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新章三話

担任が来て朝礼が始まったが、特に行事などは無いので直ぐに終わった。

そのまま一時限目に入る。


担任は、黒板にそれぞれの委員会を書き上げると、


「今から委員会の名前を読み上げるから、やりたい委員会に手を挙げてくれ。」


と言った。

そして間をおかずに、


「あ、そうそう。学級委員はもう決めてるから。」


と言い出した。

何とも急で強引な決定だったので、みんながブーブー文句を言ったが、


「決定事項だ。大人しく流されとけ。これも社会に出た時の勉強だ。」


などと言う。

僕は担任が最初に宣言した時から諦めていたので、素直に受け入れた。


世の中には理不尽しかない。

これ真理。


「じゃあ学級委員は……えーっと……男子は間宮だな。それで、女子は月城……い、いや、佐々木にしよう。」


担任は一瞬雪菜の名を出したが、すぐに取り消した。

僕としてはとても嬉しいのだが……何故だろう?


さっき、教室の温度が急激に下がった気がしたのと関係があるのだろうか?



学級委員が決まった後、体育委員、保健委員、風紀委員と決まり、ようやく図書委員の番になった。


「じゃあ次、図書委員な。やりたい人。」


空かさずバッ!と手をあげる。

みんながザワザワとしているのは、雪菜も手をあげているせいだろうか?


「じゃあ図書委員はこの二人で----」


「俺も!」


「はい!」


「俺が!」


「っ!」


「………………」


やはり、現実はそう上手くいかないようだ。


…恐らく、雪菜と一緒の委員会に入りたいが為に手をあげた奴。

そんな輩が4人いた。

皆一様に僕を睨んでいる。


だけどな………


今回だけは譲る訳にはいかない!


僕も雪菜と一緒の委員会が良いんだ!


その思いを伝える為に、僕は担任をじっと見つめた。


「………………」


すると、担任も見つめ返して来た。


「………………」


「………………」


しばらく探り合った後、担任は僕にニヤッと悪戯っぽく笑いかけた。

そして言う。


「おい、そこの4人。」


「はい?」


一人だけが返事をした。


「お前らは次の文化委員希望って事にしておくから。」


「え!?」


「うそだろ!?」


「そんな……」


「くそっ!」


4人は思い思いに嘆く。


…信じられない事に、担任は僕の味方をしてくれたみたいだ。


もう一度僕は担任の方を見たが、既に担任は次の委員会を聞いている最中だった。


僕は心の中で深くお辞儀して、この人に対する評価を改めよう、と思ったのだった。


* * *


半日回って下校時刻になった。


僕は雪菜に帰ろう、と誘ったのだが、雪菜は申し訳なさそうに言った。


「ごめんね?ちょっと朝の件で……」


…告白か。


断るって言ってたけど……不安だ

な……


……でも、相手は本気でぶつかって来ている。


今日朝早く来て、下駄箱にラブレターを入れる事だって、とんでもない勇気が必要だったはずだ。


…そして、それを雪菜はきっと理解しているだろう。


…だから、もし雪菜が心を動かされたとしても、僕は何もしない。

…いや、する資格が無いのだ。


……なんて事を考えながら、僕は少しでも不安を紛らわせようとする。


そして、僕は雪菜に言った。


「じゃあ、僕は先に帰るよ。」


「そう……分かった。」


雪菜は少し寂しそうにしていたが、僕は雪菜を待ちたい気持ちを振り払った。


そして、そのまま帰路に着く。



…どうして、雪菜を待たないのか、と思う人もいるかもしれない。

待った方がいいのでは?と。


…でも、考えて見てほしい。


自分を振った女が、告白の直後に他の男と仲良く帰っているのを見たら、どう思うだろうか?


僕ならば、少し過激だが

「消えてほしい」と思う。


好きな女にも、そんな事をされればそのくらいには思う。


……要するに、雪菜の評価を下げるような事はしたくないのだ。


僕のせいで、雪菜が軽い女だと思われるような事は絶対にしたくない。


だからこそ、雪菜を残って待ちたい気持ちを抑えながら、僕は大輝達と帰った。


雪菜がいない帰り道は、どこか色褪せて見えた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 雪菜ちゃんの必死さが良いですね。 [一言] 楽しく読ませて頂いております。 時節柄お体には十分お気を付けて、次の更新をお待ちしております。
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