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切ない気持ち

「それでね、ムツったら間違えて私の靴履いて学校行っちゃって、まぁ、サイズも一緒だから支障は無いんだけど、やっぱり自分の靴との違和感が半端無くて、すぐ追い掛けた」


大ちゃんと如月の何気ない会話を一歩後ろで聞いていた。

大ちゃんと私と全く如月。

いつも通り三人での登校。

だけど、いつもと違う事がある。

今日は三人で並んで歩かない。

昨日如月の口から、大ちゃんの事が好きって聞いたから。

如月に大ちゃんとの事応援するって言ってしまったから。

私は自分の気持ちに蓋をする事にした。

大ちゃんの事を好きな気持ちを永遠に隠す事にした。

大ちゃんと如月が二人で歩く後ろ姿を見て胸がつぶれそうに苦しくなる。

こんな思いになるなら、昨日、あの時、正直に私も大ちゃんの事が好きって言えば良かったのかな?


そんな勇気無かったくせに!


如月に想いが知られるのが怖かったから。

自分の想いが報われなかった時、逃げ道が欲しかったから。

如月のために自分の想いを言わなかったんじゃない。

自分を守るために言わなかったんだ。


「おい、何でお前今日喋らないの?調子でも悪いのか?」


怪訝な顔で振り返った大ちゃんと目があった。


つり上がった深い藍色の瞳がじっと私を見ている。


「あ…。えっと別に何でもないよ」


「あ?お前が静かな時は大抵何かあった時だろう?何かあったのか?」


大ちゃんには叶わないな…。


小学生の頃、いじめられた時期があった。

机に落書きとか、私が目の前にいるって分かってるのに私の悪口を言われたりとか、我慢できる範囲だったので、静かにしていればそのうち収まると思い、その事を誰にも言わずに過ごしていた。

だから、私の異変に気付いた人は誰もいなかった。

たった一人を除いて。


如月にも親にも気付かれなかったのに、大ちゃんにだけは気付かれてしまった。

それから、大ちゃんはいつも私の側で私を守ってくれた。

そのおかげでほどなくしていじめは無くなった。

あの時から、大ちゃんを男の子として意識するようになった。


『これからは何があったら一番にオレに言え』


大ちゃんの言葉ずっと忘れてない。


だけど…。これは大ちゃんには言えないこと。

大ちゃんには一番知られてはいけないこと。


如月が不安そうな顔で私を見ている。

やっぱりムツも大ちゃんの事好きなの?

そう問いかけられいる気がした。


「本当に何でも無いよ」


本当は私大ちゃんの事好きなんだよ!


言葉と正反対の想いが交差している。

胸がキリキリして口の中で苦い味がいっぱいになる。



人を好きになるってこんなにも苦しいモノなの?



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