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2話 森の中での出会い

 あ~あ、ついてない。

 なんで僕が伝言係なんてめんどくさいことしなきゃいけないんだ。丸二日もかかったじゃん。帰ったら絶対奢らせる!

 


 心の中で悪態をつきながら森の中を馬で進む。もう少ししたら湖があったはずだ。そこで休憩をしよう。馬にも水をやらなきゃいけないし。



 目的地に着き、馬を引きながら湖へ向かうと、人らしきものが倒れているのが目に入った。ゆっくり近づいてみると、女の子だった。

 えっ?もしかして死んでる?

 びっくりして口元に耳を近づけると、スース―と心地よさげな寝息が聞こえた。



 良かった~。って、良くないよ!なんでこんなところに女の子がいるの?ていうか、なんで寝てるの?



 疑問がいっぱい頭に浮かぶが、とりあえず起こしてみることにした。


「お~い。」


ツンツン



 何度か呼びかけながら、その柔らかいほっぺをつつく。何度か繰り返していると、女の子はゆっくりと目を覚ました。



 わあ、真っ黒な瞳。暗い茶色とかはよくいるけど、真っ黒は初めて見た。



 女の子は、そのまま寝ぼけた様子で周りを見渡している。声をかけるとこちらを向いたが、じっとこっちを見て何か考えている。



「ねえ、聞こえてるの?」


 

目の前で手を振りながら聞くとやっと反応があった。



「えっ、あぁ、ごめんなさい。ちょっと自分に感動してて。」


 ん?それどういう状況?


「?よくわからないけど、君、なんでこんなところで寝てたの?ここ結構森の奥だけど。」



 すると、女の子は不思議そうな顔をして答えた。



「なんで?さあ?夢に理由を求めても仕方ないでしょ。多分、雑誌かなにかで見たんだと思いますけど…。」


 

 ますます、意味が分からない。それから少し会話をしたけど、全く会話が成り立たない。何、この子。見たところ、顔もこの国の人間じゃないみたいだし、着ている服も、生地は見たことないものだし、何よりこの国では女性が着るようなものじゃない。それに裸足だし。



 とりあえずどこから来たのか尋ねると黄金の国ジパングだといわれた。何それ、それどこのこと?聞いたことないんだけど。ほんとにこの子どこから来たの?



 裸足の割には、足は汚れてないし傷もついてない。着ているのは寝間着らしいけど、平民が着るにしては上等な生地だ。肌も、髪もよく手入れが行き届いてる。‥‥どこかの世間知らずなお嬢さまか?



 自分で歩いてきたわけじゃないのは確かだろう。どこかに連れでもいるのか?とりあえず、こんなところに女の子が一人でいるのは危険だ。早く帰った方がいいだろう。



「?。えっと、ごめん。よくわからない。よくわからないけど、女の子がそんな格好で、こんな森の奥に一人でいたら危ないよ。なんでここで寝てたのかは、堂々巡りになるからもう聞かないけど、早く帰った方がいいよ。」




 そういうと、女の子は少し考えるそぶりをしてうなずいた。やっぱり、連れがどこかにいるのだろう。そこまでは送り届けてあげるか。そう思って、女の子の方を向くと、



「そう。残念だけど、ならもう帰るね。また、会えるかなぁ~?同じ夢を見るってなかなか‥なぃ‥かr‥。もう、会えn‥ぃ、かも‥ね。バイバぃ」



 と、つぶやきながら再び横になって眠りだした。



「えっ!!ちょっと!君何してるの?!ていうか、なんでまた寝るの!?ちょっと~!」



 え~~!えっ?なんで?どういうこと?

 


 どれだけ揺さぶっても、女の子は目を覚まさない。えっ?どうすんのこれ?



 仕方がないので起こすのをあきらめて、しばらくその子の連れが現れないか待ったが、一向に現れる気配がない。



 どうしよう。これ以上は僕も待てない。早く帰らないといけないし。といっても、女の子をここに置き去りにするわけにもいかない。



 はあ~。もう、ほんとについてない。



 しょうがないのでその子を馬に乗せて連れて帰ることにした。






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