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絶命魔法師の計策①






 どうやら過去の私は、懸命だったらしい。

 過去の私は、その代に起こった事を日記として纏めてくれていたのだ。

 そしてそれが、オームル王国城の地下書庫に眠っているのだから。

 幸運だな。

 そのお陰で私は過去の史実を粗方知り得ることが出来た。

 どうやら私の今の力は本来の力では無いらしい。

 今の私の能力は、自身の触れている生物を死滅させられると言うもの。

 だが本来は、万物を消滅せしめたる事が出来るらしい。

 そしてその力を奪っているのが、転生魔法師であると。

 巫山戯ているな。

 そんなしがらみ。

 私は嫌だ。


 だから私は、何年も、何十年も、このしがらみから解放されるまでずっと努力をし続けた。

 研究に次ぐ研究。

 その為に王国城を乗っ取り、軍を率いて、サルラス帝国を作った。

 魔法研究の為に。

 そうして数十年。

 未だに進歩が無い。

 そこで私はある考えが浮かんだのだ。

 もういっそうのこと、その転生魔法師を殺して仕舞えば良いのでは無いかと。

 幸い、私の寿命はザルモラの創作魔法で何度も若返らせて貰っているので無限だ。

 だから、結局は転生魔法師も寿命で死ぬだろう。

 それを待つのも良いが、それは嫌なのだ。

 ちゃんとこの手で、嬲ってやりたい。

 だから、手当たり次第我が国の領土を広げていった。

 領土を広げれば、その分転生魔法師を探し易くなる。


 そんな時だった。

 此奴が、私の前に現れた。

 異なる三つの魂を感じる男。

 名は……エルダと言ったな。

 その魂の内、一つはエルダ本人のもの。

 二つ目は、おそらく転生魔法師のもの。

 三つ目は…………恐らく転生前の人物のもの。

 そうか。

 転生魔法師は自死の道を選んだのか。

 今までは自身に転生魔法を施していたが、どうやらそれを他人に施したらしい。

 そうなればどうなるか。

 生涯で一度しか使えない転生をした転生魔法師は、もう転生できない。

 よって、今までの何百、何千の記憶が全て無に帰すのだ。

 本当の意味で、転生魔法師は死ぬのだ。

 これで。

 これで私は解放されるのだ!

 嬉しい!

 嘗て私がこれ程までに喜んだ日はあるのだろうか。

 後少し。

 後少し待つだけで、私はしがらみから解放されるのだ。

 あぁ、楽しみだ。


 あぁ! 楽しみだ!!







 

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