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日々の色々 1 『袋』と私とユウトくん、と華夜『お姉さま』

「・・ユウトくん」

「んっ?」

「・・・・あれ・・中、ホントに見てない・・?」

「うん、かぐ姉から見ちゃダメって言われてたし」

「・・・そっか」

「中身、何だったの?」

「っ!ぇっと・・内緒っ・・!」



華夜(かぐや)さんの言う事をユウトくんが破るとは思えないから、きっとホントに見てないんだと思う。


『ひな、これ』

『?』

『かぐ姉から ひなにって』

『華夜さんから・・?』

『うん』

『中、何だろ・・?』

『さぁ・・』

『・・』

『かぐ姉から、ひなが見せてくれるなら見て良いって』

『・・見てみる』

『うん、オレは見ないよ』

『うん・・・何だろ・・』

ガサガサ

『っ!!』

『何だった?』

『えっと・・男の子は見ちゃダメっ・・!』

『?』

『女の子同士の秘密・・///』

『ぉ、おぅ。わかった』

『・・中身、全部見てみるね・・』

『ぅん』


部屋の中、ベッドの上には『袋』の中身が並んでいる。

・・全部、下着類だった。


可愛いパンツとかブラとか、キャミソールとか。

使い方が分からないサラサラした服も入ってた。

後で、華夜さんに連絡して聞いてみよ・・。



「どうでした・・?喜んでもらえました・・?」

「いえ、まだ・・」

華夜(かぐや)さんの目には慈愛の色がある。

・・・私は恋敵だと思ってるのに。自分の器の小ささが思い知らされる。


華夜さんに電話したら、「会って話しましょ・・♪」と楽しげな声が返って来た。

華夜さんがお気に入りだという、木がいっぱいの公園で二人っきりだ。

緊張して、手汗でスカートが濡れる。

灰色じゃなくてピンクにして良かった。

それに、何回よだれ飲み込んだかな・・聞こえちゃってるよね・・。

それに、暑くないのに汗出る・・。汗臭い女だと思われてないかなっ・・。

華夜さんには、ダメなとこは見られたくないのに・・!




出て来る前に、ユウトくんには華夜さんと会う事は伝えてある。

彼にウソはつきたくないから。


『ユウトくん、少し出てくるね』

『ぁ、うん。俺も行く?』

『・・大丈夫』

『そっか・・買い物?』

『・・・・華夜さんと会うの』

『・・ぁー・・かぐ姉と・・』

『うん・・あの袋のこと・・』

『・・そっか。あの袋って・・』

『ユウトくんのエッチ・・///』

『ぇえっ・・』

『・・・中身・・・パンツとかだったの・・』

『・・・ぁ、あー・・あっなるほどっ!ごめんっ!無神経だった!ほんと ごめん!』

『んーん・・ユウトくんなら大丈夫・・///』

『・・・ごめん///』

『・・私の部屋のベッドの上に広げてあるから・・』

『・・ぇ』


言外に「見て良い」と伝えたつもりだけど、ユウトくんは見ないかな・・。

照れ屋さんだし、良い人だし・・。

でも、洗濯の時には見られちゃうんだけどなー・・。



「その編み込み可愛いですね・・♪」

「え!あ・・っと、ぁりがとうございます・・」

バカバカバカバカバカバカっ!!

私のバカーーーっ!?何でボーッとしてるのっ!


「私も、そういう髪型に挑戦してみよっかな・・」

「ぁ。華夜さんなら似合うと思いますっ・・!」

「ふふ・・ありがとうございます♪」



えっと・・・・終わっちゃった!?

ぇっと、えっと・・?んっと・・!何か!何か話題っ!


「風・・気持ち良いですね・・」

「ぁ、はいっ!そうですねっ!すごく落ち着きましゅっ!」

噛んだーーーーっ!?

ダメ・・頭の悪い子だと思われたよ!終わりだー・・・

姫望(ひなの)さん・・」

「・・・はい」

・・優しい顔・・勝てないよ・・。

「そんなに緊張しないで・・♪」

華夜さんの手が優しく撫でてくれる・・落ち着く・・。

そっか。ユウトくんも、こうやって守ってもらってたんだ・・。


『泣いた時も、かぐ姉が優しく抱き締めて撫でてくれたんだ』


華夜さんが記憶を全て失くしたと知った時のユウトくんが言ってた。

かぐらさんに救けられて、麻痺して凍りついてた心が溶けて、涙が止まらなくなって、わんわん泣いたんだって。

少し困った顔して、でも ずっと横に居てくれたんだって。

泣いたら撫でてくれて。

抱き締めてくれて。

かぐらさんの胸の柔らかさに包まれて、心音を聞きながら泣き疲れて寝てしまっていたんだ、って。


手・・柔らかくて、あったかい・・。

ふんわり、良い香り・・。

落ち着いてて、大人のお姉さんって こんな感じなんだろうなぁ・・。

綺麗な毛並みの耳と尻尾も憧れる・・。

・・・化粧してないよ。

なのに、すっごく綺麗・・・。


・・この人を恋敵だなんて、私・・なに考えてたんだろ・・・。

ユウトくんが憧れるのも よく分かる・・。

私も、この人みたいになれるかな・・・?


「あのっ・・!華夜(かぐや)さんっ!」

「?」


「・・私の お姉さま になって下さいっ・・!」



「ただいまー」

「おかえりっ」

玄関まで出て来てくれた・・ユウトくん優しいなぁ・・♪

「何か、良いことあった?」

「そう見える・・?」

「うん。すごくニコニコしてるし?」

「ユウトくんが迎えてくれたからだよっ・・♪」

「・・・か 家族なら当たり前じゃんっ///」

「・・♪」

照れ屋さんなユウトくん可愛い・・♪

「お姉さまと いっぱい お話出来たんだ・・♪だからかも・・♪」

「・・・おねえさま?」

「ぅん♪」

「そっか・・」

「はい、これお土産・・♪」

「・・ぁりがと」

・・・♪

「ひな、かぐ姉と会いに行ってたんだよな・・?」

「うん♪」

「・・・おねえさまって、誰・・?」

「・・♪華夜お姉さまのことっ♪」

「・・へー・・・???」

「私ね・・お姉さまの『姉妹(スールー)』にしてもらったの・・♪」

「・・へー・・????」



「ただいま帰りましたー・・」


「おかえり~♪」

「・・おかえりなさい」


「・・華夜、どうしたの?」

「・・・どうしてなのかしら」

「?」

「・・もしかして、姫望ちゃんとケンカになっちゃったとか?」

「・・・ううん、逆・・」

「逆・・仲良くなれたんだ・・?」

「・・うん、多分」

「・・・何があったの?」

「・・・・『妹』が出来たみたい」

「???」

「・・?」


「・・姫望さんと『姉妹(スールー)』になったみたい」

「???」

「???」


ユウト入院時に病室で二人っきりになって、姫望のカチコチを紛らわす為に『アーカイブ』からダウンロードした過去の 少女向け小説。

姫望は思いの外 ハマっていた様で、シリーズ全巻分を何回 何十回と読み返している内に「自分にも理想のお姉さまが出来ないかと思っていたんです!」らしかった。


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