毒キノコはご馳走です。
ワカが気づくと包帯でぐるぐる巻きになって
村の教会のベットで寝ていた。
「ひどい大怪我で運ばれてきたんですよ、しばらく安静になさってください」
包帯を巻き終わったシスターが声をかける。
「すいません、お世話かけます」
「それと、先ほど村の女の子から守ってくれたお礼にって」
それは野草やらキノコがたくさん入った手籠だった。
ああ、あの子か
スライムの大群に追いかけられていた村娘の顔が浮かんだ。
勢いよく前に出たはいいけど、俺なんもできてないんだけどなぁ・・・
なんか申し訳なさしかでてこなかった。
「今日は野草キノコ鍋にしましょう」
シスターがそういうと手籠を丸ごと持って調理しに行った。
しばらく経つとぐつぐつと煮込まれた野草とキノコの腕を持ってきた。
「できましたよ」
「ありがとうございます。美味しそうです」
「腕動かせないんでしたっけ、食べさせてあげますね」
スプーンに色とりどりの野草とキノコを乗せて口に運んでもらう。
シスターさんにあーんしてもらう、これなんてご褒美?
「うん、特にこの斑点の赤いキノコが美味しいです」
ほどよい塩味と旨味が口に広がる、何杯でも行ける味だ。
ひとしきり、食べ終わるとシスターさんが部屋を出ていく
「では、私たちも食べてきますね」
しばらくすると何やら教会へ慌ただしく入ってきた人物がいた。
先ほどの村娘だろうか?
「大変、毒キノコが混じっていたみたいなの」
「そんなもう食べちゃった・・・」
シスターの声が聞こえると同時に嘔吐している声が聞こえる。
「うぷっ、おえええ」
教会内の神父やシスターたちが嘔吐していたが、
俺は逆に体力がみなぎっているのを感じた。
よく見ると顎などの骨が折れたと思った箇所の痛みがひいていた。
「え、もしかして、これって毒キノコが怪我に効果があったのかな?」
ベットから起き上がると上着を着て様子見にいく。
その後は村娘と共に教会の人たちを逆に介抱してまわった。
介抱が終わったあと、村娘を尋ねる。
「結局、どれが毒キノコだったんですか・・・?」
「これですね・・・」
村娘がポケットから斑点がついた赤いキノコを取り出す。
あ、やっぱそれ毒キノコだったんだ
見るからに毒々しいというか目立つし普通のキノコとそもそも色違うもんな
「そうなんですね、なんで混じっちゃったんですかね、
他のキノコと比べても明らかにわかりやすいのに」
「あのときはスライムたちに追われてて、
森の中を慌てて走ってる最中に転んで、よく見ずに他のキノコと一緒にいくつかうっかり入れちゃったみたいで
普段なら間違えないんだけど・・・」
追われているのに、たくましいというか結構余裕あるな・・・
まあ、本人に悪気はないから不問にしておこう
「このキノコってどこに生えているか場所覚えてますか?」
「まさか、取りに行くんですか?」
「ええと、そうですね毒キノコ自体生えないように根こそぎ摘み取っちゃおうかなって」
というのは建前で怪我が治ったのがやはりこのキノコのおかげなのか確かめたかったのと
何より美味、これをおかずにご飯何杯でも行ける
「あの・・・ヨダレ出てますけど」
「え、いやだなぁ、毒キノコですよ、そんなわけないじゃないですか、あはは」