくらいの量の、どのくらいの温度の、どのような形の水を出すかと言ったもののイメージ。


 早速、クレリアにそれらを伝え、発動練習に入った。

 クレリアが閉眼し、集中する。


「(場所は目の前の地面付近…………量は少なめ…………温度はぬるい……………………)」


 クレリアが様々な情報を連想しながら。イメージを膨らませていった。

 その瞬間…………!


「…………ん?」


 クレリアの目の前に、本当に小さな雨粒のような水が顕現した。


「まさか…………?!」


 エルダは、魔法の発現に半日がかかり大分と苦労したのにも関わらず、クレリアは、自身の持つ水魔法を僅か数分で行使できてしまったのだ。

 これには、エルダも静かに驚愕した。


「クレリア。お前、水魔法師だ。」


 エルダが静かにそう告げると、クレリアは湧き上がる期待を隠せずに、口角がニヤッと上がった。

 オーザックの死亡、村の焼失と、今まで嫌なニュースしか舞い込んでこなかったので、クレリアは久しぶりに喜んだ。




 その日からエルダとクレリアは、魔法の特訓を始めた。

 後ろでは、ゼルフを含む村民が、せっせせっせと復興を目指して働いている中、邪魔にならない端の方で訓練は行った。

 訓練内容は、只々魔法を発動するのみ。

 浮遊魔法のように、自分の頭に知識を詰め込んだりする必要が全くない魔法なので、ひたすら魔法を発動し続ければ、魔法が体に馴染み、発動が自然な形になる。

 初めの方は、兎に角水を発生させることを目標とし、ある程度慣れてからは、温度を意図的に変えてみたり、量を増やしてみたりと、水を変化させる事を目標とする。

 最終的には、自身の周りに、水の球を幾つも浮かしたり出来る様に、水魔法の多重発動を目標にする。

 それに次いで、ある程度水魔法が行使できるようになった頃から、氷魔法を試してみる。

 氷魔法は、水魔法から派生した、一部の水魔法使いしか使用出来なくて、その人数は、大陸でも数十人しかいないと言われている魔法。使えたら、何かと便利なのだ。


 未だ氷魔法は使えないので、今は兎に角、水魔法の訓練に専念した。

 訓練中のクレリアは、終始、満面の笑みを浮かべていた。










 

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