ニート決心
あの法律が出来てから、ほとんどの人が簡単に職に就くことができた。だが、転職する人も多いらしく、国の方でどういった対策をするか偉い人が話し合っていた。そして国の18歳以上65歳未満で働いていないのが国の3%にまでなった。僕はいまだ働いていない。どうしてもあの事件が頭から離れない。それから僕が引きこもるようになってからは、母との間に線が引いてあるかのように感じ、距離を置いてしまう。
そんな事を考えている矢先。。。。
2160年 4月24日
母が亡くなった。職場で倒れそのまま病院に運ばれたが、僕が病院に着いた時には母の体は冷たくなっていた。過労死だと言われた。母は、僕のために毎日朝から夜まで仕事をたくさんしていた。そして家では家事もこなして。母は僕の前では一切弱音を吐かない。僕も自然と騙されていたんだ。母の「大丈夫よ」という言葉に。もっと僕が早く気付いてあげれば、もっと僕がしっかりしていればととても悔しかった。壁を殴った手の痛みも感じないほどに悔しかった。
それから数日が経ったある日
僕は夢を見た。真っ白な空間僕はいた。
そしてその空間に母がうっすらと現れ僕に別れを言いに来たと言った。
「晴翔には、心配かけてごめんね。母さんはもう少しそばにいたかったけど、無理だったみたい。
晴翔は晴翔のしたい事を自由に自分に素直に生きてほしい、誰かの為に生きてほしい。母さんの願いです。それじゃあ、さよなら 晴翔」
そして目が覚めた。朝だった。午前中に起きたのは、久しぶりだった。二度寝はする気になれなかった。たまには、母の手料理が食べたいと思い、一階にある母さんに
「母さん 朝ご飯作ってぇ!」
「・・・・・」
返事がなかった。下に降りてみる。誰もいない。そこで、僕は気付いた。もう母さんはいないんだと。
そう思うと涙が出てきた。葬式の時には、出なかった涙だ。
2160年 5月1日
僕は、久しぶりに外に出た。着慣れないスーツに身を包み、ネクタイのつけかたを忘れていたから、ネクタイのつけかた講座とか言うよく分からない動画を参考にして、ネクタイを着けて外に出た。
「母さん、仕事探してくるよ。」