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「もう。二人で先に部活来るとか、ずるーい」


少しぐらい待っててくれれば良かったのにー!


と、後から体育館に来た如月は頬を真赤にして、私の横で怒っていた。


体育館では既にバスケ練習が始まっていて、大ちゃんは率先して練習に参加していた。


「でも、まぁ、仕方ないよね、大ちゃんは一秒でも早くバスケしていたいんだもん、バスケの為に生きているようなもんだもんね…」


そんな大ちゃんが…好き。


如月の心の声が聞こえるようだった。


親でもたまに間違えるほど、私たちの容姿はそっくりだった。

まさか、思考回路まで全く同じだなんて思わないけど、それでも、考えていることはほぼ分かる。


だったら…。と考えてしまう。

私が如月の気持ちを分かっていると言う事は如月も私の気持ちに気付いているのではないだろうか?

だから、如月も私同様、大ちゃんに想いを伝える事をためらっているのではないだろうか?


「キサは誰か好きな人いないの?」


体育館の中で、大ちゃんに熱い視線を送っている如月の耳には届いていないみたいだ。

そのぐらい如月は真剣に大ちゃんを見ていた。

大きな瞳を潤ませて視線を送る様は恋する女の子そのものだった。


「ん?何か言った?」


ようやく私の視線に気付いた如月が、小首を横に傾けて聞いてきた。


「ううん、何でもない」


逆に聞こえていなくて良かったと思った。

今更そんな質問聞いてどうすると言うのだ?

例え、その質問が届いていたとしても答えは決まってる。


『えー、そんなのいないよ。ムツはいるの?』


って聞き返されるに決まってる。


分かっていても尚聞こうとしたなんて。

そこまでして…、嘘だと分かっていても、『好きな人いないよ』と言って欲しかったのだろうか?


そんなのただただ哀しいだけだ…。



***********


部活も終わり、三人で一緒に帰る。


三人で横一列に並んで歩く時、決まって大ちゃんを真ん中にして歩く。

大ちゃんの右隣が私。

左隣が如月。

小さい頃からずっとそうだった。


だけど、今はもう子供じゃない。

二人が意識しあってる今、もし、私が一緒にいなかったら、大ちゃんと如月は手を繋いで歩くのかしら?


たいていの人の場合男の子は左手で女の子の右手を握るものだもの。

その点から考えても如月の立ち位置は彼女ポジションなのではないだろうか?


なんて最近そんな事ばかり考えてしまう。


可愛くないな、私…。

自分だって大ちゃんに想いを伝える勇気も無いくせに。

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