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あべこべ勇者  作者: τελαδοηβυλι
蘇生魔法で生き返れると思った?残念、邪法じゃなければ無理でした。
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地図が読めない男、話を聞かない女

俺とハカセはジャキガンを医務室に運びミイラのごとく包帯でぐるぐる巻きにする。


「これで我を屠ったつもりか、我はいずれ必ずや復活し貴様を亡き者にしてくれるわ」


とかジャキガンはあたかも魔王の負け惜しみのようなことを(のたま)っていたが

俺たちはスルーして食堂の方へ向かう、

周囲はすっかり夜になっていた。


「やれやれ、まさかこんなことになるとは・・・」


「いやぁ、メイガス様が言ってたことは本当だったでござるねぇ、

相手が強ければ強いほどワカどのは実力を発揮する。

ひょっとしなくともサグメどのより強いのではないのでござらぬか?」


「・・・その話は止めてくれ、俺はいつもあいつと比較されて育ってきたんだ」


「なんかごめんでござる・・・他所様の家庭事情まで口挟んで申し訳ないでござる」


「いや、いいんだ、

それよりも以前メイガスのじいさんにコスモテックプロミネンスビックバンを放ったことがあったのだけど、

その時は全く無傷でさ、メイガスのじいさんって強いのか?

さすがに俺にとっての最強炎魔法のフレイムは躱してたけど」


「あー、それは多分、事前にマホトールとか張っていたんではないでござるかねぇ、

で、フレイムのときは流石に吸収しきれないと読んで避けたのかもしれないでござるかもねぇ」


マホトールは魔法を吸収する上級魔法だ。

ただし、ものには限度がある、限界を超えると吸収しきれず、術者にダメージが行くのだ。


「なるほど、魔法が故に威力を吸収する対策が取れたわけか、

他にもリフレクトマジックなどの手段も驚異になりそうだ」


リフレクトマジックは相手の魔法をそのまま跳ね返す上級魔法だ。

いわずもがな、強大な魔法の使い手であるほど相性が悪い。


食堂に着くと、サグメ、マックス、フラウがすでに食事を摂っていた。

この食堂は一般公開もされており、

本部の職員以外にも外部の冒険者やポルトスの市民も誰でも入れるため、

大勢の人で賑わっていた。


マックスは右手の箸で大きめの鳥のササミを喋みながら左手でダンベルを上下していた。

お前、食事中も筋トレしてるのかよ。


一方、サグメは焼き魚、フラウは白身魚のカルパッチョを注文していた。

ポルトスは港町だけあって、新鮮採れたての海の幸が堪能できる。

俺も魚にしようかな


俺とハカセはサグメ達のいるテーブルに近づく。


「隣いいか?」


「む、お前か」


マックスはしぶそうな顔をするが、席を寄せてくれる。

決闘以降言葉を交していないため、多少気まずい雰囲気だが

俺の方から切り出してみる。


「腹の傷、大丈夫か?」


「安心しろ、すでに完治している。

それと決闘の件は気にするな、俺の方からふっかけた決闘だ、

ハンデありとはいえ、負けたのは俺の鍛錬がたりなかったからだ。」


そういうなり、バッキバキに割れた腹筋を見せつけてくる。

確かに傷の痕は残っていなかった。


俺は席に座ると何を注文するか考える

メニューはどれどれ、

大ガチョウのササミ、ジアの焼き魚、メデタイのカルパッチョ、etc

結局多すぎてどれがいいのかわからないでハカセに聞いてみることにした。


「魚料理食べたいんだが何がおすすめなんだ?俺は村暮らしが長かったもので魚は詳しくなくて」


「パファーの卵付けとかおすすめでござるよ」


「ん?そんなのあったけ?」


サグメがいぶかしがる。


「裏メニューでござるよ、裏メニュー、僕が注文するでござるよ」


ハカセがスタッフを呼ぶとオーダーする。


「あ、例のあれですね・・・」


スタッフが俺の方を少し気の毒そうに見る。

ん?どうゆうことだ・・・?


しばらくすると料理が運ばれてくる。

俺の注文した料理はライスの上に粒の小さい魚卵がかけられている。


「うまい、なんかピリピリ痺れるけど、濃い塩味がライスに合う・・・」


「ふふふ、やっぱり、ワカどのは毒に耐性があるでござるね、

事前に調理スタッフさんに頼んでおいたかいがあったでござる」


ハカセの眼鏡が光る。


「ん?どうゆうことだ」


「ワカどのが食べているパファーの卵巣は、

化学式C11H17N3O8、テトロドトキシン、0.01 μg/kgの量でもマウスを死に至らしめる猛毒、

通称フグの毒がふんだんに含まれた部位でござるよ」


「おま、それで俺が死んだらどうするつもりだったんだ・・・」


「だいじょうぶでござるよ、毒消しの魔法で治せるでござるよ」


「お前も同じもの食べてるのになんで平気なんだ?」


「僕が食べているのは、2年(ぬか)漬けされたもので毒が抜けてるから、

だいじょ・・・あ”れ・・・じた(舌)がじびれでぎだ・・・」


そこへ慌てて先程料理を運んできたスタッフが駆けつけてくる。


「すいません、料理を取り違えてました!!大丈夫ですか!?」


「!?」


ハカセはその場に倒れ、その後マックスの毒消しの魔法で治療され、医務室へと担がれていった。



次の日、メイガスにより会議室に俺たちは収集された。

一人は包帯で全身ぐるぐる巻きの状態で、ある一人はゲッソリと頬がコケていたが・・・


「皆に集まってもらったのは他でもない、

この街に魔王が潜伏していると情報を聞いての、調査してほしいのじゃ」


「え”?魔王って、こんな町中にいるんですか?」


俺はイメージと違いすぎて愕然とする。

勇者は長い長い冒険の果てに魔王の城にたどり着き、

玉座でふんぞり返ってる魔王を倒しにいくというのが筋書きだと思っていたからだ。


「ちっちっち!考えが古いのう、時代はリモートワークの時代、

どこへ行っても魔王業はできるのじゃよ」


魔王業ってそもそもなんだよと突っ込みたかったが、

少なくとも人類に害がある活動のことに違いないと思ったので黙っておいた。


「はぁ・・・、そういうもんなんですか?」


「魔王連合は国際勇者連盟同様に認可制じゃからのう、

魔王を倒しても倒しても湧いてくるのはそういうわけでのう」


認可制なんだ、魔王が複数いるっていうのも初めて聞いたぞ?

いや、だから勇者も複数いるのか?


「それで、目撃情報についてもっと詳しく教えてくれないかしら」


サグメがメイガスに尋ねる


「なんでも黒いローブに身を包んだ老婆の姿をしていたと聞いている」


「それってもしかして・・・」


「ああ・・・」


おそらく俺たちが堤防であった老婆のことだろう。

そういえば、当の老婆から黒玉をもらっていたがいつの間に消えていた。

手がかりになると思ったのに一体どこにいったのだろう?


「早速、探しにいくわよ!」


「えと、そもそも全員で探す必要あるのでしょうか・・・?

これだけ勇者がいるのであれば、他の魔王の討伐とか戦力分散したほうが良いのでは・・・?」


「そんな細かいことはいいのよ!いくわよ」


さっさと会議室を飛び出していく。

サグメは昔から一度決めたら、頑なに考えを変えようとしない。

ああなったら説得するのは無理だ、俺はため息交じりに後を追うと他の勇者達もついてくる。



「あれ?・・・どこ行った?」


俺たちは本部を出るとサグメの姿を見失ってしまった。


「堤防にいったのかな・・・?」


「よし、堤防はこっちだな!」


マックスはポルトスの地図を上下逆さまに持っており堤防と真逆の方向の山を指差す。

マックスよ、お前方向音痴なのか・・・?

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