僕のお姉ちゃんは悪役令嬢
8/1 ファンアートをいただきました!ありがとうございます!
最後の部分に貼っています。
僕のお姉ちゃんは悪役令嬢。
気付いたのは僕が7歳の時。
僕は転生者というものらしく、流感をこじらせて死線をさまよったお陰で、お姉ちゃんのことだけはっきりと思い出せた。
お姉ちゃんはツンデレを極めちゃった性格で、弟の僕のことを「奴隷」と呼ぶ。
奴隷の僕は「お姉『ちゃん』」と呼ぶように命令されている。
理由は教えてくれない。
そういうところが可愛い。
今年お姉ちゃんは18歳で、学校の卒業パーティーで婚約破棄される。
別にそれ自体は構わないんだけど、問題はお姉ちゃんがその後修道院送りになっちゃうことだ。
それはまずい、非常にまずい。
奴隷扱いされなくなっていいだろうって?僕のシスコン度を舐めないでもらえるかな。
お姉ちゃんのことしか思い出さない徹底ぶりだよ?そこいらのにわかとは気合いが違う。
なんとか修道院送りを回避するべく奮闘することにした。
あ、うん、婚約破棄はしていいよ。
僕が生涯面倒を見るから。
とりあえず婚約者の第二王子(美形)に接触する。
僕も同じ学校だからね、簡単なことさ。
「僕からお姉ちゃんをとらないでください」
直訴状を提出した。
「なにを言っているのかわからないよ」
しらばっくれても美形は美形だった。
「あなたは卒業パーティーで僕のお姉ちゃんを婚約破棄して修道院に送る気でしょう。
修道院は駄目です、会えなくなります。
国外追放もやめてください、遠すぎます。
領地で引きこもり命令にしてください。
一緒に幸せに暮らしますから」
「なにを言っているのかわからないよ」
しらばっくれても美形は美形だった。
「とにかくそれを読んでください」
用が済んだからさくっと帰る。
しばらくして王子から手紙が来た。
直訴状の内容に関する問い合わせだった。
「バカだな、こんなこともわからないなんて!」
僕はありったけのお姉ちゃん愛を叩きつけて返信してやった。
ここはわからせてやらないと。
何度かそんなやりとりがあって、卒業パーティーの日になった。
「約束守ってくださいね!」
「なにを言っているのかわからないよ」
しらばっくれても美形は美形だった。
そして、結論から言うと、婚約破棄されなかった。
なぜだ、解せぬ。
ヒロインぽい子も喚いているのにさ。
「婚約破棄しないんですか?」
王子に訊いてみる。
「君が教えてくれたんだろう?お姉さんの魅力を」
美形め、なんだその爽やか笑顔は。
「ツンデレ、というのを理解できたよ、ありがとう」
なんてことだ、ライバルになった!この美形め!