5話 自己紹介
青年についていくと、青年のほかにも3人の男性がいた。
みんなしっかりと鍛えられているのがよくわかる。
一人は長髪に切れ目の頭のよさそうな男性。もう一人はクマのようながっしりした体形に髭を生やした男性。もう一人は、程よく鍛えられた体に一番落ち着いた大人な雰囲気を纏った男性である。
「お~い。みんな、起きたよ。この子の分も切り分けてあげて。」
そう言って、青年は私をその3人のところへ連れて行った。
先ほどから私の前を歩いている青年は、くせっ毛にまだ幼さの残る顔つきをした165センチぐらいの男の子だ。それでも、この男の子もある程度鍛えられているのが分かる。
「やっと、起きたんですか。もう昼ですよ。」
「ガハハハッ、良く寝るのはいいことだ。大きくなれるぞ!」
「おはよう。肉しかないが一緒に食べよう。それよりもデューク、裸足のまま連れてきたのか?」
口調から、だいたいの為人が分かる。
声をかけられて気づいたが、私は今パジャマなのだ。それに裸足…。顔も洗ってないし、化粧もしてない。急に自分のカッコに気づいて恥ずかしくなった。今まで男性と付き合ったことはないのだ。パジャマ姿なんて家族と女友達にしか見せたことはない。こんなカッコを見られるなんて‥‥。
一人で赤面していると、それに気づいた男性が薄いマントのようなものをかぶせてくれた。
「デューク、少しは気遣ってやれ。着替えを用意してやりたいが、今はこんなものしかないんだ。すまないな。靴は後で予備を用意しよう。サイズは会わないだろうが、ないよりはましだ。」
さりげない優しさにうっかりときめきそうになる。
「いえ、お気遣いいただきありがとうございます。」
まだ、現状を理解できているわけではないがとりあえず促されるまま切り株の上に腰を掛けた。
「そっか、ごめんね。僕そういうの慣れてないから気づかなかった。確かにそれ寝間着だって言ってたもんね。」
おお~い!そういうこと言うなよ!余計恥ずかしくなるだろ!
そう思っていると
「デューク、そういうところですよ。貴方の発言は彼女に恥をかかせてしまいます。」
いや、そうだけど、あなたのその発言もどうかと‥‥。
「まあまあ、カッコなんてどうでもいいじゃねえか、とりあえず肉を食べよう。俺はジャックだ。お嬢ちゃんよろしくな!」
そう言って、クマのような男性はニカッと笑って言った。
「私は、ギルバートです。貴方の素性はわかりませんが、まあ、貴方が何かできそうな感じはしないのでとりあえずよろしくお願いします。」
なるほど、この人はきっと小姑タイプね。
「俺は、ジョゼフだ。こんなむさくるしいところですまないが、困ったことがあれば遠慮せずに行ってくれ。」
きっとこの人がこのグループのリーダーと言ったところかしら。
「で、僕がデュークね。この中では一番下っ端だよ。君の名前は?」
名前…。
「あ、‥アリサです。よろしくお願いします。」
とっさに噓をついてしまった。この人たちはきっと信用できるだろう。だけど、名前を教えてしまったらこの夢から戻れなくなる気がしたのだ…。そんな予感がした。