ニート脱獄
死刑執行まで あと1日
だが、今更悔やんでも、働けなかった自分が悪い。幸い達也は、いい奴だ。色んな話をした。
僕のことや、母のこと。
達也も、色々話してくれた。達也は、高校を卒業するまで、ヤンキーというものだったらしい。この金髪の髪は、一度染めたら戻らなくなってしまったらしい。でも、達也にも死んで欲しくない。こんなにもいい奴なのに。
「明日だな、」
達也が呟いた。
「そうだな。 僕は、最後にこんな良い奴とさ、
出会えてよかったよ。」
達也のおかげで、僕の心は少しだけでも救われただろう。死ぬのは怖い。だが、僕はもう受け入れてやる。そんな気持ちだった。だから、最後に感謝の気持ちを。明日の朝には、もういない。僕たちに。
「なぁ、達也。」
「うん?」
「ありが」
ドンっ!!!!
僕が、言葉を言い切る前に壁が崩れた。
「なんだっ!」
達也が飛び起き、壁の方に走る。
慌てて僕も、崩れた壁に近寄る。
そして、暗闇から誰かがこっちに来る。
この壁の向こうは、外だった。
そして、月明かりに照らされて、顔が見えた。
とても、綺麗な顔をした女性だ。
と同時に、その女性は言った。
「井崎 達也発見しました。」
無線機のような、物に話しかけている。味方なのか。味方であれば、僕もいっしょに出して欲しい。
そして、その女性は僕の顔を見て
「君は?」
「足立 晴翔です。」
僕が、こう答えると女性は不服そうに無線の向こうの、人間に伝えた。
「上神 不在。 かわりに違う男がいます。
どうしますか?ボス」
「はい、了解しました。」
「足立君、君にも来てもらう。いいね?」
「はい!」
「このままでは、警報がもうすぐなる抜け出します。井崎君、足立君私のすぐ後に続いて走って来て!」
そのまま、その女性は闇の中へ走っていく。僕と達也は、すぐ後に着く。だが、女性はとても早い。ペースが落ちない。僕が疲れ始めた時女性は言う。
「まずい、このままじゃ壁を突破出来ない。」
「どういうことですか?」
達也が聞き返す
「思ったより、警備が硬い。このままじゃ壁をよじ登る前に、外の見張りに射殺される」
「なっ!」
僕が、驚いたのと同時にブザーと放送がされた。
「上神 圭 逃走 全警備兵招集」
女性が、無線の男に言う。
「上神は、自力で脱出しました。警備のないうちに壁を突破します」
そして、壁の元へ走り3人でよじ登った。そこから先は、森だった。一晩中走った。そして朝を迎えた。
朝日が眩しかった。