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入学早々名前と顔を覚えられた

入学式の翌日からは自転車で通学する。


スカートを穿いて自転車に乗るのは初めてだ。


『サドルにパンツが直接当たると冷たいね。』


『バカね、そんな乗り方だとスカートが舞い上がってパンツの中見られちゃうでしょ?裾を挟まなきゃ。』


朱美にスカートを穿いた時の自転車の乗り方を指導される。


短めのスカートの裾を挟むと、自転車を漕ぐ力が入れにくい。


『これじゃ坂登るのがキツいかも?』


幸い、学校へはほとんど平坦なので問題は無い。


『行ってきます。』


朱美はため息を付いて拓朗を見送った。


自転車置場に着き、自転車のスタンドを立てていると他の自転車通学の生徒から注目されている事に気付いた。


『ねぇ、あなた1年生?なんでスカートなんか穿いてんの?』


2年か3年かは分からないが先輩の様である。


『なんとなくです。』


『へぇー、面白いね。名前は?』


『一年A組の栗橋拓朗です。』


『栗橋くんね~。私、2年D組の佐藤紀香。宜しく~。』


他の生徒からも様々な視線を浴びるが、声を掛けたのは紀香だけだった。


教室に入ると、なにやらみんなひそひそ話をして拓朗の近寄ろうとしない。


そのまま席に着くと、後ろの席で千里がやはりにこにこしている。


『栗橋くん、おはよう。』


『おはよう、内藤さん。』


『良かったら名前で呼ぼうよ。ちさとでもちーちゃんでも良いから。栗橋くんはたっくんで良い?』


たまたま席が並んだだけなのに良いのかなと思いながら


『良いよ。俺も千里さんって呼ぶから。』


『じゃあたっくん、宜しくね。』


他の生徒はみんな余所余所しいのになんで千里さんは声を掛けてくれるんだろう?


そう思っていると真吾とかなたが教室に入って来た。


真吾はかなたと少し話をしたかと思うと、一人で拓朗のところにやって来た。


『おはよう。水上となに話してたんだ?』


『言いたい事は山ほどあるけど近寄れないってさ。』


真吾はかなたの言葉を伝えた。


『なんか水くさいなぁ。』


『水くさいじゃねぇよ!俺だって近寄りたくねぇし。』


『冷たいヤツだな。』

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