エリクサーは劇薬です。
俺の名前はワカ、
伝説の勇者の一族の血を引いている。
というのは聞こえがいいのだが、
実質最弱の勇者だと自分でも思う。
子供の頃から最強の勇者である両親から
あらゆる武芸、魔法を叩き込まれたのだが、
武芸を極めれば極めるほど、武器の威力が
魔法を極めれば極めるほど、魔法の威力が
落ちてしまったのだ。
挙句の果てには村の近郊にいる最弱のモンスターのスライムですら満足に倒せない始末。
対照に妹のサグメは両親の血を色濃く継いだのか
着実に最強勇者の道を進み、各国から勇者認定をもらい、魔王を倒す候補筆頭となっている。
そんなわけで俺は両親から見放され、
村でひっそり農作業に営んでいるわけだ。
「大変だ、村にスライムの群れが侵入してきたぞ」
他の村人たちが騒いでいる。
モンスターが侵入することはそう珍しいことではない、
そういう事態に備えて小さな村では自警団などがボランティアで結成される。
大きい街とかだと傭兵とか雇うんだろうけど・・・
「おい、ワカお前も戦え、仮にも伝説の勇者一家の長男だろ」
「あー・・・俺、逃げてもいいっすか?」
村人たちは俺が両親から見捨てられているのは知っている
「逃げたとしても、村の作物とか全部駄目になってもいいのか?こんなときの勇者だろ」
「わかった、わかりました」
俺は渋々、家の伝説クラスの武器防具を装備して戻ってくる、
両親や妹は勇者業で世界を飛び回っているため普段この村にいない。
この周辺は基本的に雑魚モンスターしかいないため、ここにいてもあまり意味がないという判断なんだろう。
村の入り口で待ち構えていると
村娘の一人がスライムの大群から逃げてくる。
「助けてぇえええ」
付近の森にいった帰りなのだろうか、手籠には野草やキノコが覗かせていた。
「よっしゃ、来い!」
他の村人たちと共にスライムの軍勢を迎え撃つ
「伝説級クラスの剣の秘技くらえ!!ファイナルアルティメットブレイククラッシュ」
縦横無尽に飛び回りきらびやかな流星のような無数の剣劇がスライムたちを切り刻む
はずだった・・・
ぼよんぼよん、まるで優しく突かれたの如く
スライムたちは全くの無傷で突進してくる
「ですよねー・・・」
次の瞬間、反撃とばかりにワカにスライムたちがのしかかってくる
「うおおおおおおおおおお」
見る見るうちに体力が削られ体の節々に激痛が走り、骨が軋む音がする
骨何本か折れたんじゃないだろうか、これ
「大丈夫か?」
気づくと他の村人たちはスライムたちをすでに倒して助けに来てくれたようだった。
「あー・・・ありがとうございます。」
顎の骨もくだけているのか、なんとか声を絞り出す。
「これはやばそうだな、これでも飲んで回復して」
助けに来た村人が持ってきたのは最高級の回復薬であるエリクサーだ。
体が思うように動かせない俺は口の中にエリクサーを流し込まれる
「いやあああああああああ、痛い痛い痛い、うおおおおおぐえええええええ、死ぬ死ぬううううううう」
喉が焼けるような痛みに襲われ、視界が明滅する。
意識が遠くなるのを感じた。
「あれぇ、おかしいな、エリクサーだよな、これ?良薬口に苦しってレベルじゃないよな・・・」
村人がそうこぼしたがワカはすでに気を失っていた。
こんな感じでコメディ感強めで書いていきたいと思ってます。
もし気に入っていただけましたら、評価ブックマークいただけたら励みになります。