魔法学に於ける魔力概念の総括
一、魔力保持
魔法発動に於いて条件となるのが魔力の有無である。
魔力の有無は出生時点で決定され、所持しない者が魔力を手に入れる事は現状出来ない。
現在サルラス帝国にて非魔力保持者の魔法能力獲得に関する研究が進められているが依然研究は芳しくない。
よって筆者は、魔力とは遺伝性のあるものであると考えている。
過去の魔力保持者の血縁を参照すれば、その魔力保持者の両親の何れか、又は両方が魔力保持者である事が確認される。
つまりは、魔力保持者は魔力保持者の血を親から譲り受けているのだ。
二、魔力概念
一般に魔力とは、術者の体力と同義であると言われている。
根拠として、魔法の発動を繰り返すと、疲労と見られる反応を術者が示すからである。
息切れ、頻脈、発汗等。
その他様々な症状が見られる。
言わずもがな魔法の発動には魔力を要するのだが、それに伴って体力を消耗していると考えれば、前述の症状の説明が可能である。
魔力を使用すれば疲弊し、逆に疲弊した状態では魔法は発動できない。
よって魔法は、長期戦に向いていないという事が解るだろう。
魔法による戦闘は、遠方からの狙撃による短期撃破が望ましい。
魔法を使用する上で一つ重要な事がある。
それは、短時間に使用しすぎない事だ。
或いは、それと同等の量の魔力を一度に使用する事だ。
前述した通り、魔力とは体力と同義なるものである。
過労死という言葉が世に存在するように、また魔力を過度に使用すれば過労死をする。
過労死とは、疲労が溜まりに溜まった末に起きる。
その理念の元過労死が語られるならば、或いは魔力の使用でも同様の事が起こりうるのだ。
それを確実性のあるものにした魔法が一つある。
炎魔法の一種であり、一般に『暁光蝶』と呼ばれている魔法である。
あの魔法は、魔法学に於ける炎魔法の最高位魔法であり、現状炎魔法を行使する事により実現する破壊効果を最大限にした魔法である。
だがあの魔法を発動させた術者は死に絶える。
前述した過労死と同じ効果が起こるのだ。
よって術者は、魔力使用過多により死亡する。
そう見ると暁光蝶という魔法は、使える魔力を全て使い果たして行使する魔法の中で最も破壊効果の高い魔法形態を実現させているのだ。
魔力使用過多に陥ると死に至る可能性をしっかりと留意した上で、魔法師は魔法を使用しなくてはならないのである。
「魔法歴大全(ブレインズ・バックローン著)」より抜粋
「第四章:魔法学に於ける魔力概念の総括 一、二」