平田優奈 (2)
「応援は、いつ来るんですか?」
『「スリム・ボーイ」は一〇分以内。「灰色の騎士」は……「表の仕事」から抜けられないみたい』
困った事に、あたし達の多くが「正義の味方」の仕事と「表の仕事」を兼任している。
あたしは大学生。同じチームのコードネーム「スリム・ボーイ」は飲食店のオーナーで、コードネーム「灰色の騎士」は中小企業向けのIT系「便利屋」だ。
前線要員3人に、後方支援要員1人の弱小チームで、福岡県古賀市・宮若市を担当。
当然ながら、何か起きた時は……周辺地域の、もっと大きいチームの手を借りる必要が有る。
「じゃあ……筑豊のチームは……?」
『ごめん……筑豊でも何か起きてるみたい』
「えっ……」
ここ1〜2年ほどの間に、いくつかの大きな犯罪組織が次々と潰れ……その結果、生き残った犯罪組織にとっての「権力の空白地帯」が九州各地……下手したら日本各地に生まれてしまった。
筑豊もその1つ……らしい。
どうやら……この騒動も……もっとデカい騒動の一部のようだ。
「とりあえず、頭を潰して騷ぎを鎮めます。どいつがリーダーですか?」
『妬陰帝龍の方は……胸に「魔法少女番長ライトニングあおい」の主役キャラの絵が描かれてるヤツ……』
「判りませんっ‼」
『……ごめん……胸の絵がピンク髪のツインテールの女の子の絵のヤツ』
「ざっと見た所、2人居ます」
『えっと……ピンク髪のツインテールの女の子の内、白っぽい衣装じゃなくて、黒っぽい衣装の女の子の絵が描かれてる方』
「了解」
『で、「旭日皇国」の方は……』
「あ……それは……何となく判ります」
判らないのは、一体全体、何で、昔のTV番組の「戦隊モノ」や「レコンキスタ」の「レンジャー隊」みたいに、色以外はお揃いかつ誰がリーダーかすぐに判るコスチュームを着ているのかだけど……。