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走馬灯・・・・ー







 「………………ナ…………………………」






 …………






 「…………………………ガーナ……………………」





 ………………





 「………………ガーナ………………………………」





 ……………………





 「…………ガーナ…………………………」





 …………………………




 「………………ガーナ……………………」 



 ………………………………



 「……ガーナ…………」



 ……………………………………


 「…………ガーナ…………………………」








 パッと目を覚ますと、そこには一人の女性が居た。



 少し屈んで、地面に寝ている俺を覗き込んでいる様。




「………………………………。」



 女性は、俺の背中に手を伸ばして、俺の名前を囁いた。



 …………



 ………………



 ……………………もう、言う事は無い。



 この姿。



 この雰囲気。




 彼女は間違い無く、とうの昔に亡くなった、かつての俺の妻、サージュであった。
































 



















 走馬灯・・・ー



























 

























 ――行き着く先は同じでも。





「よく眠れた?」


 ……


「…………いや、まだちょっと眠たいかな」


 ……


「でももう起きなきゃ」


 そう言いながらサージュは立ち上がった。

 もう俺に立ち上がる気力など無い。

 だがこの地獄は、永遠なのだ。









 


 ――まだ、違う道があるのでは無いかと。



「今日も朝から農作業かな?」


 我が家の前で、そう声をかけられた。


「いや、今日は少し森の方にな」

「そうかそうか」


 クレリア村長。

 温厚篤実な、村長らしい村長だ。

 皆に好かれ、彼も皆を好いている。


「サージュさんも、もう暮らして二年になるけど、どう?」

「長閑で良いところです。元々町に住んで居たので、こういう所で暮らすのが夢だったんですよ。だから、今とても楽しいです!」

「そうか、それは良かった!」


 満面の笑みで、クレリアはそう言い、それに対するサージュも、眩しい笑みを浮かべていた。

 俺は、笑えているかな。


「………………如何した?」

「…………………………あぁ……」


 もう何も喋りたくない

 



 そうして家の中へと入った。


「もうそろそろ夜だから、夕飯にしましょうか」

「ああ、あぁ、よろしく…………」

「うん…………ねぇ、大丈夫? さっきから様子変だけど…………」

「………………ごめん」


 本当に、ごめんなさい。











 ――そう、思いたかった。


 

「聞け! 村の者!!」


「この村は、我らオームル王国が支配する! 早速、この村の中央広場に全員集まるように! 時間は三分! それまでに来なかったものは、躊躇なく殺す! さっさと出てこい!」


 俺は出て行った。








 



 ――そう。思いたかったんだ。


「解放者であるガーナさんを、少しお借りしてもよろしいでしょうか。」


 変わる事のない未来に何を期待しているのだろうか。

 そうして俺は、同じ轍を何度も踏む。

 何度も、何度も。

 もう諦めていても。

 未来に希望を見出していなくても。

 こうして気付けば彼女に逢いたいと奮起している。

 嗚呼、一体俺はなんなんだ。

 そんなに逢いたくても逢える未来が訪れない事くらい、もう理解しているだろう。

 俺はこうなる運命なのだ。

 こうなる他道は無いのだ。



 廊下を歩いた。

 この先で俺は斬首され死ぬ。

 もうこの死は二度味わっている。

 これで三度目だ。

 斬首はあまり痛く無いから良い。

 前みたいに弓で殺されたら痛くて仕方ない。

 あんな死に方は嫌だ。

 死ぬなら、楽に死にたい。

 どうせもう一回この世界を生きる事となるのだから。


 でも、やっぱり逢いたいなぁ。

 如何しても、如何しても、君を忘れる事は出来ないのだ。

 逢いたい。

 逢いたい。

 一度でも良い。

 その顔を眺めるだけでも良い。

 ……いや、それだけじゃ嫌だ。

 その名を叫んで。

 手を握って。

 抱き合って。

 口付けをしたい。

 そのまま、二人きりになりたい。

 二人きりになって……伝えたい。

 逢いたかった、と。

 愛している、と。

 もう、離れたく無い、と。

 そう、伝えたい。

 逢いたい。

 逢いたい!

 逢いたい…………


 何で俺は諦めたのだろう?

 逢いたいのなら、足掻けば良い。

 生き足掻けば良い。

 何で俺はまた死のうとしたんだ?

 逢いたいのなら、そうすれば良い。

 こんなところで死んでいる場合じゃ無い。

 何とか生きて、サージュに逢うんだ!!



 広場に着いた。

 此処で俺は殺される。

 だが、そうはいかない。

 いつも此処で背後から腕を組まれ、拘束される。

 その前に後ろを向き顔面を殴る!

 鼻を折った感触がした。

 その隙にその兵の持っていた剣を抜き取る。

 そしてその兵が振り向き抜剣しようとするがその剣は俺の手の中。

 無くて動揺している隙にその剣で首を切り落とし、一人討伐。

 それに対して動揺し硬直している兵には遠慮なく持っていた剣を心臓部分に突き刺し、絶命。

 後一人はその隙に既に剣を抜き、構えていた。

 そして俺の脳天を狙って剣を振り下ろしてくる!

 それを俺は持っていた剣を横にして受ける。

 流石は腐っても一兵士。

 剣の腕前はそこそこと言ったところ。

 だが、攻め方が安直なのだ。

 受けていた剣を少し傾けた。

 するとその面に沿って相手の剣がずれ落ちて行く。

 そうして受け流した後、その隙にガラ空きの脇腹を切り裂く。

 途中で相手が動いたので想定よりは浅い傷となったがそれでも致命傷。

 相手は決死の一撃を敢行したが、既に出血多量で意識も朦朧としているだろう。

 そんなヘナヘナな剣で俺が死ぬ筈も無し。

 慈悲などない。

 その剣を弾き飛ばし、そのまま相手の首を切り飛ばした。

 地面に鮮血の水溜りが幾つもできた。


 俺は死ななかった!

 諦めなかったから、死ななかった!

 これで、これで逢いに行ける!


 サージュ、待っていてくれ。

 今、俺が逢いに行くから。








 



 

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