朝起きたらロリ美少女になってました。ってなんでやねん。
そこはとあるハイソな淑女が集まるお嬢様学校。
金髪の背が低い女の子が校舎の門にて背の高い黒髪ぱっつんの先輩に挨拶する。
金髪の女の子は俺の顔に黒髪先輩の顔はサグメに似ていた。
「ごきげんよう〜」
スカートを上げ、俺は丁寧にお辞儀をする
「あら、ワカちゃま、ごきげんよう〜」
「あなた鏡でもご覧なさったら?
サグメ様、そのような低俗な輩に構っている暇はございませぬわよ」
取り巻きの一人が進言する。
「そういうわけなので、私生徒会のお仕事もあり忙しいですの、オホホ、御免遊ばせ」
サグメはそう言い残すと取り巻き達と去っていく。
「私ってそんな魅力ないのかしら・・・」
気になって近くの美術室にある等身大の鏡で自分を映してみる。
だが、そこに映ったのは少女の姿ではなく、要塞獣の鏡で見た骸骨の姿だった。
「ぎゃあああああああああ」
***
俺は、ベットの上から飛び起きる。
「はっ・・・!?夢か・・・なんか色々おぞましい夢だった気がする」
ん・・・?いつもと声が全然違う気がする
俺は、発声練習をして見ると明らかに男性ではなく、幼い少女の声だった。
それだけではない、明らかに床に対しての目線が低い。
手で顔を触ると髪が長い・・・しかも、金髪?
近くの鏡でみるとフラウそっくりな金髪ゴスロリ少女が現れる。
極めつけは、頬にマジックペンで雑にワカという文字が書かれている
「え”・・・これ、俺?」
そこへフラウとハカセが部屋に入ってくる。
「あら、ワカちゃま、ごきげんよう〜」
「ワカちゃま、元気そうでござるな」
「!?これは一体・・・」
「・・・お兄ちゃんの体は今、私とハカセが点検中なの、
だから一時的に私の体の予備貸してあげてるの」
「は、はぁあああああああああああああああああ!?」
フラウは劣情を隠さず、ハカセは探究心を堪えきれず、心情を吐露する。
「・・・お兄ちゃんの体を自由に触れれるの興奮するの、はぁ、はぁ、
でもお兄ちゃんが私の中に入っているのを見るのはもっと興奮するのぉおおお!」
「いやぁ〜、ワカくんの反転の体、色々調べがいがあるでござる。
研究のために腕の一本や二本くらい構わないでござるな?
えっ、駄目でござるか?」
「ちょ、何やってくれちゃってんの、やめて!マジでやめて!!」
フラウとハカセの話では、マックスとの決闘後、俺はこの部屋に運び込まれたらしい。
それでも剣の呪いを抑えることができなかったため、
フラウの反魂の術で、俺の魂だけフラウの予備の肉体に移されたらしい。
幸いにして剣の呪いの方は数時間で静まったらしいのだが、経過観察のため二人が調査してくれていたらしい。
てか、予備の肉体ってどうゆうことだ?本体が別にあるみたいな言い方だが・・・
「俺の肉体返してほしいんだけど・・・」
「・・・返して上げたいのは山々なのだけど、反魂の術の効果が切れるまで
もう少しだけ時間がかかるの、少なくとも今日一杯はお兄ちゃんはその姿のままなの」
「そうか・・・マックスの方は大丈夫なのか?」
「多分、あの極限状況下でも君は無意識下で最後の一撃をコントロールしてたんでござるよ、
もしそうでなかったら、あの筋肉と体力だけが取り柄のマックスでも危なかったんでござるよ」
そういうとハカセは決闘の様子を録画したビデオカメラを取り出し、壁に投影する。
映し出されたのはマックスにとどめをさした、最後の横薙ぎの一撃のシーンだった。
「最後の斬撃を超スローモーションで見るでござるよ」
一撃の横薙ぎに見えた剣戟はその実、何百、何千回という数の斬撃だった。
だが、あたったのは最初の一撃だけで、それ以降は全てマックスに当たらないように意図的に空振りされていた。
「いやぁ・・・並みの人間だとこんな芸当できないでござるよ、さすがはサグメどのの兄上でござるなぁ」
「俺は・・・」
俺が言い切る前に部屋のドアが勢いよく開き、サグメが入ってくる。
そしてそのまま俺に抱きついてくる。
「心配したんだから、馬鹿ぁあああ!」
骨がミシミシ軋む音をたてて、呼吸が出来ない。
「ぐ、ぐるじぃい、しまるぅ・・・がくっ!」
サグメの全力の抱擁により、俺は再び天国を見ることになった。
結局、元に戻るまで時間がかかるとのことで俺はサグメとともに街を散歩していた。
「あのさ、俺は国際勇者連盟の参画を認められたってことでいいのかな?」
「ハンデありとはいえ、マックスに勝ったのよ、十分よ」
石レンガの住宅に囲まれた、石畳の小道を抜けると爽やかな潮風が吹いてくる。
俺たちはポルトスの堤防に出ていた。
「いい風だな、一緒に海に来るのなんて親父とお袋に俺たちが引き回されてた時以来じゃないか?」
「そうね、お兄ちゃん村にこもりきりだったもんね」
俺たちが思い出に耽りながら海を見ていると黒い衣に身を包んだ怪しい老婆が近づいてくる。
「そこの綺麗な金髪の小さなお嬢ちゃん」
「俺・・・じゃなかった、私かしら?なんでしょう?」
「水晶のような瞳、白い肌・・・お主、ネクロマンサーじゃろう?」
「は、はぁ・・・?」
「私もネクロマンサーの端くれ、友好の証としてこれを受け取ってはくれぬかのぉ」
そういうと老婆は懐から黒玉を取り出して俺に手渡す。
「あの・・・あなたは!?」
俺に宝石を手渡した老婆の姿は跡形もなくなくなっていた。
黒玉、水中で長い年月を経て化石化した樹木によってできている。
ただし琥珀のような樹脂ではなく、樹木の幹そのものの化石である。
褐炭の1種であるが、宝石として扱われる。その石言葉は「忘却」。