1話 夢の中
突然頭に思い浮かんだので、勢いで書いてみました。
ほかにも連載中の小説があるので、ゆっくり書いていきたいと思います。
「‥‥~ぃ、ぉ~い。」
う~ん。うるさい。
ツンツン
何かが、私のほっぺをつついてくる。
「ねぇ、君、大丈夫?お~いってば。」
ツンツン
パッシ!
煩わしいその何かを手で払いのける。
「お~い。」
何?さっきからうるさいなぁ!
私はゆっくりと目を開けた。ぼやける視界の中に緑が映り込む。?、草?なんで?。…花も咲いてる。ゆっくりと体を起こすと、私は湖の傍にいた。周りには木がいっぱいだ。どうやらここは森の中のようだ。
ああ、なんだ。夢の中か。
「ねえ、君、聞こえてる?無視しないで。」
声がする方を向くと、中世ヨーロッパ風の服を着た青年がいた。あら、私の脳内すごいわね。こんな美形を想像で生み出すなんて。それにその服も、最近、ヨーロッパ世界遺産特集の雑誌を読みすぎたせいか?
「ねえ、君聞こえてるの?」
頭の中でしゃべっていると、再びその青年に声をかけられた。
「えっ、あぁ、ごめんなさい。ちょっと自分に感動してて。」
「?よくわからないけど、君、なんでこんなところで寝てたの?ここ結構森の奥だけど。」
「なんで?さあ?夢に理由を求めても仕方ないでしょ。多分、雑誌かなにかで見たんだと思いますけど…。」
「?」
そう答えると、困惑したような、理解ができないというような顔をされた。
「えっと、君、結構不思議ちゃん?」
「えっ?そんな事初めていわれた。というか、夢はもともと支離滅裂で、整合性のないものでしょ?」
「えっ?どうしよう。全然会話が成り立たないんだけど‥‥。」
困惑している青年を置いて、とりあえず立ち上がった。すごい、草や土の感触まで現実とそっくり。スーと森の新鮮な空気を吸い込む。空気も、森の霧も鳥のさえずりも、良く再現されている。それとも、私の脳が勝手にそう解釈しているだけなのか。
‥‥それにしても、
下を向いてじっくり自分の姿に目を向ける。なんで私はパジャマのままなの?そこの青年は中世ヨーロッパ風の服なんだから、私も町娘っぽい服にしてくれればよかったのに。
「ねえ、君ほんとにどこから来たの?その服も見たことないし?それにその服の生地、麻でも、絹でもないよね?」
気を取り戻した青年が再び私に問いかけてくる。
夢とはいえ、一応初対面だし、敬語の方がいいかな?それとも、夢だからタメ口でも大丈夫?
「私は日本から来ました。それと、これはパジャマ。多分生地はポリエステルか何かだと思うけど、よくわから…わかりません。」
「日本?パジャマ?ポリなんとかって、何?」
なるほど、日本も、パジャマもわからない設定なのね。だいたい夢っていろんなものが混じってるけど、今回の夢は良く作りこまれてる。
「日本は、地球上にあるユーラシア大陸のアジア州にある国ですね、四方を海に囲まれた島国です。この時代だと、黄金の国ジパングって言ったらわかるかな?で、パジャマは寝間着?のこと。ポリエステルは私もなんて説明したらいいのかわからないけど、ペットボトル…いや、これもわからないよね。えっと、人工的につくられた生地です。」
「?。えっと、ごめん。よくわからない。よくわからないけど、女の子がそんな格好で、こんな森の奥に一人でいたら危ないよ。なんでここで寝てたのかは、堂々巡りになるからもう聞かないけど、早く帰った方がいいよ。」
どうやら私の心配をしてくれているようだ。帰った方がいいといわれても、う~ん、目が覚めたら帰れると思うけど…。もう一度ここで寝たら目が覚めるかな?あ~あ、もうちょっとここにいたかったけど、夢の中の住人に帰れと言われるなら、もう朝が近いのだろう。私の体内時計が、きっと目覚めを促しているのだ。それに、少しまだ眠い。もう時間かな?
「そう。残念だけど、ならもう帰るね。また、会えるかなぁ~?同じ夢を見るってなかなか‥なぃ‥かr‥。もう、会えn‥ぃ、かも‥ね。バイバぃ」
私はもう一度、横になって眠る。
「えっ!!ちょっと!君何してるの?!ていうか、なんでまた寝るの!?ちょっと~!」
青年が叫びながら私を揺するところで意識が途絶えた。