76 驚きの客人
「にゃんこさん!今までどうしてたんですか!?あれから全然姿を見せなかったですし…」
『別に…あんたに心配されることでもないでしょ?ちょいと…暇潰ししてたとこだよ…』
相変わらずだ…。元神様なのに自由奔放…。
自分のやりたいように行動している…。にゃんこさんらしいというか…。
いや…それより…
「その…ここに来た目的って…」
『…そうねぇ…。なんか…女王様がどうたらこうたら…エルフの助けがうんたらかんたら…。そんな話を聞いたら…あたしも混ざりたくなってね…』
「…混ざるって…何を…」
『困ってるんだろう?この…堅物長老さんに…』
「…!」
にゃんこさんの言葉…言ってることは確か…。
でも…なんだろう…。そのニュアンス…。
まるで…この長老さんを知っているような…。
「…お久しぶりですな…。300年ほどは会っていませんでしたかのう?」
『その話し方…相変わらずだねぇ…。まさか…ここの長老になってるなんてね…』
「ほっほっ…あなたもまだこうして現役なのも流石…ですな」
『…もう引退したよ…神様なんてやってられないからね…』
「…なるほど…それで…その後釜がこの少年だと…」
『そーいうこと』
やっぱり…。長老さんとにゃんこさん…昔からの知り合いなんだ…。
そうじゃなきゃ…ここまで親しげに話したりはしない…。
300年ぶり…なんてのは現実的じゃないけど…。
「グリン…この猫さんは?」
そばにいたネアは唯一…にゃんこさんのことを知らない…。俺に対して当然の疑問を投げ掛ける…。
「あっ…そうか!ネアはにゃんこさん知らないんだね…。その…信じられないだろうけど…元は神様なんだ…」
「…?かみ…さま…?」
「それで…にゃんこさんは神様を引退して…俺を後任に選んだんだ」
「ちっ…ちょっと…よくわかんない…んだけど…」
「うん…この話をするのは初めてだし…理解できないかも…」
ネアはホンの少しパニックに…。あまりにも思考が追い付かないのだろう…。難しい顔して悩みに悩んでいる…。
…こうなると…話が余計にややこしくなりそうだ…。
そうしていると…
『ふぅ…ネア…だったかね?うちのやつ…グリンが世話になったねぇ…』
「えっ?はっ…はい…」
『神様だの…信じられないことが多いだろうけど…グリンは神様なのよ…。本当ならすごい力を持ってんだけど…まだ未熟でねぇ…』
「…そう…なんですね…」
にゃんこさんから喋りかけられ…相槌を打つネア…。
荒唐無稽の話だけど…心当たりがあるんだろう…。俺の持つ力の一端を見ている…。
森での不思議な出来事…レストランでの悪漢撃退の件…。
それらを思いだし、ようやく…俺が神様だということに納得がいったようだ…。
「グリンが神様なのはわかりました…。それで…あなたは…前任の神様なんですよね?」
『そうだね』
「その…今…私たちは困ってるんです…。えっと…女王様を助けたくて…」
『それで…この頑固親父に助けを求めている…でしょ?』
「はい…」
ネアは何かを確認するようににゃんこさんへと口を開く…。
その真意…なんとなくわかる…。
にゃんこさんが助け船を出してくれるのではないか…。長老さんを説得してくれるのではないか…という期待…。
そうじゃなきゃわざわざこんなとこに来たりはしない…。
正直…俺もそれを思っていたところだ…。
でも…にゃんこさんの口から出た言葉は…
『悪いけど…あたしはあんたたちのために力添えするわけじゃないよ?あくまでも…話に混ざりたいだけさ…』
「えっ…」
『あたしはこのじいさんの弱味を握ってるわけでもないしね…。説得するのはあんたたち…わかるでしょ?』
「…」
現実的な判断…。にゃんこさんは俺たちのために何かをするわけではない…。
ネアも…俺も…やっぱり落ち込む…。
…と思ったら…
『ただし…チャンスは与えるよ』
「「…?」」
『確か…この森には試練があったね?その管理者は長老…あんただろ?』
突然の話題転換…。なんのことかよくわからない…。
試練?…そんなものでなにか解決できるのか?
俺とネアは完全に置いてけぼりの状態…。そんな雰囲気を気にすることなく…にゃんこさんと長老さんが話し込む。
「…まさか…この者達に試練を課すと?」
『…森の掟…その1…。試練を打ち破りし者には一つだけ願いを受け入れる…だろ?』
「しかし…それは酷なのでは?」
『達成するかどうかはこいつら次第さ…。あとはあんたの許可と…二人の意思だねぇ…』
だめだ…会話を聞いてもさっぱり…。とにかく…どういうことか聞かないと…!
「にゃんこさん!俺達にもわかるように言ってください!これじゃ…なんのことか…」
そんな俺の言葉に…にゃんこさんは驚きの内容を口にする…。
『なに…簡単な話さ…。女王様を助けたきゃ…』
『…この森と…『命』を賭けて戦いなっ…てことさ!』




