73 罠…そして再起
久しぶりなんで所々矛盾してるかも…
「…さて…そろそろじゃな…。気をしっかりするように…」
「…!はい…!」
リアからの言葉で気を引き締めると、なんだか心臓がキュッ…と締め付けられたような…。本当に怖くなってきた…。
いや!そんなことを考えちゃだめだ!弱気になってたら…この町の人も…ネアも守ることができなくなる!
俺には不思議な力もあるし…なんとか撃退できれば…!
…なんて思っていたら…
「キャァァァ!!」
「おいおい!なに逃げてんだよぉ!」
うわっ…!この悲鳴…。さっそく始まってる…!助けにいかなくちゃ…!
「リア!」
「そう喚くでない…。相手の人数…力量…ある程度把握することの方が先決じゃ…」
「そっ…そんな暇ないって!悪いけど…俺はすぐに行くから!」
「…はぁ…勝手にするがよい…」
ダッ…タッタッタッタッ…
俺は言い終えるとすぐに体を前へと動かしていた…。確か…騒ぎが起きているのはもう少し先の方だと思ったんだけど…。
…あっ!あそこだっ!
「おいおい!見せもんじゃねぇぞ!散れっ!」
「だっ…誰か!助けて…!」
「うるっせぇ!てめぇは黙ってろ!」
とある店先…若い女の人を捕まえた男が一人と…その回りでニヤニヤ笑っている手下が数人…。
すでに抵抗しようとしていた人もいたのか、ひどい怪我を負いながらぐったりしているのもいる…。
…なんだかこう言うのも変だけど…予想よりも小規模だ…。てっきり大勢の暴徒が暴れまわっているのかと思ったけど…。
いや!そんなことを考えるのは止めよう!幸い…あいつらに俺のことは眼中にない…。あとは…力を使うことができるかどうか…
「よし…ん…!」
さっそく念じてみることに…。多分…これで大丈夫なはず…!
標的は女の人の回りにいる荒くれもの…。いつも通り…全員の体調を崩すぐらいの要領で…
そして…
「…!?おぐぅ…!?」
ドサッ…
「なっ…!おい!どうし…うっ!」
「いっ…!いつつ…!」
「あぅ…!?」
ドサッ…ドサドサ…
あっという間に…男達はお腹を抱えながらその場に倒れることに…。苦悶の表情からは立ち上がる気力さえ無さそうだ…。
…なんかあっさりしてるなぁ…。
そう思っていると…
タッタッタッタッ…
「ハァッ…ハァッ…グリンっ!ここに…」
息を切らせながらネアが走ってきた…。額には汗をかいているみたいだし…相当急いでたのかも…。
「あっ…!ネア!なんとか暴動は…」
「そんなことより…急いで!リア様たちが…悪い人に囲まれてるの!」
「えっ!それって…」
「罠だったの!グリンをわざと誘き寄せて…いなくなったと同時にリアさんたちを…!」
くっ…!なんてことだ…!素直にリアの言うことを聞いていれば良かった…!考えてみれば…確かにおかしかったのに…。
「くそっ!」
タッタッタッ…
俺は間髪いれずにその場を走り出した…。多分…もう連れ去られているのかもしれないけど、それでも一縷の望みをかけて…。
…だが…
「…!!…ちくしょう…!」
さっきまでいたその場所にはリア達はいなかった…。辺りには抵抗したと思えるような痕跡…血が少しばかり飛び散っている…。
周りの人々も、その争いのことでヒソヒソ会話をしてることをみると…まず間違いなくさらわれたと見た方がいいかもしれない…。
そんな俺の後ろから…追い付いたらしいネアが声をかけてくる…。
「…グリン…」
「…ごめん…俺のせいで…」
「ううん…私もリア様と一緒に戦えば良かったんだけど…『グリンのとこに行けっ!』…って言われて…」
「…」
俺はどうしようもない責任感に押しつぶされそうになった…。せっかく特別な力を手にいれたのに…。
リア達がどこに連れ去られたかを知るのは多分大丈夫…のはず…。ただ…問題は人質をとられた…というハンデと、より厳しい敵の警戒のもとで助けなくてはいけない…ということ…。
これは…いくら神様の俺でも無事かどうか…。
そうしていると…
バシッ…!
「うっ…!ネア…痛いよ…」
背中から衝撃が…。ネアが思いっきり叩いたようだ…。なんでそんなことを…。そう考えて後ろを振り向くと…
「…グリンは…こんなことで諦めたりしないよね?」
真剣な表情で…そして決意を胸にしたような視線を向けるネアがいた…。泣いているわけでもない…怒っているわけでもない…。でも…俺のことを信頼している…そんな思いが伝わってくる…。
「…それは…そうだけど…」
俺はただ弱々しく応えるのが精一杯だった…。なんだか…直視するのが怖くなりそうで…。それでもネアは…ぶれない心で語りかけてくる。
「私の知ってるグリンは、困っている人のためならどんなこともできるはずよ…。…私の呪いを解いたように…」
「…!」
「…まだ間に合う…。こんなところでウジウジしちゃダメ!」
…そうだ…。確かにこんなところで落ち込んでいられない!それに…リアにはこの国をしっかり治めてもらわないと!
「…ネアの言う通りだ…。俺…このまま終わらせたくない!」
「…うん…!」
これから…危険な目に遭うかもしれない…。それでも…前だけは向いていきたい!
だって…ネアは俺を信じてるんだから!




