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あべこべ勇者  作者: τελαδοηβυλι
蘇生魔法で生き返れると思った?残念、邪法じゃなければ無理でした。
16/65

金は命より重い!と偉い人が言いました。

俺とハカセはポルトスのギルドに来ていた。

街から外れの風車小屋にいくより、ギルドに来て先に情報を集めたほうが良いと判断したからだ。


俺たちがギルドに入ると何やら広間の中央に人だかりが出来ていた


「なんだ、なんだ?」


「勇者同盟の創立者のじじいとギルド長が喧嘩だってよ」


中央にはメイガスと大剣を背中に背負った顔や半裸の体中傷だらけのガラの悪そうな大男がいた、わかりやすく悪人面だ。


「じじい、帰ってきやがったのか、どの面下げてギルドに来たんだ、あぁん?」


「なぁに、この街に魔王が潜伏している情報を聞きつけてな、お主のところにも忠告しに来たんじゃよ」


「けっ、余計なお世話だ」


「お主のところにおる冒険者共の中にそれらしき人物は見なかったかのう?」


「うちの冒険者の中に魔王がいるってか?はっ、寝言は寝て言え、

うちのギルドは仕事の依頼を受ける前に厳正なる審査をしている、

それにこの街で何か不祥事起こしたら、ギルドが運営している裁判所で即刻牢屋行きか死刑だぜ」


「今日大量の黒玉がこの街に運び込まれたと聞いてのう、

これはネクロマンサーが術に使うもの、お主は何か知らぬかのう?」


「知らねぇなぁ・・・生憎俺は魔術に疎いんでなぁ」


メイガスとギルド長が目線で火花を飛ばす。


「メイガスのじいさんとギルド長って仲悪いのか?」


「ギルドはギルドで勇者以外の冒険者を集めているし、

勇者連盟と役割がかぶっているでござる、

言ってみれば競合相手でござるな・・・

メイガス様が勇者連盟を設立する際にギルドから何度も嫌がらせを受けたと聞いているでござる」


俺たちを見つけるなりメイガスはつかつかとこちらにやってくる


「金は命より重い!」


「へっ?」


「ワカよ、お主は武器防具屋で無駄遣いしおったな」


「え、いや、だって潜伏している魔王を探すためには鏡が必要で必要経費だと思ったので」


「ばかもーん、ギルドの直営店で買うやつがあるかい!その金の一部はギルドに上納されるんじゃぞ」


「毎度ありー」


後ろのほうでギルド長がニンマリ悪そうに笑って手でお金のマークを作る


「そんな事言われましても・・・ギルドと勇者連盟の関係知らなかったんですって」


「いいか、繰り返すぞ、金は命より重い!復唱するのじゃ!」


「か、金は命より重い(わ)!」


ん?今俺以外の声が混ざっていたような?


「あら、ごめんなさいね、良い言葉だったからつい賛同してしまいましたわ」


鞭と雨のムチムチお姉さん、もとい堤防で監査していた関税官がそこにいた。


「今日の関税徴収分よ」


「ほほう、今日はやけに多いな、フェミニご苦労だった。明日もよろしく頼む」


ギルド長はフェミニから金貨がどっさり入った袋を受け取り、

背に担ぐとギルドの奥の部屋へと帰っていく。

その間に怒り心頭なメイガスはギルドを出ていった。


「坊やお金は大事にしなさいよ?

じゃないといざというときに助かるものも助からなくなっちゃうわよぉ」


フェミニは俺の顎をつかみ、妖艶に覗き込んでくる。

俺はフェミニを睨み返す。

くっ、俺は屈しないぞ、汚い大人なんかに


「脅かしすぎちゃったかしら、じゃぁね」


フェミニは俺の顎から手を離すと色香を撒き散らしながら、ギルドを去っていく。


「ああ、フェミニ様は今日も見目麗しい」


「デュフフ、自分も足蹴にされて顎掴まれたいお」


「私も私も!お姉さまに寵愛されたい、はぁん」


のっぽの槍使い、太り気味の戦士、女魔法使いが恍惚としている。

駄目だ・・・こいつら早くなんとかしないと

ギルドの連中はこんなのばっかなのか?


フェミニがギルドを出る際にポケットから何か落としていく、小瓶のようだ。

俺はこっそりとその小瓶を拾い上げる、

中身は見てみると黒い粉で黒玉をすりつぶしたもののように見えた。


「商人から巻き上げたものかな?」


「あら、落とし物ですかね?」


ネクタイにおしゃれなスーツ姿のギルドの受付嬢が尋ねてくる。


「あ、そうみたいです。」


「私どもの方で預かっておきますね」


ついでなのに俺はギルドの受付嬢にギルドの馬車の貸し出しをしているのか尋ねてみる。


「あの、ギルドの馬車の貸し出しはしているんですか?

先程道具屋で大量の積荷をギルドの馬車で風車小屋に運んでいったという話を聞いたのですが」


「残念ながら、ギルドメンバー以外には貸し出しはしていません。

ギルドの直営店とギルド所属の冒険者が対象となっております。

どの馬車が何を運んでいるかは流石に私どもも全て把握しているわけではないので・・・」


これは少しきな臭い感じになってきた。

ギルドの関係者にネクロマンサーの魔王もしくはつながっているものがいるかもしれないというメイガスの指摘は正しいのかもしれない。

ただ、そうなると道具屋の金髪ゴスロリの少女が購入していったという証言がますます奇妙になってきたが・・・

そもそも、魔王はそんなに大量の黒玉を使って何を企んでいるのだろうか?


気づくと日が落ち始めていた。

俺たちはギルドを後にして一旦、勇者連盟の本部に戻ることにした。

本部の会議室に戻っていたのはマックスだけだった。


「おお、ワカとハカセじゃねぇか、遅かったじゃねぇか。

俺も街ン中走り回ったんだけどよ。

全然わかんなくってよ戻ってきちまったぜ。」


あ、方向音痴でも一応帰ってはこれるんだ。

でもよく見ると頭や服には葉っぱや木の汁が付いていたり、

ズボンはずぶ濡れになっていたりしていたので

どこを探してたのかは突っ込まないでおいてあげよう。


「しかし、遅いでござるのお」


「確かに遅すぎねぇか・・・流石にこんな時間まで他のみんなは探しているのか?」


ハカセはPOC3と戯れ、マックスはスクワットを始める。

俺は会議室の窓の外をぼんやり見ていた。

しかし、待てど暮らせど、サグメ、ジャキガン、フラウの三人は帰ってこなかった。

日が沈むと同時に雨がシトシトと振りはじめ、周囲は真っ暗になる。


「ちょっと、流石にこれはおかしい、俺探してくるわ」


俺は会議室の席から立つとハカセとマックスも立ち上がる。


「僕らもいくでござる」


「そうだな、仲間だもんよ」


俺たちは会議室から出て本部の入り口の門を開け

外に出ようとしたところ、足に何かがぶつかる、

足元を見ると俺は凍りつく


「どうしたでござるか?」


「おいおい、まじかよ・・・」


そこにはフラウの左腕が落ちていた。

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