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3 謎の声

それにしても…すごいたくさんの食器だなぁ…。

大皿に盛皿…小皿…。

皆綺麗に光っている…。

ちょっとしたパーティーなんかしたらいい感じになりそう…。


…あっ!

そう言えば…ネアからどんなお皿用意すればいいか聞いてなかった…。

一回尋ねないと…



『…ミギシタ…ニマイ…オク…ヨンマイ…』



…!?

えっ…だっ…誰だ!?

突然頭の中に声が…。



『…ミギシタ…ニマイ…オク…ヨンマイ…』



うっ…。

この声…ネアじゃない…。

いや…ネアは台所で用意しているはずだ…。

それじゃあ…この声は…


不気味だ…。

まさか…幽霊がいるなんてことは…。


「…だっ…誰なんだ!?」


不意に…見えない誰かに尋ねた瞬間…



『…』



声が消えた…。

なんだったんだ…いったい…。

なんかゾッとする…。


…いや!

忘れよう!

きっと疲れているんだ!


それより…

ネアにお皿のことを聞かないと…



トットットッ…



「…ネア!…ちょっと聞きたいんだけど…」


「えっ?何?」


振り向いたエプロン姿のネア…。

可愛いかも…。


「お皿って…どのお皿使えばいいの?」


「あっ…ごめんね…。伝え忘れちゃった…。一番右下のお皿が二枚で…その奥を四枚取ってくれたらいいから…」


「…右下を二枚で…奥が…四枚?」


「うん…よろしくね…」








一瞬…あの声が頭の中で浮かんだ…。



『…ミギシタ…ニマイ…オク…ヨンマイ…』



…まさか…ね…。




「…ちょっと少ないかもしれないけど…よかったら食べてね」


おぉ…美味しそうだ…。

テーブルの上にはスープに野菜炒め…こんがり焼けたパンなんかがある…。

ご飯はないけど…やっぱり異世界はパン派なのかな…。


どんな味がするんだろう…。


「ネア!ありがとう!それじゃあ…」


「あっ…待って!ご飯を食べる前に…お祈りしないと…」


「へっ?お祈り?」


「すべての食材には魂が宿っているから…感謝しないとダメなの…」


魂…。

ネアって…けっこう信心深いんだなぁ。

よし!


「わかった!一緒にお祈りするよ!」


「ありがとう…じゃあ…始めるね」





「…天におられる私たちの父…そして母よ…。あなたたちの慈しみに感謝してこの食事をいただきます…」


今…俺たちは眼を瞑り…手を合わせてお祈りをしているわけだけど…。

けっこう本格的だなぁ…。

こういうの初めてだから…俺にとってはけっこう新鮮だ…。


「ここに用意された食物を祝福し…私たちの心と体を支える糧としてください…。すべての生き物に幸を…」





「…グリン…終わったけど…」


「…ん…?ここでアーメンとか言わないの?」


「えっ?なにそれ…初めて聞いた…」


「えっ…あっ…ごめん!俺の勘違いだった!」


あれ…?

やっぱり異世界は色々と難しいなぁ…。

俺の世界ならアーメンって言ってたような…。

なんかあっさり終わっちゃった…。


まぁいいや!

それじゃあ…いただきます!





モグモグ…



さっそくネアの手作り料理を食べたわけだけど…

なかなか美味しいぞ!


この野菜炒め…ほんのちょっぴりの塩気と野菜の甘味がいい感じに合わさって…旨味を引き出してる!

特に…このカラフルな野菜の歯応えと味は今までにないものが…。

なんだろう…言葉では言い表せないなぁ…。


このスープも…味付けがまろやかで飲みごたえがある…!

透明な色をしているけど…味の濃度はなかなか…。


パンもふんわりしていて…いくらでも食べれそうだ…。

普通のパンと違って…こう…なにか口の中に広がるような…美味しさが…。


「ふふっ…美味しそうに食べるのね…グリン…」


「えっ…!あっ…ごめん…」


しまった…!

食べるのに夢中になっちゃった…。


「謝る必要なんてないから…たくさん食べていいよ…」


「えっ…うっ…うん…」


あっ…ネア…笑ってる…。

俺の食べっぷり…面白かったのかな…。


でも…良かった…。

このまま陰鬱な雰囲気なのは辛かったし…。

ちょっとでも明るくなったのは嬉しいな…。


「…ネアって…こういう料理作るとき…材料はどうしてるの?全部自分で用意するとか?」


「ううん…全部は用意できないから…たまに森の外れにある町で買い物するの…」


へぇ~…。

そうなんだ…。

てっきり森の中で住んでるから、全部調達してるのかと思ってた…。

木の実とか…植物とか…色々あるしなぁ…。


「その町って…どんな町なの?けっこう賑やかだったりとか?」


「そんなには…意外と小さな所よ…。定期的にお祭りとかしてるけど…そこまで有名な町でもないかな…」


小さな町…。

気になるなぁ…。

俺みたいなやつが働ける口があればいいんだけど…。


まぁ…明日にでも行ってみるか…。


「そうなんだ…それじゃあ明日…案内してよ!三日後には一人で暮らさないといけないし…ちょっとでもここらへんのことを知りたいんだ…」


「…そう…まぁいいけど…。でも午前中は私忙しいから午後からね…」


「うん!ありがとう!」


よし!

明日に備えて頑張るぞ!

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