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日々の色々 6 ユウトと『鬼ごっこ』

ヒラッ


ヒラッ


ヒラッ


「~~っ!!」


ヒラッ


ヒラッ


「んあぁあっ!!」


「どったの?ユウトくん」

「お前らなぁ!!少しは隠せよっ!?」


顔を赤くしたユウトが叫ぶ。



さかのぼる事、1時間ちょっと前。


ジムから少し行った所で姫望(ひなの)と別れたユウト。

そんなユウトに声を掛けたのは知り合いだった。

知り合いと言っても、隔離都市の中で出来た知り合いだ。


かぐ姉の家族になった少女。

自分より小さいのに、『かなり年上』だと言う。

『完全な義体』の人というのは そういうモノなのかもしれないが、中々 馴染めない。

頭で『そういうモノだ』と思っていても、納得出来るか出来ないかは別問題だと思う。

そんな少女、結城雪緒に声を掛けられたのだ。


姫望と揃って ゆいに軽くあしらわれて帰る自分とは反対に、雪緒達は これからジムに行くと言う。

「ユウトくんも一緒に行かない?鬼役が欲しかったんだ~♪」と言われ、返事をする前に腕を引っ張られていた。



ジムに逆戻りしたユウトが誘われたのは、『鬼ごっこ』。

最初に『鬼ごっこ』と聞いて どこが運動なのかと思ったが、連れられて行った先はスゴかった。

鬼ごっこの為の部屋だという その部屋、室内にはパイプとか壁とか、色んな障害物があり・・「じゃ~今日の鬼はユウトくんね~♪」と雪緒に言われ、『鬼ごっこ』が始まった。


逃げるミイシャとフェリスと雪緒。その3人を追い掛ける。

3人とも、自分より小さい。しかも女だ。

すぐに全員捕まえられると思ったのに、1人も捕まえられなかった。

しかも・・だんだんと慣れて来るにつれて、気にしない様にしていた事が気になってきた。


雪緒もミイシャもフェリスも、3人とも、スカートだ。

しかも短くてヒラヒラしていた。

当然、舞い上がるし(めく)れ上がる。

一度気になり出してしまうと、何故か そちらにばかり目が行ってしまった。


せっかく誘ってくれたんだし?ふざけてる訳でも無いみたいだし?こっちもマジメにやらないとダメだって分かってるけどさ?


高くジャンプして避けた雪緒のパンツが間近で視界一杯に映り・・耐えきれなくなった。

いい加減、限界だったのだ。


それで、つい叫んでしまったのだった。



「そんなに荒ぶって どうしたのー?」

「荒ぶってねぇし!」

「充分 荒ぶってると思うけどなー。ホント、どうしたの?」

心の底から不思議そうに、首を傾げて聞かれる。

近付いて来る姿を見ているハズなのに、どうしても直前に見たパンツが頭をよぎってしまう。

ミイシャとフェリスも歩いて来て、不思議そうな顔をされた。

ミイシャなんか、パイプに座って足広げたから丸見えになった。


そう言われた訳じゃないけど・・・『お前なんか男として見てない』と言われた気がしてしまう。

ゆいに軽く あしらわれた後だから尚更だ。


「お前らなっ・・!!スカートの中 丸見えなんだよっ!!少しは隠せっ!!」

「あー・・」

ゆきおが「そーいうことー?」とスカートを見る。

これで少しは気にするか・・と安心する。が、

「大丈夫大丈夫~♪」とスカートが たくし上げられた。

「ちょっ!?」

慌てて横を見るが、

「これ、見えても大丈夫なヤツだからさっ♪」

と意味不明な事を言われた。

「パンツだろっ!?」

「んーん。パンツが見えない様に、パンツの上から履いてるヤツ♪」

上から履いたって、パンツはパンツだろっ!?


ゆきおの顔を見ると、面白がってニヤけた顔だった。

しかも、まだスカートは たくし上げられたままだ。

「大丈夫でも、スカートの中は見せんなっ・・!!」


ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ・・。

小馬鹿にした様な生暖かいニヤけ顔にイラつく。

「フェリスとミイシャはっ!?」

「・・・大丈夫なヤツ」

「わたしもー♪」

フェリスは無表情気味な半目。ミイシャは ゆきお みたく めくり上げようとして、フェリスに止められていた。というか、フェリスがミイシャの足を掴んで閉じた。

フェリスになら話が通じそうだ。

「見えても大丈夫でも、スカートの中は見られたくないもんだよな!」

「うん。でも、これ履いてると、あんまり気にならなくなる」

真顔で静かに言われると、そういうもんなのか・・と思ってしまう。


「ん~・・言われてみると確かに恥ずかしいけどさ~・・いつもより気合いが入る気がするかなっ」

「ん・・わたしも」

「マジ?」

ミイシャとフェリスから意外な言葉が聞こえた。

「うんっ!私から見ても、2人共いつもより動きが固い気がするよ!」

「・・」

「やっぱ男の子が居ると気になっちゃうもんね~♪」

さっき、おもいっきりスカートをめくり上げたヤツが言うな!と言いたいが我慢する。

それよりも聞きたい事があるのだ。

「いつもより動きが固いって、緊張するとか?」

「んーん、全然っ」

「ん」

ミイシャとフェリスに呆気なく斬り捨てられた。

「まー、いつも女の子だけでやってるしねー。私的には、ギリギリ、フェリスが捕まるか捕まらないか ぐらいかなって思ってたし」

雪緒からもザックリ斬られた。


「逆ならどうだ!?」

「逆?・・・あんまりオススメ出来ないかも?」

「何でだよ・・!」

「んー・・ユウトくんじゃ、3人とも捕まえられないと思う」

「っ・・・やってみないと、」

「ごめん、分かる。無理」

「・・」

「まぁ・・微かにでも当たったら、とかなら可能性も出ると思うけど・・」

っ・・・。

「そんな顔しないで」

「・・・何で、無理なんだ・・?」

「ん~~・・気持ちの問題?」

「・・気持ち?」

「そう」

「どういう意味だよ」

「・・・ユウトくんさ。私が声掛けた時、落ち込んでなかった?」

「・・・まぁ、少しは・・」

「ん。少しかどうかは別にして、かなり鬱屈とした感じした」

「・・」

「ほっといたら姫望ちゃんに酷い事しそうだったもん」

「するかっ・・!!」

「・・まぁ、姫望ちゃんならさ?ユウトくんが何しても、受け入れてくれそうだけど・・ユウトくんがねー?」

「オレが何だよ・・!!」

「ユウトくん、姫望ちゃんが何て言っても、自分を許さなそうなんだもん」

「・・」

「そしたら姫望ちゃんが哀しむでしょ」

「・・」

ひなが泣いてる顔が頭に浮かんだ。

「それにさ、ユウトくん・・舐めてたでしょ」

・・・。

「鬼ごっこって言った後とか、始める前の顔とか、観察してたけど・・『来なきゃ良かった』みたいな顔してたよ?」

「・・・よく見てるな・・」

「そりゃまあー・・伊達に年くってる訳じゃないのでっ☆」

に~っこり、不思議な笑い方された。

「・・それ見て、『じゃあ帰れ』って思わなかったのかよ」

「ん~?むしろ逆かな~」

「・・逆?」

「そっ♪小バカにしてるのに手も足も出なかったらさ、かな~りショックだと思うし?」

「・・」

「頭の中がゴチャゴチャでグチャグチャの時ってさ・・限界まで運動してぶっ倒れちゃうと、意外とスッキリしたりするんだよねー・・♪」

「・・」

「それにさー?」

ニンマリ笑って、少し離れた雪緒がクルッと回った。

唇に人差し指を当ててニヤリとした顔にドキッとした。

「下手にプライド傷付いてるくらいなら、粉々に砕いちゃった方がスッキリするかなーって♪」

「・・・」

何も言い返せなかった。

「男の子って、完全に砕かれても立ち上がれたらさ、強くなれるよ~?」

「・・・立ち上がれなかったら・・」

「きっと、姫望ちゃんが甲斐甲斐しく養ってくれるよ♪」

「・・情けな過ぎんだろ」

「ま、そういう生き方、いや『生かされ方』もあるよ、って は~な~しっ☆」

「っ・・」

「・・・最初、声かけた時ねー。深刻そうなら、立てなくなるまでジムから出さないつもりだったんだー♪」

「こわっ!ゆきお、こわいよっ!?」

「わたしは・・ゆきおに賛成かな」

ミイシャとフェリスは反応が別れた。

「・・意外だな」

「そう?」

フェリスが首を少し傾けた。

「あぁ。フェリスって、すっげぇ落ち着いてるじゃん?だから、ミイシャみたく言うかと思った」

「ふっふっふっ♪フェリスって、こう見えて かなりの武闘派だからねっ♪」

「・・・そう?」

雪緒の横で首を傾げる姿は とても武闘派には見えない。


「ま、長話してたら身体冷えちゃうし、場所を替えよっか♪」

ポンと手を合わせた雪緒が提案する。

「・・変えるって、どっか行くのか?」

「うんっ♪さっき言ったよ?『粉々に砕いちゃった方がスッキリするかな』、って」

「・・マジか」

「マジ♪・・何か悩んでるっぽいし、お姉さんが相談に乗ってあげるよ・・拳で、ね♪」


・・・雪緒の方が よっぽど武闘派だよ。



「ゆきお」

「ん?なぁにフェリス~♪」

「さっきの、普通のパンツじゃなかった?」

「うんっ、そう」

ふぅ・・「やっぱり・・」

「スカートで外出する時さ、風吹いたり転んだり、階段で下からだったり、いつ見えちゃうか分からないでしょ」

「ぅん」

「だから、スカートで外出の時は、『見えても大丈夫なヤツ』♪」

「・・・使い方が違う気がする・・」

「まぁ そうだけど、年頃の男の子をからかうと反応が面白いからねっ♪つい~♪」

ふぅ・・「もぉ」


いまだに、雪緒を見ると さっき見たパンツが浮かぶ・・そんなユウトが先をズンズンと歩いて行く。

行き先は聞いた。少し行った所のレスリングルームという部屋だという。


フェリスを挟んだ反対側で雪緒の話を聞いたミイシャは、顔を赤くしつつ「大人だ・・」と、フェリスが聞いたら「違うから。間違ってるから」と軽く4時間は説教が続きそうな感想を抱いていた。



「ゆきおー!ココだよなっ!?」


「うん、ソコーっ♪」


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